UNLEASH

いらはらい

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その想いは

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『先輩を好きになって良かった…』


 呪いのせいで女の身体になったオレはこの前、アキと話したいと言う女の霊の願いを叶えさせる為、オレの体を貸した。そして、その女の霊はアキに想いを告げ成仏した。

 それまでは良かった。
 
 あの日からオレの心の隅には、なんとも表現しづらい感情がアキに対して芽を出してきたのだ。チクチクと刺さる不愉快な痛みに似た感情が出たと思えば、アキが傍にいると安堵にも似た感覚が湧き上がる。
 その割には、前みたいにアキをまともに見れないと言う矛盾。なぜアイツをまともに、正面切って見れないんだ?目が合うと、苦しくなる。どうしたんだ…オレは…

 これは、あの女の未練?
 
 だけど、おっさんにも確認してもらったらあの女の未練はないと言ったから、それではないと言い切れる。だからこそ、この感情は…なんなんだ?

 アレコレと、どういう言葉がこの感情に合っているのか考えていた。
「どうしたの?また勉強で詰まった?」
 ふいに話しかけられ、身体が強ばった。いつの間にか授業が終わっていたようで、アキが隣に立っていたからだ。オレは一度アキを見上げ、いつものようにぶっきらぼうに言い返した。
「うるせー。詰まってねーよ」
 アキは苦笑いしながら、オレの前の席に座り、回りを見回して顔を寄せ、口元を手で隠すようにし小声で聞いてきた。
「アレからどう?色は変わった?」
 呪いの根源の数珠の事だ。オレらの会話は大抵こんなもん。他に上がる話題はあまり無い。別にそれでかまわないんだが。
 とりあえず、オレは数珠を着けている腕をアキが見えるよう、机の上へと乗せた。
「何故か、奇跡的に色が薄くなってる。」
「へー!凄い。何がきっかけなのか、ホントわからないねー。」
 あの女に体を貸してからしばらくして、黒いモヤが薄くなっているに気づいた。あの変な感情が出てきた頃と同じ時期に。だから、アキに言うの忘れていた。
 色の変化がここんとこ無かったから、オレもこの変化を地味に喜んでいたが、アキも何故か自分のことのように嬉しがっている。そんな嬉しそうな顔をみてふと思った。
(密かにファンクラブ的なのあるって聞いたっけ。まー、ホント、コイツってかっこいい部類に入るわなー)
 そんな事を考えて、整っているアキの顔をぼーっと、眺めていた。

『もしかして、好きな人って────』
 
 目が醒める間際に、あの女が言った言葉が思い出せない。誰だったのか、オレには聞こえなかった。その問いに、肯定したアキの声は聞こえたのに。面白半分に、それは誰なのかを問いただしてしまおうかと思っていたが、何故か聞きたいと思わない自分がいる。
 …気にならないと言えば嘘になる。だが、知りたいと思わない。この変な感情と関係があるのだろうか?
「…って、聞いてる?」
「あ?」
 アキが困った顔でオレを見ていた。なんの話をしていたのか、オレが全く聞いていなかった事を察したアキはため息をついた。
「もー。どうしたんだい?ぼーっとしちゃって。あのね、今日キミん家に寄るから。」
「は?」
「アレ?おじさんに御守りを交換してもらうんだけど。その様子じゃ聞いてないね?」
 オレは頭をかき、どうだったか記憶を辿ってみた。そう言えば、この前なんか言っていたような、無かったような…最近、普通の話しをおっさんとしていない気がした。アキが御守りを新調するって話しは、マジで覚えて無かった。どのみち、
「…オレは居なくても関係ねからな。なんも手伝えないし」
 ボソリとそんな言葉がでた時、アキの顔が曇ったように見えた。
「何?なんか都合悪いの?」
「いや。なんだよ。なんで、そう聞く?」
「んー、なんか不機嫌だなーって思ってさ。どうかした?なんかあった?」
 そう言ってオレの顔を真っ直ぐに見つめてきた。
「なんもねぇって…」
 オレは不機嫌な顔のまま、アキを見つめ返した。はたで見るにはきっと、アキにガン飛ばしをしてる風にしか見えていないかもしれないけど。
 光に当たって長いまつ毛と少し緑がかった目が、余計にキラキラして見えた。この目を、この視線を独占できるヤツは、本当に誰なんだろう。
「なぁ…お前さ…」

ー好きなヤツって…
 
 そう聞こうと思ったとき、帰りのHRの時間を告げるチャイムが鳴った。回りで喋っていたヤツもガタガタと、席に着きだした。
「じゃ、そういう事で寄っていくからよろしくね。」
 そう言ってアキは自分の席に戻っていった。オレは、どうしたいんだ。深くため息をつき、そのまま机に頭を着けた。
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