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151.様子
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「早く! 急いで」
「「「はいっ!!」」」
この日、朝に起こった食事の部屋での出来事。
スピナが発した鶴の一声により突然開くこととなった『お茶会』の準備に追われ、屋敷中のお手伝いたちは慌ただしく、走り回っていた。
バタバタ……ドンッ!
「――んッ!」
「あぁ! すみま……はぁ……なんだ。ラミかぁ」
アメジストを乗せた馬車を見送ってすぐ、食事の部屋へ戻ろうとしていたラルミは仲の良いお手伝い仲間の一人と扉の前で、ぶつかる。
片付けなどで忙しいのは理解していたがその同僚があまりにも動揺している姿に違和感を感じ、首を傾げた。
「はぁー。もぉ~ラミってば、驚かさないでよっ……て、よそ見していたのは私の方だわ。はぁ……ごめん」
そう言うとまた大きく溜息をつきながらいつも以上にホッとした様子で心臓に両手を当て、胸を撫でおろす。
「私こそ、ごめんね。えっと……? 一体、どうしたの?」
「え? あぁ! そう、そうよ。こうしちゃいられないんだったわ!! ラミも早く片付けて、終わり次第準備に取り掛かって――」
「う、うん? わかった」
そう言うと部屋の扉を勢いよく開ける。その瞬間ラルミの目に映った光景はあまりにもギスギスとする、淀んだ雰囲気であった。
(皆、必要最低限の会話しかしないのはいつもだけれど。何かがおかしい気が――それに、あの子、顔色が真っ青だわ)
「何だか皆、変じゃない?」
「――え? あ……ぅ」
ラルミが気になった“あの子”とは――スピナにわざと後ろからぶつかられ倒れ込み、しばらく起き上がれなくなっていたお手伝いのことである。
痺れる程の強い衝撃を与えられたそのお手伝いを見ていた他の者たちは、その後『お茶会でアメジストを――』と不本意で卑劣な命令をされたことでスピナの事を“独裁者”だと、その場にいたお手伝い全員がそう感じた瞬間だった。
しかしアメジストの部屋へ朝の挨拶に行っていたラルミはそのような辛い目に遭い支配力の的に彼女がなっていたとは、露知らず。今はただ、目の前にいる彼女がいつもと違う様子で無表情、動きは悪く歩きも遅い。何より怯えているようだと、心配になっていた。
「ちょっと! あなたたち何やっているの!? 急がないと……あと此処を片付けたら、次は庭の準備を」
仕切る声が聞こえてくる中でふと、呟くように同僚が言う。
「もうすぐ、奥様が進捗を窺いに……私たちの様子を見にくる」
「――ッ!」
その言葉でラルミは凍るように、動けなくなった。
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