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第90話 功績と選択、新たなる岐路
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ゴブリンロード討伐。
その報は、アルトたちが王都のギルドへ帰還すると同時に、大きな衝撃をもって迎えられた。
カウンターに置かれた、巨大で禍々しいウォーハンマーと、ゴブリンロードの耳。
そして、激闘の痕跡をその身に刻みながらも、確かな達成感を瞳に宿して立つ、アルト、ノエル、ゴルドーの三人の姿。
それらは、彼らが成し遂げた偉業が真実であることを、何よりも雄弁に物語っていた。
「……信じられん……」
ギルドマスターは、提出された討伐の証拠とアルトたちの報告――特に、ギフトの追加効果による逆転劇――に、驚愕と興奮を隠せない様子だった。
「Cランクパーティによるゴブリンロード討伐、それも結成後初の依頼でとは!君たちは、とんでもないことをやってのけたぞ!これはギルドの歴史においても、特筆すべき快挙だ!」
マスターの声は、称賛と熱気で震えている。
ギルドホール全体も、アルトたちパーティへの驚きと称賛の声で満ち溢れていた。
もはや、彼らを単なる新人や格下として見る者は、一人もいない。
彼らは、実力によって、この王都ギルドで確固たる地位を築き上げたのだ。
約束された報酬である金貨100枚に加え、ギルドマスターは危険な任務の達成と、地域の安全への多大な貢献を称え、さらに破格の特別功労金を上乗せしてアルトたちに手渡した。
その額は、アルトがこれまでに手にした報酬の全てを合わせても、なお余りあるほどだった。
その夜、アルト、ノエル、ゴルドーは、ギルド御用達となっている、少しだけ上等な酒場の一角を借り切り、ささやかな祝勝会を開いていた。
普段はあまり感情を表に出さないノエルも、今日ばかりは少しだけ口元を緩め、エールをちびちびと飲んでいる。
ゴルドーは、大きなエールジョッキを何度もおかわりしながら、上機嫌で自身の武勇伝(と、今回のアルトとノエルの活躍に対する、彼なりの賛辞)を語り続けていた。
「くぅーっ!勝利の後のエールは、五臓六腑に染み渡るわい!」
ゴルドーはジョッキをテーブルに叩きつけるように置く。
「まあ、今回の勝利は、わしの力が9割…いや8割、といったところか?だがまあ、お前たち二人も、今回はなかなか見どころがあったぞ。ノエル、お前の罠解除と奇襲は相変わらず見事じゃった。そしてアルト!」
ゴルドーは、アルトの肩をバンと叩いた。
「お前のあの最後の妙な光!あれでロードの動きが一瞬止まらなんだら、わしも危なかったかもしれん。まったく、変なギフトを持っとるわい!だが、おかげで助かったのは事実じゃ。礼を言うぞ!」
「二人こそ、本当にありがとう。俺一人じゃ、絶対に勝てなかったよ」
アルトも、心からの感謝を仲間に伝えた。
初めてのパーティでの、大きな、大きな成功体験。
それは、言葉以上に深い、確かな絆を三人の間に結びつけていた。
祝勝会の翌日、アルトが今後の活動について考えようとギルドを訪れると、思いがけない人物からの呼び出しが待っていた。
ギルドマスターが、少し改まった表情でアルトを手招きする。
「アルト君、君に面会の申し込みがあった。王都でも有数の有力貴族、バーンスタイン子爵家の執事を名乗る方からだ。ぜひ君に、直接相談したいことがある、と」
「貴族の方が…俺に、ですか?」
アルトは戸惑った。
自分のような、まだCランクになったばかりの冒険者に、大貴族が何の用だろうか。
「うむ。どうやら、君のゴブリンロード討伐の噂が、もう子爵閣下の耳にも入ったらしい。詳しい話は直接聞いてほしいのだが、聞くところによると、子爵の領地で、最近、原因不明の家畜の連続死が起こっており、その調査と解決を依頼したい、とのことだ。君のこれまでの実績と、その特殊な能力に期待しているようだ」
マスターは、慎重に言葉を選ぶ。
「受けるかどうかは、もちろん君の自由だ。だが、貴族からの依頼は、成功すればギルドでの評価だけでなく、王都での君の立場をも大きく引き上げることになるだろう。しかし、失敗した場合や、下手に貴族間の問題に巻き込まれれば、面倒なことになる可能性もある。よく考えて返事をするといい」
