47 / 51
長編版
47 もう一つの攻防戦の決着④
しおりを挟む
「ようこそおいでくださいました。公爵様もお越しくださるなんて嬉しいこと」
静まり返った室内を取り成したのは母だった。
スコット公爵ご夫妻は母の出迎えに友人らしい親愛の篭る笑みを返している。
公爵様の御子息と同じ蜂蜜色の髪は優しい色合いをしているが、榛色の目は切れ長でとても鋭い。しかし笑うとその目は更に細くなって、まるで狐のような愛嬌を見せる方だ。
対してアーモンド型の鳶色の目を優しく細めて母との再会を喜んでいる公爵夫人、ルシエンタ様は線が細く柔らかく儚げで、この国の全ての貴族令嬢のみならず殿方からも理想の貴婦人として憧れの存在だ。もちろんわたくしにとってもお手本とするべき方だが、それがどうして我が家の別荘にお越しになったのか。
「いやぁ。妻がエドワーズの別荘にお呼ばれしたと聞いたら居ても立っても居られなくてね。仕事なんてしていられないよ」
長く社交界を離れていたはずだが、どうやらご夫婦を招待したのは母らしい。
母へ向けられた笑顔をそのままに、公爵様は父へも長年の友人に対するように微笑みかけた。
「久しぶりに会えて嬉しいよ。エドワーズ。君の声は昔から太く良く響くなぁ。外まで聞こえていたよ。学園では共に切磋琢磨していた学友だというのにひどいじゃないか」
笑顔ながらも公爵様は眉を下げて悲しみを表現した。しかし父は憮然として、公爵様に近寄っていた母を引き戻した。
「すべて事実だろうが。わしの妻や娘に近づくな、この外道が。貴様の息子も息子だ。わしに無断で娘を連れ出しおって。要らぬところばかり親に似たらしいな」
「そうそう! うちの息子が君の娘に求婚したらしいじゃないか! 僕は全く聞いていないよ。どうして父親が蚊帳の外なんだ、アシュレイ。そういったことは父に一番に相談するべきことだろう?」
「……申し訳ございません、父上」
父からの真正面からの侮辱も受け流してしまう公爵様にアシュレイ様は少し苛立っているように見えた。そんな息子の様子に気付いているのかいないのか、公爵様は浮かれたように父にまた話しかけた。
「いやぁ、本当に嬉しくってねぇ。君も突然『私達の友情も今日限りとしてくれ』なんて言い出してから理由も聞かせてくれなかっただろう? ずっと寂しく思っていたんだ。これを機にまた交流を持てたらこんなに嬉しいことはないよ」
「断る。そもそもエレシアを貴様の息子にやるつもりはない」
ここに来て公爵様はやっと父がわたくし達の婚姻を許していないことに気がついたようだった。困ったように目を瞬いた。
「……それはもしかして僕との仲違いが原因かい? それなら理由を教えてくれよ。何度聞いたって君は一度も教えてくれなかったじゃないか。僕は王立学園に入学してからずっと君と親しくしていたつもりでいたのに」
「わしだってそうだ!!」
毛を逆立てて怒鳴った父は、人差し指を公爵様に突き付けた。
「貴様とは良きライバルであり友であると思っておったが、そのわしの親愛を貴様は裏切ったのだ!! ……良いだろう。貴様の息子に聞かせるのはあまりにも非道なことだと黙っていてやったが、娘を拐かす息子にそのような気遣いは無用であったわ! わしはな、この目でしっかりと見たのだ。学生の時分、お前が王女殿下を激しく罵りあろうことか体を押し除け転倒させたところをな!!」
激しく、罵り。押し除け、転倒。
背筋がぞわりと凍りついたようだった。
父が学生の頃ということは、陛下の妹姫であられる公爵夫人はれっきとした王族だ。その方を罵り転倒させるなんて、怪我をしていなかったとしても到底許されることでは……。
無意識に事実なのかとアシュレイ様の顔へと目を向けた時、アシュレイ様は頭痛がするとばかりに頭を押さえていた。
