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66 ーちょっと具合の悪い日ー
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いつも早起きの依子が、今日はまだ隣で寝ている。
体を丸めて、なんだか様子がおかしい。
「依子さん? どうしたの? 具合悪い?」
「あ、おはよ...ごめんね。
夜中に生理になっちゃって。久しぶりにだいぶ痛いの。」
そう言う依子の顔は蒼白だ。
依子の顔色にびっくりして、譲治は飛び起きた。
「何か欲しいものある? 病院行く?」
譲治も妹や母がいるし生理について知らないわけではないが、依子の顔色の悪さに若干パニクってしまう。
「大丈夫よ。病気じゃないんだから。
あっためたいからクローゼットの毛布取ってくれる?
さっき、鎮痛剤飲んだから30分くらいしたら楽になると思うわ。」
譲治はすぐに毛布をとって、隙間が開かないよう依子をぐるっと包む。
部屋は十分すぎるほど暖かいのに、依子は毛布をかぶっていても寒いみたいだ。ガタガタ震えながら冷や汗をかいている。
大丈夫だ、と依子は言ったが、譲治自身は見たことないような具合の悪さに心配になり、急いで自分の身支度をして、何か温かいものを作ろうとキッチンへ向かった。
お湯を沸かしてカモミールティーを淹れて、寝室へ持っていく。
「依子さん」
毛布から顔を出した依子は、さきほどより少し落ち着いたようだ。
お茶を受け取って一口飲んだ。
「おいし...ありがと。ごめんね、びっくりした?
ご家族に生理痛重い人とかいなかった?」
「いやあ、こんなに苦しんでる人見たことなくて...びっくりしました。
ほんとに病院行かなくて大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。私ねすごく重いタイプなのよ。
強度の月経困難症って言われてて、初日から2日くらいは、すごい痛みと、貧血、寒気で起き上がれないの。
もう35年付き合ってるから。心配しないで。」
「毎月こんななんですか?
あれっ、でも一緒に暮らし始めてからこんなことありましたっけ?」
譲治は不思議そうだ。
「そうなのよ。40越えてから不規則になってね、生理も2、3ヶ月置きになってたの。そろそろそういう年頃だからね。
そんなに生理痛も重くなくなってたし。」
依子はカップを譲治に渡すとまた体を横たえた。
「それがね、譲治くんと付き合い始めたからなのかなあ。
なんかホルモン分泌が活発化しちゃったのかも。
この前やたらむらむらする、とか言ってたでしょ。おかしいな、と思ってたのよね。
ハンガリーに来る前あたりからそういう欲求とか絶えて無くなったと思ってたんだけど。
最近ちょっとね、前みたいに感情の動きが活発化しているというか、元気になってきてる、というか、漠然と感じるのよ。
譲治くんのおかげで若返ってるみたい。」
恥ずかしそうに微笑みながら、依子は譲治の手を求めて布団から腕を伸ばした。
譲治はその手を握って両手で温める。
「えっと、つまり僕が依子さんを若返らせてる、ってことですか?」
そうよ、と言って依子は微笑んだ。
それにしても顔色は悪いし、起き上がれないようなので心配ではある。
「僕ついてなくて大丈夫ですか? 何か食べたいものある?
