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43.安心
しおりを挟むそうそれはまるで、まだ言葉が話せないクォーツからのありったけの心を伝えた、愛情表現。
クォーツは自分が回復してからの数時間で経験した様々な感情を学習し、嬉しい気持ちや幸せに感じた出来事の全てを良き行いと考えた。それはジャニスティとアメジストも同じく喜ぶのだろうと思い、実行したのである。
そのくちびるからじわりと流れ込んできた、温かい“何か”。
――この子が持つ“魔力”なのだろうか?
ジャニスティは頬に残るその余韻を感じながら、自分の足にくっつき楽しそうにキャッキャと笑うクォーツを、見つめた。
「君は……レヴシャルメの力とは。本当に不思議が多いのだな」
「んぱぁう?」
答えるような声にジャニスティは笑いながら軽々と、右肩にクォーツを乗せた。その様子を落ち着きを取り戻したアメジストがニコニコと眺め、ふと思う。
(やっぱり、とても仲の良い親子のようだわ)
「何だかちょっぴり、羨ましい……な」
そう、聞こえない声で小さく呟いた。
ぼーっと二人を見つめる彼女の視線は少しだけ曇る。それに気付いたジャニスティが、心配そうに口を開く。
「アメジスト様、いかがなさいましたか?」
「エッ?! あ、いえ何でも、何でもないのよ! そろそろ私はお部屋へ」
気持ちを悟られまいと必死で笑顔を作る。そして早くこの場を立ち去ろうと思い焦るアメジストの姿にジャニスティは、優しく声をかけた。
「お嬢様、大丈夫です。これからはクォーツがお傍に、そして可能であれば……」
何かを言おうとした彼は左手の甲を口に当て、言葉を飲み込む。口籠るジャニスティの表情は思い悩むように、強張っていた。アメジストはそんな彼の事が気になりながらも、それ以上は聞かずに答える。
「えぇ、分かっているわ。いつもその言葉で安心させてくれて、ありがとう」
――『大丈夫』
(私はこれまで、その思いやりの言葉に――ジャニスにどれだけ救われてきたか)
「そう、あなたの言葉はいつも、私に元気と勇気を与えてくれるのよ? 本当にありがとう、ジャニス」
そう言ったアメジストは、穏やかに微笑んだ。
「いえ、とんでもございません」
「んぱ!」
クォーツの声にハッとするジャニスティ。壁掛け時計で時刻を確認、昼食の時間が迫っていた。
(奥様が来たのは、想定外だ)
「お嬢様、お部屋までの帰り道ですが。奥様に会う可能性が考えられます」
「そっかぁ、そうよね」
すると一つ提案があるという彼は、回避する方法をアメジストに話した。
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