「…………あれを見られていたのか……」という苦悶の言葉はアシュレイ様と同じ体勢をとる公爵様のものだった。
「陛下に何度進言してもお前達二人の問題だからと取り合ってもいただけずに今まで王女殿下の苦慮を見て見ぬふりしてきたが、娘に同じ思いをさせるわけにはいかん。お前の息子になど決して嫁がせんぞ!!」
昔の父なら私がどのような扱いを受けようが気にも止められなかったかもしれない。いいえ、昔から父はわたくしを可愛がってくれていた。もちろんそれはご自分の基準に沿った賢い娘を可愛がっているに過ぎなかったが、今の父は紛れもなくアシュレイ様からわたくしを守るつもりでいらっしゃるようだった。
「…………父上。僕は人には見られぬようにだけはお願いしますと何度も申し上げたはずですが」
「待ってくれ息子よ。それでは僕が喜んで興じているように聞こえる」
「結婚生活が二十年にもなればそれはお互い合意の上での行為と思われても仕方ないと思いますが」
「いやほんと違うんだって。それを息子に疑われることだけは絶対に看過できない」
公爵様はアシュレイ様とのよく分からないやり取りの後頭を振り、父に向き直ったときには浮かべていたはずの笑顔も困惑の表情もなくなり、汗のにじむ必死の形相で父に詰め寄った。
「エドワーズ、それは誤解だ。僕は喜んでしていない」
「な、何をいうかと思えば……お前は王女殿下を暴力で脅して婚約者の座についたのだろう! 息子の前だからとわしをごまかすつもりか!」
「──だから逆なんだよ!! 僕が、この女に脅されていたんだ!!」
この女、といって指を差されたのは当然の如く公爵様の奥方だった。
父はあまりの暴言に「こっ、こっ」と鶏のようになっている。
そして当のスコット公爵夫人は──赤らめた頬を両手で押さえ、アシュレイ様と同じ鳶色の瞳を潤ませていた。
「この女、だなんて初めて頂きましたわ。ぜひともこれからはそれでお願いいたします。もちろん今夜の閨でも是非に」
「ちょっと黙っていてくれるかい、奥さん……僕はいま長年の友人を本格的に失うところなんだ」
「まぁ。では、このおんな、黙っていろ。でお願いいたします。もちろん蔑む目で見下すのもお忘れなく。さぁさぁ!」
「ほら見ただろう聞いただろう!? 君の憧れの王女殿下の本性がこれなんだよ!!」
見ていたのか聞いていたのか、父は愕然と固まってしまい、その肩を公爵様が激しく揺すって言い募った。
「僕の何が気に入ったのかこの女は事あるごとに王家を振りかざして僕に理解できない妙な行為の強要をしてきたんだ! 相談しようにも君は僕と話すことすら拒絶するし、陛下は──当時は王太子殿下であらせられたがあの方は妹が楽しそうで私は嬉しいと宣ったんだぞ!! 気が付けばいつの間にか婚約者にされているし逃げ場を塞がれて……っ頼むから信じてくれ!! 友人の君には変態的な趣味のある男だと誤解されたくない!!」
必死な公爵様を愛おしげに見つめながらも未だ頬を上気させたままの公爵夫人は母と和やかに話していた。
「ルシエンタ様は昔から公爵様を慕っていらっしゃいましたものねぇ」
「ええ。それはもう。この細く鋭い目付きに造形物のように美しい白皙、これで怜悧な刃物のような性格ならば満点でしたが、そこは育てがいがあるというものです」
「そこはわかる気が致しますわ」
まったくもって分からない……。
憧れの貴婦人の思いもよらぬ発言に、呆然とこの場においてもっとも頼りにしている男性へと目を向ける。
未だ激しい頭痛に襲われていたらしいアシュレイ様は慌てたようにわたくしの眼前に顔を寄せ、両手を取った。
「誤解しないでね、エレシア。僕は君にはほんの一瞬でも悲しい思いはして欲しくないし、もちろん泣かせたいなんて思ったことは一度もない。女性に手をあげたいなんて不穏なことを考える男は滅びればいいと思っている部類の人間だから」