して欲しいことあったら言ってください。
仕事してますけど、いつでも乱入していいですから。起き上がれなければLINEでも。携帯近くにあります?」
「ほんとにありがとう。吐き気もすごいから、今日は食べなくていいわ。
あったかいお白湯持ってきてくれたらうれしい。」
キッチンでお湯を沸かして、大きなマグカップに、できるだけ冷めないようお皿で蓋をして持っていった。
食べることもできないのか。
こんなにひどいなんて。ちょっとショックだった。
自分が若返らせてくれた、と言ってくれたけど。
こんなことに毎月、35年も耐えてきたなんて。
母や妹に対しても、世の中の全女性に対しても、無知無理解だったことを申し訳なく思った。
そして依子に感謝する。
依子は、その心で体で譲治の知らなかった世界をたくさん教えてくれる。
彼女に出会えて良かった。
あの人に会っていなかったら、自分の世界は閉じたまま、大事ないろんなことを知らないまま、1人死んでいくだけだった。
彼女を1人にはしない、幸せにしたい、あの人が優しい笑顔で毎日平穏に暮らせるように守ってあげたい、と譲治は強く願った。
ーーー
夕方になってやっと依子は寝室から出てきた。
顔色はまだ悪いものの、朝方よりはだいぶマシだ。
ぐったりと椅子に腰掛けて息をつく。
「はあ~、やっとピークを抜けたわ。
初日は痛み止め飲んでもほとんど効かないのよね。
ごめんね、びっくりさせちゃって。
もう痛み止めが効くレベルには落ち着いてきたから大丈夫よ。
ごはん食べた?」
譲治は依子の姿を見てからすかさずキッチンでお湯を沸かして、お茶を淹れる。
「僕はいつものサラダでさくっと済ませました。
依子さんはほんとに何もいらないの?」
お茶を出しながら心配そうに譲治は尋ねる。
「いいのよ。2、3日食べなくたって死にゃしないわ。
いつもこうなんだから心配しないで。」
「痛み止めも効かないなんて辛いですね。」
「そうね~。寝てるしかないのよ。
あさってくらいにはケロッとしてるから大丈夫よ。 お風呂入って寝るね。」
そう言うと依子はしんどそうに席を立っていった。
譲治はその姿を見て、ちょっと勉強しとこう、と思った。
次に同じことがあったら、できるだけ楽にしてあげたい。
ーーー
翌日も半分横になっていた依子は、午後になってやっと動けるようになってきたらしい。
自分で作ったリゾットと果物を少し食べている様子を見て、譲治もホッとした。
モソモソと食べ物を飲み込んでいる依子に、後ろから腕を回して抱きしめる。
「何かして欲しいことは? あなたの役に立ちたい。」
「そばにいてくれるだけで十分よ。
いつもひとりで痛みと闘ってたから、譲治くんがそばにいるだけで、こんなに楽なんだ、って驚いたくらい。
譲治くん、すごくわかろうとしてくれるし。
そこまでしてくれる男の人、初めて会った。本当にうれしい。ありがとう。」
依子は回された譲治の腕に手を絡めてもたれた。
「個展の準備は大丈夫ですか? 手伝いますから。」
「大丈夫よ。風呂敷は1人で広げられる範囲で広げる、ってのが主義だから。
誰かの手を借りるようじゃウソだもの。
現時点で生理が来てくれてむしろラッキーだったわ。搬入日とか会期中だったらしんどかったもの。」
依子は譲治の手を撫でながらおしゃべりする。
「あ、そうだ。最終日ってお父さんたちもいらっしゃる日よね?
私ギャラリーに張り付いてなきゃだから、ご挨拶できないかも。
翌日搬出だし。それとも夜になっちゃうけど、お会いできるかしら。」
依子が譲治を見上げる。
「ああ、僕も考えてたんですけど。どっちにしろ空港に迎えに行って、ホテルまで送り届けるつもりなので、途中でギャラリーに寄りますよ。
僕も、依子さんがどんなに凄いか、って作品見てもらえば一目瞭然だし。」
「ううう~。緊張するわ~。
まあ、ただアーティストって言われたら怪しいことこの上ないけど、見てもらえれば早いわね。ちょうど会期と被ってて良かったわ。
あ、でも、きっと長時間フライトでお疲れでしょうから、しんどくなければね。
お夕飯とかももしお元気であれば、お好きなとこご案内したらいいと思うし。お疲れ具合とご希望聞いてからね。」
「とにかく依子さんはしっかり休んで回復してください。」
「譲治くんはいつも優しくて、私ね、ちょっと感動しちゃうの。
本当にありがとう。
さーて!いろいろ盛りだくさんになってきましたな。楽しみ。」
依子に元気が戻ってきたようで、譲治はうれしかった。
どんなことも、依子と一緒だとひとつひとつがぱちぱちと爆ぜるように、面白さが湧いてくるようだと思った。
体を丸めて、なんだか様子がおかしい。
「依子さん? どうしたの? 具合悪い?」
「あ、おはよ...ごめんね。
夜中に生理になっちゃって。久しぶりにだいぶ痛いの。」
そう言う依子の顔は蒼白だ。
依子の顔色にびっくりして、譲治は飛び起きた。
「何か欲しいものある? 病院行く?」
譲治も妹や母がいるし生理について知らないわけではないが、依子の顔色の悪さに若干パニクってしまう。
「大丈夫よ。病気じゃないんだから。
あっためたいからクローゼットの毛布取ってくれる?
