【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ

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第8話:暖房マットと仲間との一夜

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誠也は作業場の窓辺で  
朝のスープを啜っていた。  

二つの太陽が昇る空は  
雲に覆われ、  
冷たい風が吹き込む。  

「最近、寒くなってきたな…」  
呟きつつ、  
市場での声を思い出す。  

「暖炉ストーンじゃ足りない」  
「もっと暖かくしたい」と  
客がぼやいていた。  

「寒さ対策、もう一工夫か…」  
誠也は考え込む。  

「何か広い範囲を暖められるものがいいな。  
マットとかどうだろう?」  

現代の電気毛布をイメージし、  
新しい魔道具のアイデアが浮かんだ。  

作業場に材料はないので、  
市場の雑貨屋へ向かう。  

「おはよう、おばさん。  
厚めの布と魔石ありますか?」  
屋台に着くなり声をかける。  

雑貨屋のおばさんが笑顔で振り返る。  
「おや、誠也じゃないか。  
また何か作る気かい?」  

「うん、寒さ対策のやつをね」  
誠也が頷くと、  
おばさんが奥から布と魔石を出してきた。  

「これでどうだい?  
布は銅貨15枚、魔石は5枚だよ。  
暖かいものなら売れる時期だね」  

「ありがとう。  
確かに寒いから需要ありそう」  
銅貨20枚を渡し、材料を受け取る。  

作業場に戻り、  
製作に取りかかる。  

まず、布を机に広げる。  
厚手で柔らかく、  
マットにぴったりだ。  

「おお、これ気持ちよさそう!」  
触りながら呟く。  

ナイフで布を四角に切り、  
端を折り返して糸と針で縫う。  

「おばさんに感謝だな。  
いい布見つけてくれて」  
針を動かしながら独り言。  

次に、魔石を加工。  
細長い形を活かし、  
布の裏に縫い付ける。  

「どこに付けよう…  
中央がいいかな?」  

ノミで魔石の端を軽く削り、  
滑らかに整える。  

「割れないように慎重に…」  
息を止めつつ作業。  

布の裏に溝を作り、  
魔石を糸でしっかり固定。  

「これで見た目は普通のマットっぽいな。  
バレにくいはず」  

最後の仕上げ。  
目を閉じ、  
「温かくなれ」と意識を集中。  

魔石に力を込めると、  
マット全体がじんわり熱を帯びた。  

試しに触ると、  
心地よい暖かさが広がる。  

「よし、成功!  
触ると暖かくなる仕様にしよう」  
数分間持続するよう調整。  

完成したのは「暖房マット」。  
触れると暖かさが広がる魔道具だ。  

「『魔石の加熱魔法』って言えば  
自然だな」  
言い訳も準備し、  
市場へ向かう。  

「暖かいマットですよ~  
寒い夜にどうですか?」  
控えめに呼び込みを始める。  

冷たい風が吹く中、  
商人たちが足を止めた。  

「おお、暖かいのか?  
どれどれ」と触る。  

暖かさが広がり、  
「こりゃいいな!いくらだ?」  

「銅貨30枚でお願いします」  
誠也が答えると、  
「少し高いが価値ある。1つくれ」と購入。  

その後も売れ行き好調で、  
昼過ぎには3個で銅貨90枚を稼ぐ。  

「寒い日は儲かるな」  
満足しつつ一息ついていると、  
バロンが現れた。  

「おい、誠也。  
また妙なもん作ったな?」  
暖房マットを手に持つ。  

触って暖かくなると、  
「おお、鍛冶場で寝るのに最高だ!  
1つくれよ」と銅貨30枚を渡す。  

「バロンさん、寒いんですか?」  
誠也が聞くと、  

「ああ、夜は冷えてな。  
こいつがあれば熟睡できるぜ」  
バロンが笑う。  

「良かった。  
また何か作ったら見てくださいね」  

「楽しみにしとくよ。  
お前、ほんと面白いな」  
バロンはマットを抱えて去った。  

夕方、  
市場が終わりかけると  
グラントが傭兵仲間と現れた。  

「おお、誠也じゃねえか。  
そのマット、暖かいのか?」  

「うん、触ってみてよ」  
誠也が差し出すと、  
グラントが触ってニヤリ。  

「こりゃいいな!  
キャンプで部下が喜ぶぜ。  
2つくれよ。  
あと、今夜酒場で飲まねえか?」  

「え、俺も?」  
誠也が驚くと、  
「ああ、お前のおかげで  
キャンプが楽になったからな。  
奢るぜ!」  

「じゃあ、お言葉に甘えます」  
銅貨60枚を受け取りつつ頷く。  

夜、  
グラントに連れられ酒場へ。  

木のテーブルに  
バロンもいて、  
「おお、誠也も来たか!」と笑う。  

「バロンさんもいるんだ。  
なんか賑やかだね」  
誠也が言うと、  

「グラントが誘ったんだよ。  
お前のマットのおかげで  
俺も暖かく寝れるしな」  

グラントが酒を注文し、  
「さあ、飲め飲め!  
寒い夜はこれが一番だぜ!」  

誠也はビールのような飲み物を  
一口飲んで顔をしかめる。  

「うわ、苦い…」  

「慣れるさ!  
ガハハ!」  
グラントが豪快に笑う。  

バロンが「無理すんなよ」と  
フォローしつつ、  
「お前、レザックに気をつけろよ。  
最近、動きが怪しいぜ」  

「またあいつか…  
何か企んでるのかな?」  
誠也が不安そうに聞くと、  

「分からねえが、  
裏で何かやってる噂は絶えねえ。  
お前が目立つのが気に入らねえんだろ」  

グラントが割り込み、  
「心配すんな!  
俺らがいるから  
何かあったら助けるぜ!」  

「頼もしいな。  
ありがとう、二人とも」  
誠也は少し安心しつつ笑う。  

楽しい夜が更け、  
作業場に戻る途中、  
指輪がブブッと震えた。  

「え、また!?」  
慌てて周りを見回す。  

暗い路地から  
レザックと数人の男たちが現れた。  

「お前、楽しそうじゃねえか。  
俺の邪魔ばっかしてよ!」  
レザックが怒鳴る。  

「俺、そんなつもりないよ…」  
誠也が後ずさると、  
男たちが近づいてきた。  

指輪が激しく震え、  
「やばい、逃げなきゃ!」と焦る。  

「お前、今度こそ終わりだ!」  
レザックが棍棒を振り上げる。  

その時、  
「おい!何だその騒ぎは!」  
酒場から出てきたグラントの声。  

バロンも続き、  
「レザック、お前いい加減にしろ!」  

レザックは「ちっ」と舌打ちし、  
「次はお前らもだ!」と捨て台詞を吐き、  
男たちを連れて逃げた。  

指輪の震えが止まり、  
誠也は息をつく。  

「また助かった…  
二人ともありがとう」  

「気にするな。  
あいつ、しつこいな」  
バロンがため息。  

グラントが肩を叩き、  
「次は俺がぶっ飛ばすぜ!  
帰れ、誠也。寒いからな」  

作業場に戻り、  
銅貨180枚を机に並べる。  

「今日は稼いだし、  
友達もできて良かったけど…  
レザック、ほんと厄介だな」  

指輪を見つめ、  

「次は何にしよう…  
光る服とかどうかな?」  
寒い夜の星空を見つつ、  
誠也は次のアイデアを考えるのだった。  
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