「それは父上もだよ!! 僕だって出来るならきれいな奥さんと穏やかに暮らしたかったさ! なのにこの女は断る僕になんて言ったと思う!? 『このような人気のないところでは、何か人の道にもとる行為があったとしても……当事者にしかわかりませんわね?』……だよ! やらなきゃ冤罪をかけてやると脅してきたんだぞ!!」
「そんなこともありましたわね! その時になってやっと罵ってくださって。長きにわたる調教が身を結んだ瞬間でございました」
その後も公爵夫人は何かを話し続けたが、アシュレイ様によって両耳が塞がれてしまって、何も聞こえなかった。
憧れの君の本性を数十年越しに知ってしまった父は、まるで抜け殻のようになってしまった。
今にも白く崩れ去ってしまいそうなほどに。
「……つまり、あれは王女殿下も合意されていた、と……?」
「だから僕の合意はなかったんだって……」
「ええ。わたくしからお願いして罵っていただきました。だってこの人ったらとてもわたくしの理想そのものなんですもの。逃す手はないかなと思いまして」
上気した頰に手を当て美しく微笑む公爵夫人の姿に、わたくしは思い出した。
今代陛下が王立学園三年の時分、騎士団の体験入団の際に、当時すでに騎士として身を立てていた王妃殿下にコテンパンに叩きのめされたその場で婚約を申し出たということを。
「まさか……陛下も……」
「陛下はただ格好いい強い女性がお好きなだけだから安心して。変態なのは僕の両親だけだよ……」
違うと言っているのに!! と遠くで公爵様の嘆きが聞こえる中、わたくしは──これが、まさかこれが原因で婚姻を認めていただけなかったのかと複雑な思いを抱いていた。
静まり返った室内を取り成したのは母だった。
スコット公爵ご夫妻は母の出迎えに友人らしい親愛の篭る笑みを返している。
公爵様の御子息と同じ蜂蜜色の髪は優しい色合いをしているが、榛色の目は切れ長でとても鋭い。しかし笑うとその目は更に細くなって、まるで狐のような愛嬌を見せる方だ。
対してアーモンド型の鳶色の目を優しく細めて母との再会を喜んでいる公爵夫人、ルシエンタ様は線が細く柔らかく儚げで、この国の全ての貴族令嬢のみならず殿方からも理想の貴婦人として憧れの存在だ。もちろんわたくしにとってもお手本とするべき方だが、それがどうして我が家の別荘にお越しになったのか。
「いやぁ。妻がエドワーズの別荘にお呼ばれしたと聞いたら居ても立っても居られなくてね。仕事なんてしていられないよ」
長く社交界を離れていたはずだが、どうやらご夫婦を招待したのは母らしい。
母へ向けられた笑顔をそのままに、公爵様は父へも長年の友人に対するように微笑みかけた。
「久しぶりに会えて嬉しいよ。エドワーズ。君の声は昔から太く良く響くなぁ。外まで聞こえていたよ。学園では共に切磋琢磨していた学友だというのにひどいじゃないか」
笑顔ながらも公爵様は眉を下げて悲しみを表現した。しかし父は憮然として、公爵様に近寄っていた母を引き戻した。
「すべて事実だろうが。わしの妻や娘に近づくな、この外道が。貴様の息子も息子だ。わしに無断で娘を連れ出しおって。要らぬところばかり親に似たらしいな」
「そうそう! うちの息子が君の娘に求婚したらしいじゃないか! 僕は全く聞いていないよ。どうして父親が蚊帳の外なんだ、アシュレイ。そういったことは父に一番に相談するべきことだろう?」
「……申し訳ございません、父上」
父からの真正面からの侮辱も受け流してしまう公爵様にアシュレイ様は少し苛立っているように見えた。そんな息子の様子に気付いているのかいないのか、公爵様は浮かれたように父にまた話しかけた。