さっき、鎮痛剤飲んだから30分くらいしたら楽になると思うわ。」
譲治はすぐに毛布をとって、隙間が開かないよう依子をぐるっと包む。
部屋は十分すぎるほど暖かいのに、依子は毛布をかぶっていても寒いみたいだ。ガタガタ震えながら冷や汗をかいている。
大丈夫だ、と依子は言ったが、譲治自身は見たことないような具合の悪さに心配になり、急いで自分の身支度をして、何か温かいものを作ろうとキッチンへ向かった。
お湯を沸かしてカモミールティーを淹れて、寝室へ持っていく。
「依子さん」
毛布から顔を出した依子は、さきほどより少し落ち着いたようだ。
お茶を受け取って一口飲んだ。
「おいし...ありがと。ごめんね、びっくりした?
ご家族に生理痛重い人とかいなかった?」
「いやあ、こんなに苦しんでる人見たことなくて...びっくりしました。
ほんとに病院行かなくて大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。私ねすごく重いタイプなのよ。
強度の月経困難症って言われてて、初日から2日くらいは、すごい痛みと、貧血、寒気で起き上がれないの。
もう35年付き合ってるから。心配しないで。」
「毎月こんななんですか?
あれっ、でも一緒に暮らし始めてからこんなことありましたっけ?」
譲治は不思議そうだ。
「そうなのよ。40越えてから不規則になってね、生理も2、3ヶ月置きになってたの。そろそろそういう年頃だからね。
そんなに生理痛も重くなくなってたし。」
依子はカップを譲治に渡すとまた体を横たえた。
「それがね、譲治くんと付き合い始めたからなのかなあ。
なんかホルモン分泌が活発化しちゃったのかも。
この前やたらむらむらする、とか言ってたでしょ。おかしいな、と思ってたのよね。
ハンガリーに来る前あたりからそういう欲求とか絶えて無くなったと思ってたんだけど。
最近ちょっとね、前みたいに感情の動きが活発化しているというか、元気になってきてる、というか、漠然と感じるのよ。
譲治くんのおかげで若返ってるみたい。」
恥ずかしそうに微笑みながら、依子は譲治の手を求めて布団から腕を伸ばした。
譲治はその手を握って両手で温める。
「えっと、つまり僕が依子さんを若返らせてる、ってことですか?」
そうよ、と言って依子は微笑んだ。
それにしても顔色は悪いし、起き上がれないようなので心配ではある。
「僕ついてなくて大丈夫ですか? 何か食べたいものある?
