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ボール
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これ、最近ずっと続いてて、マジで気味悪いんだけど…
聞いてくれる?
私、仕事が終わるのがいつも遅くて、新宿駅から家まで、結構夜道を歩くんだよね。
家は、駅から少し離れた、まあ普通の住宅街。
で、一ヶ月くらい前からかな。
家の近くの、いつも通る、ちょっと暗くて細い道があるんだけど。
そこを深夜0時過ぎくらいに通ると、必ず聞こえるようになったんだ。
トン…、トン…、トン…。
って、子供がゴムボールを地面についてる音。
わかる? あの、独特の、弾む音。
最初は、え、こんな時間に子供? とか思って、キョロキョロ見回したんだけど、誰もいない。
ボールも見当たらない。
まあ、どっか遠くでやってるのが聞こえたのかな、くらいに思ってた。
でも、それが、ほぼ毎晩なんだよ。
私がその道に差しかかると、どこからともなく、
トン…、トン…、トン…。
って聞こえ始めるの。
気味が悪くなって、音のする方へ近づいてみようとするんだけど、
私がそっちへ行こうとすると、ピタッて、音が止まる。
で、また歩き出すと、今度は、ちょっと違う場所から、
トン…、トン…、トン…。
って聞こえてくる。
まるで、私をからかってるみたいに。
というか、完全に、私に合わせて音を出してる感じなんだよね…。
一度、同じアパートの人(夜勤帰りらしい)に聞いてみたんだけど、
「え? ボールの音? 聞こえないけどなぁ」って。
私にしか、聞こえてないみたいで…。
だんだん、その音が、ただのボールの音じゃなく思えてきて。
ある晩は、すごく速くて、不規則なリズムだった。
トントントントトトトン! って、パニックみたいに。
その直後に、キャハッて、子供みたいな、でも、妙に乾いた笑い声が、一瞬だけ聞こえた気がした。
もう、鳥肌が止まらなかった。
さすがに怖くなって、最近はその道を避けて、少し遠回りして帰るようにしてたんだ。
そしたら、数日は、音は聞こえなかった。
ああ、やっぱりあの道がヤバかったんだな、って、少しホッとしてたんだけど…。
昨日の夜。土曜の夜ね。
遠回りして、アパートのすぐ近くまで来た時。
聞こえちゃったんだよ、また。
トン…、トン…、トン…。
今度は、遠回りした先の、全然違う場所から。
でも、あの、聞き覚えのある、嫌なリズム。
それは、私がアパートに入るまで、ずっと、背後からついてきた。
そして、今夜。日曜日の深夜。
どうしても通らなきゃいけない用事があって、例の道を、恐る恐る歩いてた。
もう、心臓バクバクで。
そしたら、案の定、聞こえてきた。
トン…、トン…、トン…。
しかも、今までで一番、近い。
すぐ、横の、建物と建物の間の、真っ暗な隙間から聞こえてくる感じ。
私は、もう、怖くて動けなかった。
ただ、立ち止まって、音のする暗闇を、じっと見つめてた。
トン…、トン…、トン…。
音は、止まらない。
そしたらさ…。
——— コロコロコロ…。
その、真っ暗な隙間から、ゆっくりと、何かが、転がり出てきたんだよ。
それは、古びた、赤いゴムボールだった。
少し空気が抜けて、埃っぽくて。
それが、私の足元で、ぴたっ、て止まった。
と同時に、あの、しつこく続いていたボールの音も、完全に、消えた。
周りには、誰もいない。
ただ、私の足元に、暗闇から転がり出てきた、赤いボールが、一つ。
私は、もう、声も出なくて。
ボールを拾うことも、蹴飛ばすこともできなくて。
ただ、ゆっくり、ゆっくり後ずさりして、そのまま、全力で家に走って帰った。
あれ、何だったんだろう?
誰が、あのボールをついていたの?
なんで、私の足元に、ボールを転がしてきたの?
今は、部屋に閉じこもってるけど、窓の外を見るのが怖い。
また、あのボールが、転がってくるんじゃないか、って。
それとも、今度は、ボールをついてた「誰か」が、直接、訪ねてくるんじゃないか、って…。
聞いてくれる?