「いやぁ、本当に嬉しくってねぇ。君も突然『私達の友情も今日限りとしてくれ』なんて言い出してから理由も聞かせてくれなかっただろう? ずっと寂しく思っていたんだ。これを機にまた交流を持てたらこんなに嬉しいことはないよ」
「断る。そもそもエレシアを貴様の息子にやるつもりはない」
ここに来て公爵様はやっと父がわたくし達の婚姻を許していないことに気がついたようだった。困ったように目を瞬いた。
「……それはもしかして僕との仲違いが原因かい? それなら理由を教えてくれよ。何度聞いたって君は一度も教えてくれなかったじゃないか。僕は王立学園に入学してからずっと君と親しくしていたつもりでいたのに」
「わしだってそうだ!!」
毛を逆立てて怒鳴った父は、人差し指を公爵様に突き付けた。
「貴様とは良きライバルであり友であると思っておったが、そのわしの親愛を貴様は裏切ったのだ!! ……良いだろう。貴様の息子に聞かせるのはあまりにも非道なことだと黙っていてやったが、娘を拐かす息子にそのような気遣いは無用であったわ! わしはな、この目でしっかりと見たのだ。学生の時分、お前が王女殿下を激しく罵りあろうことか体を押し除け転倒させたところをな!!」
激しく、罵り。押し除け、転倒。
背筋がぞわりと凍りついたようだった。
父が学生の頃ということは、陛下の妹姫であられる公爵夫人はれっきとした王族だ。その方を罵り転倒させるなんて、怪我をしていなかったとしても到底許されることでは……。
無意識に事実なのかとアシュレイ様の顔へと目を向けた時、アシュレイ様は頭痛がするとばかりに頭を押さえていた。
「…………あれを見られていたのか……」という苦悶の言葉はアシュレイ様と同じ体勢をとる公爵様のものだった。
「陛下に何度進言してもお前達二人の問題だからと取り合ってもいただけずに今まで王女殿下の苦慮を見て見ぬふりしてきたが、娘に同じ思いをさせるわけにはいかん。お前の息子になど決して嫁がせんぞ!!」
昔の父なら私がどのような扱いを受けようが気にも止められなかったかもしれない。いいえ、昔から父はわたくしを可愛がってくれていた。もちろんそれはご自分の基準に沿った賢い娘を可愛がっているに過ぎなかったが、今の父は紛れもなくアシュレイ様からわたくしを守るつもりでいらっしゃるようだった。
「…………父上。僕は人には見られぬようにだけはお願いしますと何度も申し上げたはずですが」
「待ってくれ息子よ。それでは僕が喜んで興じているように聞こえる」
「結婚生活が二十年にもなればそれはお互い合意の上での行為と思われても仕方ないと思いますが」
「いやほんと違うんだって。それを息子に疑われることだけは絶対に看過できない」
公爵様はアシュレイ様とのよく分からないやり取りの後頭を振り、父に向き直ったときには浮かべていたはずの笑顔も困惑の表情もなくなり、汗のにじむ必死の形相で父に詰め寄った。
「エドワーズ、それは誤解だ。僕は喜んでしていない」
「な、何をいうかと思えば……お前は王女殿下を暴力で脅して婚約者の座についたのだろう! 息子の前だからとわしをごまかすつもりか!」
「──だから逆なんだよ!! 僕が、この女に脅されていたんだ!!」
この女、といって指を差されたのは当然の如く公爵様の奥方だった。
父はあまりの暴言に「こっ、こっ」と鶏のようになっている。
そして当のスコット公爵夫人は──赤らめた頬を両手で押さえ、アシュレイ様と同じ鳶色の瞳を潤ませていた。
「この女、だなんて初めて頂きましたわ。ぜひともこれからはそれでお願いいたします。もちろん今夜の閨でも是非に」
「ちょっと黙っていてくれるかい、奥さん……僕はいま長年の友人を本格的に失うところなんだ」
「まぁ。では、このおんな、黙っていろ。でお願いいたします。もちろん蔑む目で見下すのもお忘れなく。さぁさぁ!」
