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第一章
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「見て! ノエルが女の子に声をかけられてる!」
「きゃー! 照れ顔たまらん! やっぱりノエルも男の子よね! ショーンは? ショーンはどこ?」
「ショーンはあっちのカーテンの陰で隠れてる」
「それ、同じく人混みから逃げてきた女の子と恋に落ちちゃうやつじゃない!? 間近で見たい!」
人目をさほど気にする必要がなくなった私達はきゃあきゃあとはしゃぐ。しっかり口元は隠しているし、小声なので周りにはバレていない。……よね?
あー、今日も二人の可愛さは天井知らず!!
ふっと会場が静まり、オーケストラの奏でるワルツに合わせて数組の男女が中央に出てきた。手を取り見つめあう姿には思わずため息が漏れる。
「いいわねぇ」
「ショーンを誘えばいいじゃないか。照れて悪態つくだろうけど断りはしないよ。……きっと目は合わないんだろうなぁ。逸らしつつも顔を真っ赤にしたショーン! 特等席で見たい!」
「うわぁ、それ是非見たい!! ……けど、やめておくわ」
そのシーンはまさにスチルそのものだから逃すのは惜しいが、私が踊っている間にショーンとララのフラグが折れたら大変だ。
「えぇ、残念だな。……じゃ、じゃあさ。どうしても踊りたいなら僕が付き合ってあげてもいいけど?」
自分こそ、こちらも見ずに誘うレスターの頬が真っ赤な薔薇色に染まっていて、思わず笑ってしまった。
「わ、わわ笑わないでよ!」
「ごめんごめん。ありがとう。……でもレスターとも踊らないわ。それに、あなたは引く手数多でしょう?」
私に断られたレスターだが、一瞬きょとんとするもすぐに面白いものを見たとばかりににやけた笑みを浮かべた。
「へぇ……君にも可愛らしいところがあるんだね」
「何の話?」
「最初のダンスは好きな人と踊りたいって言うんでしょ?」
好きな人と聞いて一瞬顔が熱を持つ。からかわれたらしい。
「もう。違うわよ! 好きな人なんていません!」
否定すれば「はいはい」とあしらわれ、思わず握った拳を振り上げるも笑いながら止められる。
「おい。イチャつくな」
いきなりかかった声に二人して動きを止めて声の主に目を向けると、不機嫌さを隠そうともしないルーファスがララを連れて歩いてきた。
「イチャついてなんかいません。そっちこそ踊ってきなさいよ。来た意味ないじゃない」
「そうしようと思ったら、うちの人間が人目もはばからず羽目を外しているのが見えたんでな。注意しに来ただけだ」
一人になるなよと言い残してルーファスとララは中央に向かって行った。
まったく、最近のルーファスは年頃の娘を持つ父親のように口うるさいんだから。
それにララもララだ。「エルザさんと踊りたかったです……」ってしょんぼり言われても無理だからね!
最近はララが捨てられた子犬に見えてしまって困る。仲良くしてくれることは嬉しいけどね。
二人が去ってからもレスターと終わらないお喋りに花を咲かせていたが、いつまでも踊らない私達に痺れを切らしたらしいご令嬢がレスターをダンスに誘い、私を一人にすることが気がかりな様子のレスターも私に背中を押される形でご令嬢に手を差し出した。
一人で壁の花になっていたらダンスの誘われ待ちと思われてしまいそうだ。
我らがキングの忠告に従って、知り合いを探すことにした。
「きゃー! 照れ顔たまらん! やっぱりノエルも男の子よね! ショーンは? ショーンはどこ?」
「ショーンはあっちのカーテンの陰で隠れてる」
「それ、同じく人混みから逃げてきた女の子と恋に落ちちゃうやつじゃない!? 間近で見たい!」
人目をさほど気にする必要がなくなった私達はきゃあきゃあとはしゃぐ。しっかり口元は隠しているし、小声なので周りにはバレていない。……よね?
あー、今日も二人の可愛さは天井知らず!!
ふっと会場が静まり、オーケストラの奏でるワルツに合わせて数組の男女が中央に出てきた。手を取り見つめあう姿には思わずため息が漏れる。
「いいわねぇ」
「ショーンを誘えばいいじゃないか。照れて悪態つくだろうけど断りはしないよ。……きっと目は合わないんだろうなぁ。逸らしつつも顔を真っ赤にしたショーン! 特等席で見たい!」
「うわぁ、それ是非見たい!! ……けど、やめておくわ」
そのシーンはまさにスチルそのものだから逃すのは惜しいが、私が踊っている間にショーンとララのフラグが折れたら大変だ。
「えぇ、残念だな。……じゃ、じゃあさ。どうしても踊りたいなら僕が付き合ってあげてもいいけど?」
自分こそ、こちらも見ずに誘うレスターの頬が真っ赤な薔薇色に染まっていて、思わず笑ってしまった。
「わ、わわ笑わないでよ!」
「ごめんごめん。ありがとう。……でもレスターとも踊らないわ。それに、あなたは引く手数多でしょう?」
私に断られたレスターだが、一瞬きょとんとするもすぐに面白いものを見たとばかりににやけた笑みを浮かべた。
「へぇ……君にも可愛らしいところがあるんだね」
「何の話?」
「最初のダンスは好きな人と踊りたいって言うんでしょ?」
好きな人と聞いて一瞬顔が熱を持つ。からかわれたらしい。
「もう。違うわよ! 好きな人なんていません!」
否定すれば「はいはい」とあしらわれ、思わず握った拳を振り上げるも笑いながら止められる。
「おい。イチャつくな」
いきなりかかった声に二人して動きを止めて声の主に目を向けると、不機嫌さを隠そうともしないルーファスがララを連れて歩いてきた。
「イチャついてなんかいません。そっちこそ踊ってきなさいよ。来た意味ないじゃない」
「そうしようと思ったら、うちの人間が人目もはばからず羽目を外しているのが見えたんでな。注意しに来ただけだ」
一人になるなよと言い残してルーファスとララは中央に向かって行った。
まったく、最近のルーファスは年頃の娘を持つ父親のように口うるさいんだから。
それにララもララだ。「エルザさんと踊りたかったです……」ってしょんぼり言われても無理だからね!
最近はララが捨てられた子犬に見えてしまって困る。仲良くしてくれることは嬉しいけどね。
二人が去ってからもレスターと終わらないお喋りに花を咲かせていたが、いつまでも踊らない私達に痺れを切らしたらしいご令嬢がレスターをダンスに誘い、私を一人にすることが気がかりな様子のレスターも私に背中を押される形でご令嬢に手を差し出した。
一人で壁の花になっていたらダンスの誘われ待ちと思われてしまいそうだ。
我らがキングの忠告に従って、知り合いを探すことにした。
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