貴族からの、原因不明の事件の調査依頼。
それは、これまでの魔物討伐とは全く質の異なる、未知の挑戦だ。
アルトがその依頼について思案していると、今度は、まるでタイミングを見計らったかのように、エリアーヌが目を輝かせながら研究室から飛び出してきた。
「アルトさん!大変ですのよ!あなたのギフト、特にあの麻痺効果について、わたくし、新たな仮説を閃きましたの!」
彼女は、興奮のあまりアルトの手を取り、早口でまくし立てる。
「あの効果…もしかしたら、古代文明で用いられていたという、『魂縛(ソウルバインド)』と呼ばれる特殊な精神エネルギー干渉魔術と、何か関連があるのかもしれませんわ!もしそうだとすれば、その力を完全に理解し、覚醒させるためには、古代文明の遺跡…それも、魂や精神エネルギーに強く関連する場所を調査する必要があるはずです!」
エリアーヌは、一枚の古びた地図を取り出した。
「実は、ちょうど心当たりのある遺跡が、王都から数日離れた場所にあるのですわ!わたくし一人では危険で近づけなかったのですが、アルトさん、あなたがいれば…!これはわたくしからの個人的な依頼となりますが、どうか、この遺跡の調査に協力していただけませんか?あなたのギフトの謎を解く、大きな手がかりが眠っているかもしれませんのよ!」
貴族からの難事件の調査依頼。
エリアーヌからの、自身のギフトの謎に迫るかもしれない古代遺跡調査の提案。
そして、ギルドには他にも、Cランク冒険者として挑戦すべき、数多くの依頼が並んでいる。
ゴブリンロード討伐という大きな山を越えたアルトの前に、今、いくつかの新しい、そしてそれぞれに魅力的な道が示されていた。
パーティの仲間であるゴルドーやノエルの意向も聞かなければならない。
貴族との関わりや、古代の秘密といった、これまでとは質の異なる、より複雑で、より大きな問題も、彼の前に現れ始めた。
どの道を選ぶべきか。
アルトは、王都の喧騒の中で、しばし立ち止まり、自分の進むべき未来について、深く、そして真剣に考え始める。
その報は、アルトたちが王都のギルドへ帰還すると同時に、大きな衝撃をもって迎えられた。
カウンターに置かれた、巨大で禍々しいウォーハンマーと、ゴブリンロードの耳。
そして、激闘の痕跡をその身に刻みながらも、確かな達成感を瞳に宿して立つ、アルト、ノエル、ゴルドーの三人の姿。
それらは、彼らが成し遂げた偉業が真実であることを、何よりも雄弁に物語っていた。
「……信じられん……」
ギルドマスターは、提出された討伐の証拠とアルトたちの報告――特に、ギフトの追加効果による逆転劇――に、驚愕と興奮を隠せない様子だった。
「Cランクパーティによるゴブリンロード討伐、それも結成後初の依頼でとは!君たちは、とんでもないことをやってのけたぞ!これはギルドの歴史においても、特筆すべき快挙だ!」
マスターの声は、称賛と熱気で震えている。
ギルドホール全体も、アルトたちパーティへの驚きと称賛の声で満ち溢れていた。
もはや、彼らを単なる新人や格下として見る者は、一人もいない。
彼らは、実力によって、この王都ギルドで確固たる地位を築き上げたのだ。
約束された報酬である金貨100枚に加え、ギルドマスターは危険な任務の達成と、地域の安全への多大な貢献を称え、さらに破格の特別功労金を上乗せしてアルトたちに手渡した。
その額は、アルトがこれまでに手にした報酬の全てを合わせても、なお余りあるほどだった。
その夜、アルト、ノエル、ゴルドーは、ギルド御用達となっている、少しだけ上等な酒場の一角を借り切り、ささやかな祝勝会を開いていた。
普段はあまり感情を表に出さないノエルも、今日ばかりは少しだけ口元を緩め、エールをちびちびと飲んでいる。
ゴルドーは、大きなエールジョッキを何度もおかわりしながら、上機嫌で自身の武勇伝(と、今回のアルトとノエルの活躍に対する、彼なりの賛辞)を語り続けていた。
「くぅーっ!勝利の後のエールは、五臓六腑に染み渡るわい!」
ゴルドーはジョッキをテーブルに叩きつけるように置く。
