落ちこぼれギフト【ダメージ反射】は諦めない ~1割返しから始まる異世界冒険譚~

シマセイ

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第127話 新たな兆しと古の囁き

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グリフォンとの死闘から数日。王都アステリアには、穏やかな日常が流れていた。

アルトは、この休息期間を利用し、自身の鍛錬とギフトの理解を深めることに時間を費やしていた。
グリフォン戦での勝利は大きな自信となったが、同時に自身の未熟さや、伸びしろを痛感させられる戦いでもあったからだ。

朝、アルトはギルドの訓練場にいた。
黒曜の剣を手に、基本的な剣技の素振りや、仮想の敵を想定した連続攻撃の訓練を黙々とこなす。
グリフォンのような高速で立体的に動く敵を相手にしたことで、より精密な剣捌きと、体幹の重要性を再認識したのだ。
一通り汗を流した後、アルトは「夜鏡」を左腕に装着した。

(リフレクト・ショック制御…)

エリアーヌと共に研究を進めている、反射エネルギーの指向性と威力を自在に操る技術。
グリフォン戦では、とっさに反射の方向を定めて撃ち返したが、あれはまだ粗削りなものだった。
もっと精密に、例えば、反射の範囲を絞って貫通力を高めたり、逆に広範囲に拡散させて威嚇や牽制に使うなど、応用範囲は広いはずだ。

アルトは訓練用の的に向かい、わざと威力を抑えた魔法弾を撃ち込んでもらい(訓練場の管理人に依頼した)、それを「夜鏡」で受ける。
そして、反射するエネルギーを、的の右端、左端、中央と、狙いを定めて撃ち返す練習を繰り返した。
初めはうまくいかず、エネルギーがあらぬ方向へ飛んだり、威力が安定しなかったりしたが、集中して何度も繰り返すうちに、徐々にではあるが、狙った箇所へ反射エネルギーを送り込めるようになってきた。

(まだだ…もっと、自在に…!)

午後になり、アルトはエリアーヌの研究室を訪れた。
彼女ならば、この新しい試みに対しても的確なアドバイスをくれるはずだ。

「まあ、アルトさん。訓練の成果はいかがですの?」

エリアーヌは、山積みの資料に囲まれながらも、快くアルトを迎えた。

アルトがリフレクト・ショック制御の練習について話すと、彼女は興味深そうに頷いた。

「素晴らしいですわ!その方向性は正しいと思います。ギフトのエネルギーをより効率的に、そして戦術的に運用するためには、精密なコントロールが不可欠ですもの。もしかしたら、古代の遺物や魔法技術の中には、そういったエネルギー制御に関するヒントが隠されているかもしれませんわね…」

エリアーヌはふと何か思いついたように、書庫から一冊の古びた書物を取り出してきた。

「最近、わたくし、この地域の古代遺跡に関する文献を調べているのですけれど、どうやら『力の流れを整える石』と呼ばれる特殊な鉱物が存在したような記述があるのです。それがもし見つかれば、アルトさんのギフト制御の研究にも、何か光明が見いだせるかもしれませんわ」

彼女が指し示したページには、奇妙な紋様が描かれた石のスケッチと、かすれた古文書の解読文が記されていた。

エリアーヌの研究室を後にしたアルトは、情報収集も兼ねて再びギルドへ足を運んだ。
Bランクの掲示板には、様々な依頼が並んでいる。討伐、護衛、採取…。
グリフォン討伐を成し遂げた今、以前よりも多くの依頼が、彼の選択肢に入ってきていた。
その中で、一枚の少し変わった依頼書が、アルトの目に留まった。

『緊急依頼:学者護衛及び「囁きの森」未踏遺跡調査協力』

依頼主:王立アカデミー考古学研究室 グレン・マードック教授
内容:「囁きの森」奥地にて発見された小規模な古代遺跡の初期調査のため、現地までの護衛、及び調査中の警備、簡単な採集作業の協力を求める。
遺跡周辺は未確認の魔物や、特異な魔力干渉の報告あり。
危険度:B(状況により変動の可能性あり)
報酬:金貨3枚 及び 調査結果に応じた追加報酬
推奨ランク:B以上(戦闘技術に加え、ある程度の野外活動スキル、忍耐力も要す)

「囁きの森」…。
その名はアルトも聞いたことがあった。王都の南東に広がる広大な森林地帯で、奥深くには古代の遺跡が点在していると言われているが、森自体が放つ奇妙な魔力や、方向感覚を狂わせる霧、そして未知の魔物の存在により、踏破した者は少ないとされている。
そして何より、アルトの心を引いたのは「古代遺跡」という言葉だった。エリアーヌが話していた『力の流れを整える石』。
そういったものが、この森の遺跡で見つかる可能性は、ゼロではないかもしれない。

(学者護衛と遺跡調査か…グリフォン討伐とは、また違った種類の挑戦だな)

純粋な戦闘力だけでなく、索敵能力や危険察知能力、そして依頼主である学者との連携も重要になるだろう。

それは、アルトにとって新たな経験となり、さらなる成長の糧となるかもしれない。
そして、もしエリアーヌが探しているような遺物や情報に繋がるのであれば、一石二鳥だ。

アルトは、依頼書を手に取り、受付カウンターへと向かった。

「この依頼について、詳しく聞きたいのですが」

彼の瞳には、新たな挑戦への好奇と、静かな決意の色が浮かんでいた。
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