して欲しいことあったら言ってください。
仕事してますけど、いつでも乱入していいですから。起き上がれなければLINEでも。携帯近くにあります?」
「ほんとにありがとう。吐き気もすごいから、今日は食べなくていいわ。
あったかいお白湯持ってきてくれたらうれしい。」
キッチンでお湯を沸かして、大きなマグカップに、できるだけ冷めないようお皿で蓋をして持っていった。
食べることもできないのか。
こんなにひどいなんて。ちょっとショックだった。
自分が若返らせてくれた、と言ってくれたけど。
こんなことに毎月、35年も耐えてきたなんて。
母や妹に対しても、世の中の全女性に対しても、無知無理解だったことを申し訳なく思った。
そして依子に感謝する。
依子は、その心で体で譲治の知らなかった世界をたくさん教えてくれる。
彼女に出会えて良かった。
あの人に会っていなかったら、自分の世界は閉じたまま、大事ないろんなことを知らないまま、1人死んでいくだけだった。
彼女を1人にはしない、幸せにしたい、あの人が優しい笑顔で毎日平穏に暮らせるように守ってあげたい、と譲治は強く願った。
ーーー
夕方になってやっと依子は寝室から出てきた。
顔色はまだ悪いものの、朝方よりはだいぶマシだ。
ぐったりと椅子に腰掛けて息をつく。
「はあ~、やっとピークを抜けたわ。
初日は痛み止め飲んでもほとんど効かないのよね。
ごめんね、びっくりさせちゃって。
もう痛み止めが効くレベルには落ち着いてきたから大丈夫よ。
ごはん食べた?」
譲治は依子の姿を見てからすかさずキッチンでお湯を沸かして、お茶を淹れる。
「僕はいつものサラダでさくっと済ませました。
依子さんはほんとに何もいらないの?」
お茶を出しながら心配そうに譲治は尋ねる。
「いいのよ。2、3日食べなくたって死にゃしないわ。
いつもこうなんだから心配しないで。」
「痛み止めも効かないなんて辛いですね。」
「そうね~。寝てるしかないのよ。
あさってくらいにはケロッとしてるから大丈夫よ。 お風呂入って寝るね。」
そう言うと依子はしんどそうに席を立っていった。
譲治はその姿を見て、ちょっと勉強しとこう、と思った。
次に同じことがあったら、できるだけ楽にしてあげたい。
ーーー
翌日も半分横になっていた依子は、午後になってやっと動けるようになってきたらしい。
自分で作ったリゾットと果物を少し食べている様子を見て、譲治もホッとした。
モソモソと食べ物を飲み込んでいる依子に、後ろから腕を回して抱きしめる。
「何かして欲しいことは? あなたの役に立ちたい。」
「そばにいてくれるだけで十分よ。
いつもひとりで痛みと闘ってたから、譲治くんがそばにいるだけで、こんなに楽なんだ、って驚いたくらい。
譲治くん、すごくわかろうとしてくれるし。
そこまでしてくれる男の人、初めて会った。本当にうれしい。ありがとう。」
依子は回された譲治の腕に手を絡めてもたれた。
「個展の準備は大丈夫ですか? 手伝いますから。」
「大丈夫よ。風呂敷は1人で広げられる範囲で広げる、ってのが主義だから。
誰かの手を借りるようじゃウソだもの。
現時点で生理が来てくれてむしろラッキーだったわ。搬入日とか会期中だったらしんどかったもの。」
依子は譲治の手を撫でながらおしゃべりする。
「あ、そうだ。最終日ってお父さんたちもいらっしゃる日よね?
私ギャラリーに張り付いてなきゃだから、ご挨拶できないかも。
翌日搬出だし。それとも夜になっちゃうけど、お会いできるかしら。」
依子が譲治を見上げる。
「ああ、僕も考えてたんですけど。どっちにしろ空港に迎えに行って、ホテルまで送り届けるつもりなので、途中でギャラリーに寄りますよ。
僕も、依子さんがどんなに凄いか、って作品見てもらえば一目瞭然だし。」
「ううう~。緊張するわ~。
まあ、ただアーティストって言われたら怪しいことこの上ないけど、見てもらえれば早いわね。ちょうど会期と被ってて良かったわ。
あ、でも、きっと長時間フライトでお疲れでしょうから、しんどくなければね。
お夕飯とかももしお元気であれば、お好きなとこご案内したらいいと思うし。お疲れ具合とご希望聞いてからね。」
「とにかく依子さんはしっかり休んで回復してください。」
「譲治くんはいつも優しくて、私ね、ちょっと感動しちゃうの。
本当にありがとう。
さーて!いろいろ盛りだくさんになってきましたな。楽しみ。」
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