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205.態度
しおりを挟むざわざわ……。
「べ、ベルメルシア様! 申し訳ございませんでした。私の不注意で」
「店主。先程、エデも申したはずだ。君が謝ることではない。それより今日は、愛娘の服を見繕ってほしいのだが」
「――ッ!!」
洋服店の店主は驚いた表情で涙を浮かべるとすくっと立ち上がり感謝の気持ちを、伝える。
「も、もちろんです!」
「では後程。頼んだよ」
「ありがとうございます、ベルメルシア様」
ニコッと笑顔で店主の言葉に応えたオニキスはすぐに表情を戻しカオメドの方へと、向く。目が合うと彼は待ってましたと言わんばかりで、話し始めた。
「いやぁ~穏便に済んで何より、何より。さて! ベルメルシア様に我が社の商品を見ていただける絶好の機会! その決め兼ね迷われている気持ちも、払拭できると思いますよ!」
「カオメド君。その私が『迷っている』とは、どういう意味かね?」
どこまでも自信過剰な彼の一切お構いなしの態度はあの時と、同じ。冷めたオニキスの視線をさらに鋭く、冷酷にする。当のカオメドはわざと面白がるような口調でオニキスを不快にさせ怒らせた後、一瞬の隙(心の乱れ)を突こうと考えていた。
が、しかし――。
彼の思い通りとはいかずその行動はオニキスの心をより、冷静にさせる。
(おぉっと、当主様には逆効果だったかな? フッフフ、では)
「嫌だなぁ~だって、当主様! 商談の時言ってたじゃあないですか。『資料はないのか』ってね! そう、此処ですよ。この場所に持ってきていたんですよ!!」
見本製品や写真を商談の際に一点も準備せず持ってきていなかったのはこの祭典で見せるためだったと言い訳するカオメドは「此処に来てからのお楽しみにしたかった」と満面の笑みで問いに、答えた。
それを聞いたオニキスは全身の力が抜ける程の息を吐き深い溜息をつくと強い口調でカオメドへと、確認をする。
「ではカオメド君。今日この場で契約締結の話を進める。これから先の未来も含め、契約をするか否かをすぐ今此処で決定しても良い。そういう認識でいいのかね?」
「えぇ、もちろんです! きっと、オニキスさん……いや、失礼いたしました。ベルメルシア様の御眼鏡にかなう品物を持ってきていますんでねぇ。さっさっ、さぁどうぞ! こちらへ――」
(若いという言葉だけでは済まされない。このカオメド=オグディアという者。礼儀を知らぬだけではなく、何かありそうだ)
そう心の中で呟き警戒するオニキスの顔は、厳しくなっていった。
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