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316.相想
しおりを挟む「私……ずっと憧れていたの。学校の友人は皆、お姉様やお兄様、ごきょうだいがいて。いつも賑やかで、楽しそうなお話を聞いて、それだけでもポカポカと幸せな気持ちになれる。でも、ちょっぴり寂しかったり……でも、そんな私に今日! こんなに可愛い妹が出来た」
そう話しながら笑顔で、艶やかなクォーツの髪をアメジストは優しく撫でる。それを気持ちよさそうに受け止める妹は幸せいっぱいの表情だ。
「クォーツの素敵な愛情表現を嫌がる理由なんて、ありません」
「きゃん! お姉様も素敵で可愛いですのぉ♡」
「あら、ふふ♡ ありがとうクォーツ、とっても嬉しい」
純真無垢な天使の笑顔にアメジストもまた満面の笑みで応え再度ジャニスティへと視線を戻すと、彼もまた笑み応える。
「私もそう思います。そしてお嬢様がいて下さるだけで周りは一面、色とりどりの花に囲まれるように明るくなる。そして貴女の美しい笑顔は、誰よりも素敵で可愛らしい」
「ぇ、ぁあ、あの……ありがとう」
心躍るような彼からの言葉は溶けてしまいそうな程に彼女の身体を、火照らせる。そしてりんごの様に真っ赤になったアメジストは恥ずかしそうに両手でその頬を抑え、微笑んだ。
(慈愛に満ちた貴女の優しい表情……頬を赤らめる姿も。私はアメジスト様の全てを、愛おしく思う)
――もうこれ以上、自分の心に嘘はつけない。
ジャニスティがずっと感じていた、“ある感情”。それは自身の立場を考え決して抱いてはいけないと自制してきた、想い。
「ジャニス。私も、クォーツと一緒にお利口さんで、あなたの言うことを聞いて、良い子で過ごします。だから……そんなに心配しないで、ね?」
「心配など……貴女様は、非の打ち所がない。私は、アメジスト様の事を心服しています」
「……ぁ、りがと」
(いつもと変わらないはずなのに……ジャニスの声と言葉なのに。なんだか今は胸が熱くて苦しくて、ドキドキが止まらない)
「お嬢様?」
「エッ? んぁ、何でもないの。ありがとうジャニス……あっそうだわ! ジャニス、お父様とご一緒にお出かけになるのでしょう? 最近、とてもお疲れのようで。父の事、よろしくお願いします」
「はい、承知しました」
和ませるようにはにかんだ、アメジスト。しかしそれにも真剣な眼差しで応える彼の視線と言葉は戸惑う心を、包み込む。彼女は心臓の鼓動が早まる音が聞こえないかと胸を手のひらで抑えつつ父オニキスの身を案じていることを、伝えていた。
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