私、仕事が終わるのがいつも遅くて、新宿駅から家まで、結構夜道を歩くんだよね。
家は、駅から少し離れた、まあ普通の住宅街。
で、一ヶ月くらい前からかな。
家の近くの、いつも通る、ちょっと暗くて細い道があるんだけど。
そこを深夜0時過ぎくらいに通ると、必ず聞こえるようになったんだ。
トン…、トン…、トン…。
って、子供がゴムボールを地面についてる音。
わかる? あの、独特の、弾む音。
最初は、え、こんな時間に子供? とか思って、キョロキョロ見回したんだけど、誰もいない。
ボールも見当たらない。
まあ、どっか遠くでやってるのが聞こえたのかな、くらいに思ってた。
でも、それが、ほぼ毎晩なんだよ。
私がその道に差しかかると、どこからともなく、
トン…、トン…、トン…。
って聞こえ始めるの。
気味が悪くなって、音のする方へ近づいてみようとするんだけど、
私がそっちへ行こうとすると、ピタッて、音が止まる。
で、また歩き出すと、今度は、ちょっと違う場所から、
トン…、トン…、トン…。
って聞こえてくる。
まるで、私をからかってるみたいに。
というか、完全に、私に合わせて音を出してる感じなんだよね…。
一度、同じアパートの人(夜勤帰りらしい)に聞いてみたんだけど、
「え? ボールの音? 聞こえないけどなぁ」って。
私にしか、聞こえてないみたいで…。
だんだん、その音が、ただのボールの音じゃなく思えてきて。
ある晩は、すごく速くて、不規則なリズムだった。
トントントントトトトン! って、パニックみたいに。
その直後に、キャハッて、子供みたいな、でも、妙に乾いた笑い声が、一瞬だけ聞こえた気がした。
もう、鳥肌が止まらなかった。
さすがに怖くなって、最近はその道を避けて、少し遠回りして帰るようにしてたんだ。
そしたら、数日は、音は聞こえなかった。
ああ、やっぱりあの道がヤバかったんだな、って、少しホッとしてたんだけど…。
昨日の夜。土曜の夜ね。
遠回りして、アパートのすぐ近くまで来た時。
聞こえちゃったんだよ、また。
トン…、トン…、トン…。
今度は、遠回りした先の、全然違う場所から。
でも、あの、聞き覚えのある、嫌なリズム。
それは、私がアパートに入るまで、ずっと、背後からついてきた。
そして、今夜。日曜日の深夜。
どうしても通らなきゃいけない用事があって、例の道を、恐る恐る歩いてた。
もう、心臓バクバクで。
そしたら、案の定、聞こえてきた。
トン…、トン…、トン…。
しかも、今までで一番、近い。
すぐ、横の、建物と建物の間の、真っ暗な隙間から聞こえてくる感じ。
私は、もう、怖くて動けなかった。
ただ、立ち止まって、音のする暗闇を、じっと見つめてた。
トン…、トン…、トン…。
音は、止まらない。
そしたらさ…。
——— コロコロコロ…。
その、真っ暗な隙間から、ゆっくりと、何かが、転がり出てきたんだよ。
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少し空気が抜けて、埃っぽくて。
それが、私の足元で、ぴたっ、て止まった。
と同時に、あの、しつこく続いていたボールの音も、完全に、消えた。
周りには、誰もいない。
ただ、私の足元に、暗闇から転がり出てきた、赤いボールが、一つ。
私は、もう、声も出なくて。
ボールを拾うことも、蹴飛ばすこともできなくて。
ただ、ゆっくり、ゆっくり後ずさりして、そのまま、全力で家に走って帰った。
あれ、何だったんだろう?
誰が、あのボールをついていたの?
なんで、私の足元に、ボールを転がしてきたの?
今は、部屋に閉じこもってるけど、窓の外を見るのが怖い。
また、あのボールが、転がってくるんじゃないか、って。
それとも、今度は、ボールをついてた「誰か」が、直接、訪ねてくるんじゃないか、って…。
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