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21 ー各自リサーチー
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蚤の市に行った日曜が明けて、翌週。
依子は疲労が抜けずダラダラと月曜の朝を過ごしている。
金土日と終日バイトが入っているので、ただでさえ月曜はいつも疲れが残っているのだが、日曜の早朝から出歩いたのでさらに疲れている。
ちょっと前まで、思うように身体が動かず、仕事に身が入らない自分が情けなく嫌で嫌でいちいち死にたくなっていたが、もう自分は歳なんだ、と諦めて、最近は身体の声に素直に耳を傾けるようにしている。
結局のところ、それが一番効率が良いからだ。
というわけで、今日は午前中は家事と、先延ばしにしていた事務仕事にあてることにした。午後は制作をして心を整えて、早めに寝よう。
明日は目星をつけておいたアンティークショップをいくつか周って、田中さんに報告しないと、と算段をつけた。
ここのところ、以前と比べて出かけたり、田中と会ったりすることが多くなっていたから、少し心身がざわついている。
田中と会うのは楽しく、ストレスは全くないが、良いとも悪いともつかない、この心身のざわめきに戸惑っていた。
こういう時はいつだって仕事に集中して、精神統一するに限る。
小さなキッチンでコーヒーを淹れて、現在描き途中の、新作の原画を描くためにテーブルに向かった。
ーーー
譲治は蚤の市で買った、古いハンガリー語の教科書を、キッチンカウンターに立て掛けてみた。
装丁が美しく、飾り文字が優美だ。色は褪せているがそれも良い雰囲気を出していた。鍋敷きなどにするには申し訳なく、飾りにしつつ、仕事の合間の息抜きにでも見てみてるか、という心づもりである。
相変わらず今週も基本的には在宅ワークだ。
今週のどこかの時点で、ヘレンドの公式ショップと、民族博物館に行っておきたい。
それから日中にもう一度、王宮の丘に行かないと。
そして水曜日。
譲治はブダペストのヘレンド本店にいた。
今日は在宅ワークを休んで、街中に出てきた。
実に豪華(値段も)な磁器の数々に囲まれ、圧倒されている。
そんなに大きな店ではないのが意外だった。
ヘレンドに大変興味のある日本人観光客の体で、店員に色々尋ねると、親切に説明してくれる。
歴史から製法、時代ごとのヒットシリーズなど。英語なので特に問題なかったが、予め依子に基本的なことを教えてもらっていたので、だいぶわかりやすかった。
丁寧に礼を言って、今度は民族博物館へ。
緑豊かな公園の中にあるので、譲治としてはとりあえずそこが気に入った。
博物館と言うだけあって、ヘレンドなどの工芸品、芸術品はもちろん、歴史、民俗の、あらゆる資料と実物が展示されており、大変見応えがあった。
ガイドを頼むともっと良かっただろう。
博物館を出て、公園のベンチで、森を見ながらちょっとぼーっとする。
今日の体験を反芻して何が得られたかを頭で整理しながら。
お客さんを連れていくには申し分ないかな。網羅的に資料を見せられる。
ただ、自分では説明ができないから、やはりその場その場でガイドを雇う方がきちんと勉強できるはず、と思った。
それにしても、と譲治は思い出す。
小石川さんと先日蚤の市を回った時のような、何か心浮き立つような、期待感、高揚感みたいなものはあまりなかったかな。
市でお目当ての物を探すというワクワクと、博物館で勉強するという気構えでは、そりゃ楽しさも違うか。
でも、どうだろう。
博物館だって、彼女と一緒に見て回って、彼女の目を通した鑑賞をしたり、自分の感じたことを聞いてもらったり、経験を共有したら、やっぱり楽しいんじゃないか?
今までずっと、何かと気を使ったり、調子を合わせるのが億劫で、いつも一人で行動していたけれど。
彼女と出会って、楽しいとか、面白いとか、あるいはちょっと寂しい、とかそういう体験を共有する喜びを知れたかもしれない。
あの人、気取らない人で優しいし、楽なのかな。
帰ったら次のリサーチの連絡をしよう、と考えながら、アパートへ帰宅するのだった。
ーーー
博物館から帰宅してパソコンをチェックすると、ちょうど依子からメールが入っていた。
彼女の方も、目をつけていた骨董屋を見に行ってくれたようだった。
とりあえず、まずは3店舗行ってきました。
先日あげておいた残り3店舗も今週中に行ってきます。
とあり、今日行った店について様子を書いていた。
3つのうち、1つの店は、安価で品揃えが良く、いつ行っても大体手に入りそう、とのこと。品物の詳細な内容も書いてあって助かる。
一箇所でもそういう所があれば安心である。
バイヤーさんを落胆させずに済むだろう。
譲治も返事を書いた。
まずはリサーチへのお礼。そして自分が今日行った本店と博物館の感想。
依子の感想もいつか聞かせてください、と添えて。
あとは、次の予定として、来週の中頃辺り、レンタカーでヘレンド村にリサーチに行きたく、同行して欲しいので、都合お聞きかせください、と書く。
送信。
すると十分後くらいにLINE通話がいきなり鳴ってビクッとなった。
画面を見ると依子である。
すぐに通話を始める。
「こんばんは。」
電話を通した依子の声はいつもと違って、何か不思議な感じだった。
まだ付き合いは浅いのに、昔からの友人のようで、どこかこそばゆかった。
ーーー
依子は、今日の仕事は午前中で切り上げて、譲治の手伝いのために外出して、市内のめぼしいショップをハシゴした。
帰宅してから、今日のお店リサーチの結果報告と、来週の打ち合わせのために譲治にメールしたのだが、返信を見て気にかかったことがあったので、声を聞いて判断しようと電話した。
「こんばんは。おつかれさまです。
まだるっこしいのでお電話しちゃいました。今大丈夫ですか?」
依子は譲治が忙しくないか確認する。
「大丈夫ですよ。」
「あの、ヘレンド村へ行く件ですが、喜んで同行させていただきます。
ただ、田中さんはそれで大丈夫です?