「ほら見ただろう聞いただろう!? 君の憧れの王女殿下の本性がこれなんだよ!!」
見ていたのか聞いていたのか、父は愕然と固まってしまい、その肩を公爵様が激しく揺すって言い募った。
「僕の何が気に入ったのかこの女は事あるごとに王家を振りかざして僕に理解できない妙な行為の強要をしてきたんだ! 相談しようにも君は僕と話すことすら拒絶するし、陛下は──当時は王太子殿下であらせられたがあの方は妹が楽しそうで私は嬉しいと宣ったんだぞ!! 気が付けばいつの間にか婚約者にされているし逃げ場を塞がれて……っ頼むから信じてくれ!! 友人の君には変態的な趣味のある男だと誤解されたくない!!」
必死な公爵様を愛おしげに見つめながらも未だ頬を上気させたままの公爵夫人は母と和やかに話していた。
「ルシエンタ様は昔から公爵様を慕っていらっしゃいましたものねぇ」
「ええ。それはもう。この細く鋭い目付きに造形物のように美しい白皙、これで怜悧な刃物のような性格ならば満点でしたが、そこは育てがいがあるというものです」
「そこはわかる気が致しますわ」
まったくもって分からない……。
憧れの貴婦人の思いもよらぬ発言に、呆然とこの場においてもっとも頼りにしている男性へと目を向ける。
未だ激しい頭痛に襲われていたらしいアシュレイ様は慌てたようにわたくしの眼前に顔を寄せ、両手を取った。
「誤解しないでね、エレシア。僕は君にはほんの一瞬でも悲しい思いはして欲しくないし、もちろん泣かせたいなんて思ったことは一度もない。女性に手をあげたいなんて不穏なことを考える男は滅びればいいと思っている部類の人間だから」
「それは父上もだよ!! 僕だって出来るならきれいな奥さんと穏やかに暮らしたかったさ! なのにこの女は断る僕になんて言ったと思う!? 『このような人気のないところでは、何か人の道にもとる行為があったとしても……当事者にしかわかりませんわね?』……だよ! やらなきゃ冤罪をかけてやると脅してきたんだぞ!!」
「そんなこともありましたわね! その時になってやっと罵ってくださって。長きにわたる調教が身を結んだ瞬間でございました」
その後も公爵夫人は何かを話し続けたが、アシュレイ様によって両耳が塞がれてしまって、何も聞こえなかった。
憧れの君の本性を数十年越しに知ってしまった父は、まるで抜け殻のようになってしまった。
今にも白く崩れ去ってしまいそうなほどに。
「……つまり、あれは王女殿下も合意されていた、と……?」
「だから僕の合意はなかったんだって……」
「ええ。わたくしからお願いして罵っていただきました。だってこの人ったらとてもわたくしの理想そのものなんですもの。逃す手はないかなと思いまして」
上気した頰に手を当て美しく微笑む公爵夫人の姿に、わたくしは思い出した。
今代陛下が王立学園三年の時分、騎士団の体験入団の際に、当時すでに騎士として身を立てていた王妃殿下にコテンパンに叩きのめされたその場で婚約を申し出たということを。
「まさか……陛下も……」
「陛下はただ格好いい強い女性がお好きなだけだから安心して。変態なのは僕の両親だけだよ……」
違うと言っているのに!! と遠くで公爵様の嘆きが聞こえる中、わたくしは──これが、まさかこれが原因で婚姻を認めていただけなかったのかと複雑な思いを抱いていた。
0
あなたにおすすめの小説
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他
猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。
大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる