レヴシャラ~夢想のくちびるは魔法のキスに抱かれて~

菜乃ひめ可

文字の大きさ
316 / 471

316.相想

しおりを挟む

「私……ずっと憧れていたの。学校の友人は皆、お姉様やお兄様、ごがいて。いつも賑やかで、楽しそうなお話を聞いて、それだけでもポカポカと幸せな気持ちになれる。でも、ちょっぴり寂しかったり……でも、そんな私に今日! こんなに可愛い妹が出来た」

 そう話しながら笑顔で、艶やかなクォーツの髪をアメジストは優しく撫でる。それを気持ちよさそうに受け止める妹は幸せいっぱいの表情だ。

「クォーツの素敵な愛情表現を嫌がる理由なんて、ありません」
「きゃん! お姉様も素敵で可愛いですのぉ♡」
「あら、ふふ♡ ありがとうクォーツ、とっても嬉しい」

 純真無垢な天使クォーツの笑顔にアメジストもまた満面の笑みで応え再度ジャニスティへと視線を戻すと、彼もまた笑み応える。

「私もそう思います。そしてお嬢様がいて下さるだけで周りは一面、色とりどりの花に囲まれるように明るくなる。そして貴女の美しい笑顔は、誰よりも素敵で可愛らしい」

「ぇ、ぁあ、あの……ありがとう」
 心躍るような彼からの言葉は溶けてしまいそうな程に彼女の身体を、火照らせる。そしてりんごの様に真っ赤になったアメジストは恥ずかしそうに両手でその頬を抑え、微笑んだ。

(慈愛に満ちた貴女の優しい表情……頬を赤らめる姿も。私はアメジスト様の全てを、愛おしく思う)
――もうこれ以上、自分の心に嘘はつけない。

 ジャニスティがずっと感じていた、“ある感情”。それは自身の立場を考え決して抱いてはいけないと自制してきた、想い。

「ジャニス。私も、クォーツと一緒にお利口さんで、あなたの言うことを聞いて、良い子で過ごします。だから……そんなに心配しないで、ね?」

「心配など……貴女様は、非の打ち所がない。私は、アメジスト様の事を心服しています」

「……ぁ、りがと」
(いつもと変わらないはずなのに……ジャニスの声と言葉なのに。なんだか今は胸が熱くて苦しくて、ドキドキが止まらない)

「お嬢様?」
「エッ? んぁ、何でもないの。ありがとうジャニス……あっそうだわ! ジャニス、お父様とご一緒にお出かけになるのでしょう? 最近、とてもお疲れのようで。父の事、よろしくお願いします」

「はい、承知しました」

 和ませるようにはにかんだ、アメジスト。しかしそれにも真剣な眼差しで応える彼の視線と言葉は戸惑う心を、包み込む。彼女は心臓の鼓動が早まる音が聞こえないかと胸を手のひらで抑えつつ父オニキスの身を案じていることを、伝えていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

「魔法を使わない魔術師を切り捨てた国は、取り返しのつかない後悔をする

藤原遊
ファンタジー
魔法を使わない魔術師は、役に立たない。 そう判断した王国は、彼女を「不要」と切り捨てた。 派手な魔法も、奇跡も起こさない。 彼女がしていたのは、魔力の流れを整え、結界を維持し、 魔法事故が起きないよう“何も起こらない状態”を保つことだけだった。 代わりはいくらでもいる。 そう思われていた仕事は、彼女がいなくなった途端に破綻する。 魔法は暴走し、結界は歪み、 国は自分たちが何に守られていたのかを知る。 これは、 魔法を使わなかった魔術師が、 最後まで何もせずに証明した話。 ※主人公は一切振り返りません。

お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。

四季
恋愛
お前は要らない、ですか。 そうですか、分かりました。 では私は去りますね。

地味で結婚できないと言われた私が、婚約破棄の席で全員に勝った話

といとい
ファンタジー
「地味で結婚できない」と蔑まれてきた伯爵令嬢クラリス・アーデン。公の場で婚約者から一方的に婚約破棄を言い渡され、妹との比較で笑い者にされるが、クラリスは静かに反撃を始める――。周到に集めた証拠と知略を武器に、貴族社会の表と裏を暴き、見下してきた者たちを鮮やかに逆転。冷静さと気品で場を支配する姿に、やがて誰もが喝采を送る。痛快“ざまぁ”逆転劇!

婚約破棄は構いませんが、私が管理していたものは全て引き上げます 〜成金伯爵家令嬢は、もう都合のいい婚約者ではありません〜

藤原遊
ファンタジー
成金と揶揄される伯爵家の令嬢である私は、 名門だが実情はジリ貧な公爵家の令息と婚約していた。 公爵家の財政管理、契約、商会との折衝―― そのすべてを私が担っていたにもかかわらず、 彼は隣国の王女と結ばれることになったと言い出す。 「まあ素敵。では、私たちは円満に婚約解消ですね」 そう思っていたのに、返ってきたのは 「婚約破棄だ。君の不出来が原因だ」という言葉だった。 ……はぁ? 有責で婚約破棄されるのなら、 私が“善意で管理していたもの”を引き上げるのは当然でしょう。 資金も、契約も、人脈も――すべて。 成金伯爵家令嬢は、 もう都合のいい婚約者ではありません。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...