あんまり慣れてない人間と、そこそこ遠い所まで一緒に行動するのはしんどくないですか?」
依子は気に掛かっていたことを聞いてみた。
「大丈夫です。私、小石川さんの前だとあんまり緊張しないみたいです。」
譲治が、お気遣いなく、と言う。
「むしろ、ご存知だと思いますが、私、口数と感情表現に乏しい人間なので、小石川さんが、車中でそれでもよろしければ、と思っておりますが。」
「いやいや、私のほうこそですよ! そもそも私もあんまり社交的な方じゃないですし、沈黙だって大いに楽しんでますよ。
田中さんとお会いする時はなんだか調子に乗って、ペラペラしゃべることが多いですけど。」
すみません、すみません、と電話越しにお互いぺこぺこしてしまうのだった。
ーーー
どうせレンタカーを借りるのだから、というので、譲治が依子のアパート下に迎えに行く、という段取りにする。
1週間後、次の水曜日。朝8時集合、ということにした。
譲治は運転が割と好きだ。
車の運転が苦にならないし、自分のペースで行動できる。
来週のヘレンド村へは、日帰り出張という位置付けなので、仕事と割り切れば、狭い車中でも他人と過ごせるか、と自分に言い聞かせる。
そう思ってからふと考え直す。意外と、でも、億劫な気分ではないな。
依子であればそんなに気が重い感じがしない。いや、むしろ楽しみだ。
久しぶりの長距離運転、ドライブである。郊外の景色を楽しめそうだ。
天気が良いといいがな、と部屋の窓から夕暮れの空を眺めた。
依子は疲労が抜けずダラダラと月曜の朝を過ごしている。
金土日と終日バイトが入っているので、ただでさえ月曜はいつも疲れが残っているのだが、日曜の早朝から出歩いたのでさらに疲れている。
ちょっと前まで、思うように身体が動かず、仕事に身が入らない自分が情けなく嫌で嫌でいちいち死にたくなっていたが、もう自分は歳なんだ、と諦めて、最近は身体の声に素直に耳を傾けるようにしている。
結局のところ、それが一番効率が良いからだ。
というわけで、今日は午前中は家事と、先延ばしにしていた事務仕事にあてることにした。午後は制作をして心を整えて、早めに寝よう。
明日は目星をつけておいたアンティークショップをいくつか周って、田中さんに報告しないと、と算段をつけた。
ここのところ、以前と比べて出かけたり、田中と会ったりすることが多くなっていたから、少し心身がざわついている。
田中と会うのは楽しく、ストレスは全くないが、良いとも悪いともつかない、この心身のざわめきに戸惑っていた。
こういう時はいつだって仕事に集中して、精神統一するに限る。
小さなキッチンでコーヒーを淹れて、現在描き途中の、新作の原画を描くためにテーブルに向かった。
ーーー
譲治は蚤の市で買った、古いハンガリー語の教科書を、キッチンカウンターに立て掛けてみた。
装丁が美しく、飾り文字が優美だ。色は褪せているがそれも良い雰囲気を出していた。鍋敷きなどにするには申し訳なく、飾りにしつつ、仕事の合間の息抜きにでも見てみてるか、という心づもりである。
相変わらず今週も基本的には在宅ワークだ。
今週のどこかの時点で、ヘレンドの公式ショップと、民族博物館に行っておきたい。
それから日中にもう一度、王宮の丘に行かないと。
そして水曜日。
譲治はブダペストのヘレンド本店にいた。
今日は在宅ワークを休んで、街中に出てきた。
実に豪華(値段も)な磁器の数々に囲まれ、圧倒されている。
そんなに大きな店ではないのが意外だった。
ヘレンドに大変興味のある日本人観光客の体で、店員に色々尋ねると、親切に説明してくれる。
歴史から製法、時代ごとのヒットシリーズなど。英語なので特に問題なかったが、予め依子に基本的なことを教えてもらっていたので、だいぶわかりやすかった。
丁寧に礼を言って、今度は民族博物館へ。
緑豊かな公園の中にあるので、譲治としてはとりあえずそこが気に入った。
博物館と言うだけあって、ヘレンドなどの工芸品、芸術品はもちろん、歴史、民俗の、あらゆる資料と実物が展示されており、大変見応えがあった。
ガイドを頼むともっと良かっただろう。
博物館を出て、公園のベンチで、森を見ながらちょっとぼーっとする。
今日の体験を反芻して何が得られたかを頭で整理しながら。
お客さんを連れていくには申し分ないかな。網羅的に資料を見せられる。
ただ、自分では説明ができないから、やはりその場その場でガイドを雇う方がきちんと勉強できるはず、と思った。
それにしても、と譲治は思い出す。
小石川さんと先日蚤の市を回った時のような、何か心浮き立つような、期待感、高揚感みたいなものはあまりなかったかな。
市でお目当ての物を探すというワクワクと、博物館で勉強するという気構えでは、そりゃ楽しさも違うか。
でも、どうだろう。
博物館だって、彼女と一緒に見て回って、彼女の目を通した鑑賞をしたり、自分の感じたことを聞いてもらったり、経験を共有したら、やっぱり楽しいんじゃないか?
