【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

第31話：罠センサーと猟師の知恵

森の木々がそよいで、 
土の道に影が伸びる。 
静かな暮らしが続いている。 

「何を作ろうかな。 
森で役立つものがいい。」 

フィアルの森で小さな魔獣が増えている。 
リナとの出会いを思い出し、 
何か協力できる道具を考えていた。 

その時、 
宿の扉が軽く叩かれる。 
「おい、誠也！いるか？」 
リナの声だ。 

扉を開けると、 
革の服に弓を下げたリナが立つ。 
「よお、ちょっと頼みたいことがある。」 

「リナか。 
何だ？」 

「森の魔獣、 
フォレストラットが 
また畑に近づいてるんだ。 
音波ブレスレットが便利だったから、 
今度は罠を見張る道具を 
一緒に作れないかと思って。」 

「罠を見張る道具？ 」 

「そうそう！ 
私が罠を仕掛けてるんだけど、 
どこで魔獣がかかったか 
すぐ分からないんだ。 
何か作れるか？」 

誠也が考える。 
「面白そうだ。 
魔獣が罠にかかると 
知らせてくれるやつなら 
作れるよ。 
一緒にやるか？」 

リナが笑う。 
「いいね！ 
私も手伝うよ。 
材料は？」 

「鉄と魔石だ。 
市場で仕入れよう。」 

二人は市場へ。 
鍛冶屋の店主が言う。 
「おお、二人で来たか。 
何が欲しい？」 

「細い鉄と小さな魔石をください。 
何か作ろうと思って。」 

「何かね。 
これでいいか？」 
細い鉄板と小さな魔石を出す。 
「鉄は銅貨10枚、 
魔石は5枚だ。」 

「ありがとう。」 
誠也が銅貨15枚を渡す。 

宿に戻り、 
机を挟んで製作を始める。 
リナが鉄板を手に持つ。 
「これ、どうするんだ？」 

「魔獣が罠にかかると 
振動で反応するセンサーを作る。 
まず鉄を小さく切ろう。」 

誠也がナイフを取り、 
鉄板を四角に切る。 
「罠に置けるサイズにしないと。 
5センチ角くらいでいいかな。」 

ナイフを動かし、 
ギコギコと削る。 
鉄が硬く、 
少し手が疲れる。 
「切り口が粗いな。 
やすりで整えよう。」 

やすりを手に持つ。 
鉄の縁を擦り、 
滑らかにする。 
「これで手に刺さらない。」 

リナが言う。 
「私もやるよ。」 
別の鉄板を手に取り、 
誠也の真似をして切る。 
「硬いな、これ。 
猟師のナイフでも大変だ。」 

二人が鉄を整え、 
4つの鉄片ができる。 
誠也が魔石を手に取る。 
「次はこれを付ける。 
振動を感知して 
音で知らせるようにする。」 

魔石を鉄片に置く。 
「どう固定する？」 
リナが聞く。 

「穴を開けて 
紐で結ぼう。」 
誠也が小さな錐を取り、 
鉄片の角に穴を開ける。 
「慎重にやらないと 
割れる。」 

錐を回し、 
小さな穴を4つ作る。 
革紐を通し、 
魔石を結びつける。 
「これで落ちない。」 

リナが別の鉄片に挑戦。 
「私も穴開けるよ。」 
錐を握り、 
少しぎこちなく回す。 
「できた！ 
紐通すのってこうだろ？」 
革紐を結び、 
魔石を固定する。 

誠也が力を込める。 
「罠の振動を感知し、 
音を鳴らせ」と意識を集中。 
魔石が光り、 
センサーが小さく鳴る。 
「できた。 
罠センサーだ。」 

リナが試す。 
机を叩くと、 
センサーがピーッと鳴る。 
「おお、反応した！ 
これなら罠が分かるな。」 

「森で試そう。 
罠に付けてみて。」 

二人は森の入り口へ。 
リナが罠を出す。 
木の枝と紐で作った簡単な仕掛けだ。 
「ここに置くよ。」 
罠にセンサーを結びつける。 

少し離れて待つ。 
しばらくすると、 
フォレストラットが近づく。 
鼠が罠にかかり、 
紐が引っ張られる。 
センサーがピーッと鳴り、 
音が森に響く。 

リナが弓を構え、 
「よし、来た！」 
矢を放ち、 
 鼠の足を射る。 
「センサー、便利だな！ 
これで畑が守れる。」 

誠也が言う。 
「良かった。 
目立たないし、 
役立つね。」 

リナが笑う。 
「お前、凄いな。 
また何か作る時、 
手伝うよ。 
森で会おうぜ。」 

宿に戻り、 
罠センサーを手に持つ。 
「人と一緒に作るのも 
悪くないな。」 

誠也は新しい協力関係を感じ、
フィアルの暮らしが、 
少し広がった気がした。