【完結】魔王奮闘記

新たな目標と世界の広がり

ダークロアの城塞都市は、アルヴィン率いる人間の大軍との戦いを乗り越え、一時的な平穏を取り戻していた。  
しかし、リオンは勝利の余韻に浸る間もなく、次の目標を胸に秘めていた。  
城の大広間で、リオンは仲間たちと円卓を囲み、真剣な顔で話し始めた。  

「えっと……僕、魔族と人間が仲良くできる世界にしたいんだ。  
戦うの、嫌いだし、みんなが笑顔で暮らせるようにしたい！」  

ゼドラが杖を手に持つ手を上げ、静かに頷いた。  
「リオン様の志、尊いものだ。  
だが、魔族と人間の間には長い確執がある。  
和平を実現するには、双方の信頼を得ねばならん。」  

ミリアが銀髪を揺らし、優しく微笑んだ。  
「リオン様なら、きっとできますよ。  
まずは人間側との対話を試みましょう。」  

ガルドが剣をテーブルに置き、豪快に笑った。  
「対話ねえ。  
俺は剣で語る方が得意だが、小僧がそう言うなら付き合ってやるぜ。」  

レギナが短剣を手に持つ指を動かし、鋭い目つきで言った。  
「人間どもが素直に話を聞くとは思えないけどね。  
リオン、あんたの覚悟、見せてもらうよ。」  

カイルが弓を手に持つ手を握り、目を輝かせた。  
「魔王様、僕も手伝うよ！  
和平って、かっこいいね！」  

リオンは仲間たちの言葉に頷き、小さな拳を握った。  
「うん、ありがとう、みんな！  
僕、頑張るよ！」  

その時、ゼドラが羊皮紙を取り出し、テーブルに広げた。  
「リオン様、和平を進める前に、我々の世界について知っておくべきことがある。  
この大陸には、魔族と人間以外にも、様々な種族や勢力が息づいておる。」  

リオンが目を丸くし、羊皮紙を覗き込んだ。  
「え？  
魔族と人間以外にもいるの？」  

ゼドラが杖で羊皮紙を指し、説明を始めた。  
「うむ。  
まず、西部の『エルフの森』には、自然を愛するエルフたちが住んでおる。  
彼らは魔法に長け、中立を保つことで知られておるが、魔族とは友好的ではない。  
次に、南部の『竜の谷』には、古代竜とその眷属が棲む。  
竜たちは強大な力を持つが、争いには関与せん。  
そして、北部の『氷の荒野』には、氷の魔女と呼ばれる存在がおり、彼女は魔族とも人間とも異なる独自の勢力を持っておる。」  

リオンが目を輝かせ、興奮した声で言った。  
「すごい！  
エルフとか竜とか、会ってみたい！  
氷の魔女って、どんな人なんだろう？」  

ミリアが微笑みながら補足した。  
「氷の魔女は、伝説では数百年前から生きていると言われています。  
彼女は魔力を操る力を持ち、氷の荒野を支配しているんです。  
でも、彼女はとても気難しい性格で、なかなか会うのは難しいですよ。」  

ゼドラが厳かに続けた。  
「リオン様、和平を実現するには、これらの種族との関係も考慮せねばならん。  
特にエルフたちは、自然を荒らす人間に不満を抱いておる。  
彼らと手を組めれば、人間との交渉も有利に進むやもしれん。」  

リオンが頷き、決意を込めた目で言った。  
「わかった！  
じゃあ、まずエルフたちに会いに行こう！  
仲良くできれば、きっと和平に近づけるよね？」  

こうして、リオン一行はエルフの森へ向かう旅を始めることになった。  
だが、その裏では新たな陰謀が動き始めていた。