UNLEASH

いらはらい

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その想いは

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 初めて寺に行ったのは、たしか6才だったと思う。
 母に連れられ叔父おっさんに会いにいったが、何故連れてこられたのか、未だに思い出せない。覚えているのは本堂にある仏像が厳かで、優しい表情なのに凄く怖くて、オレは母から離れられなかった。
 思い出すとしたら、その場面しか出てこない。そもそも、ガキの頃の思い出なんて…思い出したくもない。まさか、その寺に住むなんて人生は分からない。

 普段からオレとアキの会話は、アキから話題を一方的に話しを振ってきてそれにオレが答えていく感じである。今日はそれもなく、ただ隣に並んで一緒に歩いて帰るだけだった。
「お邪魔します」
 本堂の少し離れた所に、普段生活している家がある。家に着き、アキは律儀に挨拶する。オレはそんなアキを横目に何も言わず家に上がると、作務衣姿の叔父おっさんが奥の部屋から出て来た。
「アキ君、いらっしゃい。こらマコト、ただいまはどうした」
「…ッス」
「ったく、お前ってヤツは…あ、御守りは本堂に置いてあるから取ってくるよ。」
「すみません。ボクも行きますよ」
 そう言ってアキは叔父おっさんの後をいく。そのままいくかと思ったが、叔父おっさんは思い出したように立ち止まりオレをみた。
「マコト。アキ君にお茶の準備しておいて。」
「うぇー。めんどー」
 手をヒラヒラさせ、オレは部屋に荷物を持っていこうと二人に背を向けた。
「良いですよ。お構い無く。すぐ帰りますし…」
(帰る…?)
 オレは慌てて振り返ったが、二人は本堂へとつながる渡り廊下に行ったらしく見えなかた。チクリと何かが胸に刺さった気がした。さすってみたが、なにもない。わからない感情に戸惑いながら、オレは荷物を部屋に置きに行った。
 とりあえず、何もする事もないのでお茶の準備だけはしておいた。ちょうど準備し終わった時、二人の話し声が聞こえてきた。
「今日は食べて帰らないのかい?アキ君が来るからと思って、買い物してきたんだが…」
「え?ホントですか?わぁ、うれしいな。でもいつも悪いですので…」
「いやいや、マコトの面倒を見てもらってるから、そのお礼さ。気にしないでくれよ。遠慮する仲じゃ無いんだ。私たちは家族も同然だろ?」
「あ?誰が?誰の面倒だって?」
 部屋に入ってきた叔父おっさんを睨み、あからさまに不機嫌な顔で言い放った。叔父おっさんはにっこりと笑顔を浮かべ、オレに指を指す。
「お前だよ。マコト。アキ君のお陰でマコトが高校を何事もなく過ごせてるって、私は思っているんだ。」
「いやいや、それは言い過ぎですって。」
 アキは慌てて自身の前で手を振り苦笑いをした。
「今日、ここに行くことは知らせているんですが、一応母に連絡入れます。そのあとお手伝いしますから。」
 とスマホを取り出し、部屋を出ていった。アキが部屋を出て行くと叔父おっさんはオレの隣に座り、オレが淹れたお茶をすすった。チラッとオレを見て、
「…どうした。いつもに増して不機嫌面だな。」
「うっせー、関係ねぇだろ」
 オレはぶっきらぼうに返すと、叔父おっさんはオレの頭に腕を強めに置いた。
「言葉使い」
「いってぇ…!」
 さほど痛くもないが、乗せてきた叔父おっさんの手を払いのけ、頭をさする。
「躾も大人の責任です」
「暴力反対」
「どこが」
 叔父おっさんはニコリと笑い、またお茶を呑み始めた。しばらくしてアキが部屋へと戻ってきた。どうやら仕事中で電話に出られなかったらしく、アプリに『食べて帰る』とだけ送ってきたと叔父おっさんに話した。
  遅くなる前にご飯の支度をしようかと、叔父おっさんはお茶を飲み干し、台所へと足を運んで行った。オレ達もその後をついていった。
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