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その想いは
また明日
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「じゃ、帰るね…」
アキは名残惜しそうに呟き、マコトから離れた。そして、カバンを取るために居間へと行こうと背を向けた。その背中を寂しそうな視線で追うマコトだった。そんな視線に気づいたのか、アキは振り向き少し意地悪な顔をした。
「…マコトはどうしたい?」
問われた言葉に困り、マコトは下を向いた。普段から文句などはすぐでるのに、自分の好意や願いを素直に言葉では出せないでいた。
アキはそれを分かっていた。だからこそわざと問いかけた。言葉に詰まったまま俯くマコトに近寄り、覗き込むように視線を合わせ微笑んだ。
「キミが気持ちを口に出すのが苦手なのは分かっている。だけど、ボクには気持ちを……願いを圧し殺さなくても良いんだからね?」
そう言ってマコトの額に軽くキスをした。マコトはキスされた額に手を置き頬を赤く染めた。
「こっ恥ずかしい事すんなよ」
マコトのそんな反応を見てアキはクスリと笑った。
「ホントは泊まりたいけど、やめとく。だから今日はゴメンね」
「何でだ?」
そう問われ、アキは困った顔で微笑む。
「欲情を抑える自信がないっていうのかな…?」
「?」
「こういう事…」
そう言い、不思議そうな表情のマコトの顔に手を添え、顔を近付け唇を合わせた。先ほどとは違い、合わせた唇を軽く咬みマコトの唇を軽く吸う。そして開いた口内に舌を差し込んでいった。
差し込まれたアキの舌に、マコトの身体は一瞬、驚きで震えた。だが、アキを押し返す事なく、マコトは確認するかのように、戸惑いながらも己の舌でアキの舌に触れた。
マコトが自分の舌に触れたことでアキは己の舌を絡ませ、そのまま舌をマコトの口内、歯列や歯の裏に這わせていく。そしてマコトの舌を軽く吸い角度を変えながら、熱く深いキスをしていった。
そんな熱いキスに、マコトは経験したことのないしびれが身体の奥から溢れだし、耐えられず膝から崩れた。
「ゴメン。マコトには早すぎたかな?…大丈夫?」
その場に座り込んだマコトを心配そうに見つめ、アキもその場に座り込んだ。マコトは自分の唇を押さえ、真っ赤な顔でアキを睨んだ。
「お前っ…なんだよその言い方。つか、どこでこんなやりかた覚えて…」
「んー、まぁ、いろいろとね?」
「なんだよそれ…」
「その一応ね、いろんな経験済んでるだよ。ちょっと言いたくないけど…」
最後の言葉はトーンが低く、表情もどこか暗かった。なぜその表情なのか尋ねるべきか戸惑い、言葉を掛けようとした。だが、アキが立ち上がったため聞くことはできなかった。
「じゃあ、今度こそ帰るよ。さすがにこれ以上したらいけないかなって思うから。キミの為にも」
「こ、これ以上って…それは…」
「フフ、する?」
「!!」
「怖がらないでよ。しないよ。今は……ね。キミが望んだら、その時に」
そう言い、アキは少しイタズラっぽく笑いながらカバンを取りに行った。マコトは無言のままその背中を見つめた。
「また明日ね」
靴を履き、ニコリと微笑み扉に手を掛ける。マコトは少し不機嫌な顔でアキを見送る。
「あぁ…またな。」
──納得いかねぇ事あるけど──
マコトは扉が閉まったあとも静かな玄関に立ち尽くしていた。そして、ソッと唇に指をはわせ熱い感触の名残をなぞりふと、明日はまともにアキの顔が見れるか少し不安を感じたのだった。
アキは名残惜しそうに呟き、マコトから離れた。そして、カバンを取るために居間へと行こうと背を向けた。その背中を寂しそうな視線で追うマコトだった。そんな視線に気づいたのか、アキは振り向き少し意地悪な顔をした。
「…マコトはどうしたい?」
問われた言葉に困り、マコトは下を向いた。普段から文句などはすぐでるのに、自分の好意や願いを素直に言葉では出せないでいた。
アキはそれを分かっていた。だからこそわざと問いかけた。言葉に詰まったまま俯くマコトに近寄り、覗き込むように視線を合わせ微笑んだ。
「キミが気持ちを口に出すのが苦手なのは分かっている。だけど、ボクには気持ちを……願いを圧し殺さなくても良いんだからね?」
そう言ってマコトの額に軽くキスをした。マコトはキスされた額に手を置き頬を赤く染めた。
「こっ恥ずかしい事すんなよ」
マコトのそんな反応を見てアキはクスリと笑った。
「ホントは泊まりたいけど、やめとく。だから今日はゴメンね」
「何でだ?」
そう問われ、アキは困った顔で微笑む。
「欲情を抑える自信がないっていうのかな…?」
「?」
「こういう事…」
そう言い、不思議そうな表情のマコトの顔に手を添え、顔を近付け唇を合わせた。先ほどとは違い、合わせた唇を軽く咬みマコトの唇を軽く吸う。そして開いた口内に舌を差し込んでいった。
差し込まれたアキの舌に、マコトの身体は一瞬、驚きで震えた。だが、アキを押し返す事なく、マコトは確認するかのように、戸惑いながらも己の舌でアキの舌に触れた。
マコトが自分の舌に触れたことでアキは己の舌を絡ませ、そのまま舌をマコトの口内、歯列や歯の裏に這わせていく。そしてマコトの舌を軽く吸い角度を変えながら、熱く深いキスをしていった。
そんな熱いキスに、マコトは経験したことのないしびれが身体の奥から溢れだし、耐えられず膝から崩れた。
「ゴメン。マコトには早すぎたかな?…大丈夫?」
その場に座り込んだマコトを心配そうに見つめ、アキもその場に座り込んだ。マコトは自分の唇を押さえ、真っ赤な顔でアキを睨んだ。
「お前っ…なんだよその言い方。つか、どこでこんなやりかた覚えて…」
「んー、まぁ、いろいろとね?」
「なんだよそれ…」
「その一応ね、いろんな経験済んでるだよ。ちょっと言いたくないけど…」
最後の言葉はトーンが低く、表情もどこか暗かった。なぜその表情なのか尋ねるべきか戸惑い、言葉を掛けようとした。だが、アキが立ち上がったため聞くことはできなかった。
「じゃあ、今度こそ帰るよ。さすがにこれ以上したらいけないかなって思うから。キミの為にも」
「こ、これ以上って…それは…」
「フフ、する?」
「!!」
「怖がらないでよ。しないよ。今は……ね。キミが望んだら、その時に」
そう言い、アキは少しイタズラっぽく笑いながらカバンを取りに行った。マコトは無言のままその背中を見つめた。
「また明日ね」
靴を履き、ニコリと微笑み扉に手を掛ける。マコトは少し不機嫌な顔でアキを見送る。
「あぁ…またな。」
──納得いかねぇ事あるけど──
マコトは扉が閉まったあとも静かな玄関に立ち尽くしていた。そして、ソッと唇に指をはわせ熱い感触の名残をなぞりふと、明日はまともにアキの顔が見れるか少し不安を感じたのだった。
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