「まあ、今回の勝利は、わしの力が9割…いや8割、といったところか?だがまあ、お前たち二人も、今回はなかなか見どころがあったぞ。ノエル、お前の罠解除と奇襲は相変わらず見事じゃった。そしてアルト!」
ゴルドーは、アルトの肩をバンと叩いた。
「お前のあの最後の妙な光!あれでロードの動きが一瞬止まらなんだら、わしも危なかったかもしれん。まったく、変なギフトを持っとるわい!だが、おかげで助かったのは事実じゃ。礼を言うぞ!」
「二人こそ、本当にありがとう。俺一人じゃ、絶対に勝てなかったよ」
アルトも、心からの感謝を仲間に伝えた。
初めてのパーティでの、大きな、大きな成功体験。
それは、言葉以上に深い、確かな絆を三人の間に結びつけていた。
祝勝会の翌日、アルトが今後の活動について考えようとギルドを訪れると、思いがけない人物からの呼び出しが待っていた。
ギルドマスターが、少し改まった表情でアルトを手招きする。
「アルト君、君に面会の申し込みがあった。王都でも有数の有力貴族、バーンスタイン子爵家の執事を名乗る方からだ。ぜひ君に、直接相談したいことがある、と」
「貴族の方が…俺に、ですか?」
アルトは戸惑った。
自分のような、まだCランクになったばかりの冒険者に、大貴族が何の用だろうか。
「うむ。どうやら、君のゴブリンロード討伐の噂が、もう子爵閣下の耳にも入ったらしい。詳しい話は直接聞いてほしいのだが、聞くところによると、子爵の領地で、最近、原因不明の家畜の連続死が起こっており、その調査と解決を依頼したい、とのことだ。君のこれまでの実績と、その特殊な能力に期待しているようだ」
マスターは、慎重に言葉を選ぶ。
「受けるかどうかは、もちろん君の自由だ。だが、貴族からの依頼は、成功すればギルドでの評価だけでなく、王都での君の立場をも大きく引き上げることになるだろう。しかし、失敗した場合や、下手に貴族間の問題に巻き込まれれば、面倒なことになる可能性もある。よく考えて返事をするといい」
貴族からの、原因不明の事件の調査依頼。
それは、これまでの魔物討伐とは全く質の異なる、未知の挑戦だ。
アルトがその依頼について思案していると、今度は、まるでタイミングを見計らったかのように、エリアーヌが目を輝かせながら研究室から飛び出してきた。
「アルトさん!大変ですのよ!あなたのギフト、特にあの麻痺効果について、わたくし、新たな仮説を閃きましたの!」
彼女は、興奮のあまりアルトの手を取り、早口でまくし立てる。
「あの効果…もしかしたら、古代文明で用いられていたという、『魂縛(ソウルバインド)』と呼ばれる特殊な精神エネルギー干渉魔術と、何か関連があるのかもしれませんわ!もしそうだとすれば、その力を完全に理解し、覚醒させるためには、古代文明の遺跡…それも、魂や精神エネルギーに強く関連する場所を調査する必要があるはずです!」
エリアーヌは、一枚の古びた地図を取り出した。
「実は、ちょうど心当たりのある遺跡が、王都から数日離れた場所にあるのですわ!わたくし一人では危険で近づけなかったのですが、アルトさん、あなたがいれば…!これはわたくしからの個人的な依頼となりますが、どうか、この遺跡の調査に協力していただけませんか?あなたのギフトの謎を解く、大きな手がかりが眠っているかもしれませんのよ!」
貴族からの難事件の調査依頼。
エリアーヌからの、自身のギフトの謎に迫るかもしれない古代遺跡調査の提案。
そして、ギルドには他にも、Cランク冒険者として挑戦すべき、数多くの依頼が並んでいる。
ゴブリンロード討伐という大きな山を越えたアルトの前に、今、いくつかの新しい、そしてそれぞれに魅力的な道が示されていた。
パーティの仲間であるゴルドーやノエルの意向も聞かなければならない。
貴族との関わりや、古代の秘密といった、これまでとは質の異なる、より複雑で、より大きな問題も、彼の前に現れ始めた。
どの道を選ぶべきか。
アルトは、王都の喧騒の中で、しばし立ち止まり、自分の進むべき未来について、深く、そして真剣に考え始める。
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