今までずっと、何かと気を使ったり、調子を合わせるのが億劫で、いつも一人で行動していたけれど。
彼女と出会って、楽しいとか、面白いとか、あるいはちょっと寂しい、とかそういう体験を共有する喜びを知れたかもしれない。
あの人、気取らない人で優しいし、楽なのかな。
帰ったら次のリサーチの連絡をしよう、と考えながら、アパートへ帰宅するのだった。
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博物館から帰宅してパソコンをチェックすると、ちょうど依子からメールが入っていた。
彼女の方も、目をつけていた骨董屋を見に行ってくれたようだった。
とりあえず、まずは3店舗行ってきました。
先日あげておいた残り3店舗も今週中に行ってきます。
とあり、今日行った店について様子を書いていた。
3つのうち、1つの店は、安価で品揃えが良く、いつ行っても大体手に入りそう、とのこと。品物の詳細な内容も書いてあって助かる。
一箇所でもそういう所があれば安心である。
バイヤーさんを落胆させずに済むだろう。
譲治も返事を書いた。
まずはリサーチへのお礼。そして自分が今日行った本店と博物館の感想。
依子の感想もいつか聞かせてください、と添えて。
あとは、次の予定として、来週の中頃辺り、レンタカーでヘレンド村にリサーチに行きたく、同行して欲しいので、都合お聞きかせください、と書く。
送信。
すると十分後くらいにLINE通話がいきなり鳴ってビクッとなった。
画面を見ると依子である。
すぐに通話を始める。
「こんばんは。」
電話を通した依子の声はいつもと違って、何か不思議な感じだった。
まだ付き合いは浅いのに、昔からの友人のようで、どこかこそばゆかった。
ーーー
依子は、今日の仕事は午前中で切り上げて、譲治の手伝いのために外出して、市内のめぼしいショップをハシゴした。
帰宅してから、今日のお店リサーチの結果報告と、来週の打ち合わせのために譲治にメールしたのだが、返信を見て気にかかったことがあったので、声を聞いて判断しようと電話した。
「こんばんは。おつかれさまです。
まだるっこしいのでお電話しちゃいました。今大丈夫ですか?」
依子は譲治が忙しくないか確認する。
「大丈夫ですよ。」
「あの、ヘレンド村へ行く件ですが、喜んで同行させていただきます。
ただ、田中さんはそれで大丈夫です?
あんまり慣れてない人間と、そこそこ遠い所まで一緒に行動するのはしんどくないですか?」
依子は気に掛かっていたことを聞いてみた。
「大丈夫です。私、小石川さんの前だとあんまり緊張しないみたいです。」
譲治が、お気遣いなく、と言う。
「むしろ、ご存知だと思いますが、私、口数と感情表現に乏しい人間なので、小石川さんが、車中でそれでもよろしければ、と思っておりますが。」
「いやいや、私のほうこそですよ! そもそも私もあんまり社交的な方じゃないですし、沈黙だって大いに楽しんでますよ。
田中さんとお会いする時はなんだか調子に乗って、ペラペラしゃべることが多いですけど。」
すみません、すみません、と電話越しにお互いぺこぺこしてしまうのだった。
ーーー
どうせレンタカーを借りるのだから、というので、譲治が依子のアパート下に迎えに行く、という段取りにする。
1週間後、次の水曜日。朝8時集合、ということにした。
譲治は運転が割と好きだ。
車の運転が苦にならないし、自分のペースで行動できる。
来週のヘレンド村へは、日帰り出張という位置付けなので、仕事と割り切れば、狭い車中でも他人と過ごせるか、と自分に言い聞かせる。
そう思ってからふと考え直す。意外と、でも、億劫な気分ではないな。
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