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392.対面
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その数秒後。響いていた高音は余韻すら聴こえなくなり、瞼越しに眩しく見えていた強い光も真っ暗に戻る。それが「あぁ何かが変化したのだな」と分かった瞬間だ。
シーン…………。
そして何事もなかったかのように彼の周囲は再び静寂へと、包まれる。
(どういうことだろうか。今の音、それにあの明るい光は……)
目を瞑ったまま心の中でそんなことを思い考えているとまた、穏やかで心落ち着く声が彼の耳へと優しい音色のように流れ込んできた。
『目を開けて下さい。ジャニスティさん』
「……」
(今ここで目を開けて、本当に危険はない相手なのか?)
――いや、恐らくベリル様で間違いないだろう。
先程、名乗りはしたが彼はまだその『姿なき声』から名を呼ばれていなかった。そのため無意識に体が引きハッとした様子になったジャニスティはしばらく戸惑い、悩む様子をみせた。
するとまた、“声”が聞こえてくる。
『警戒心が強く用心深い性格、しかし優しく思いやりの波動を放つその雰囲気は、やはりエデさんと同じなのですね』
「貴方は……エデを、ご存知なのですか」
『ジャニスティさん、私を信じて――』
その言葉で警戒はスーッと解かれる。そしてゆっくり瞼が開かれ見えた彼の天色の瞳が真っ直ぐに見つめた、視線の先。
「――っ!!」
そこに現れた世にも美しい光景に思わず彼は、息をのんだ。
『申し遅れました。私の名は――“ベルメルシア=ベリル”です』
「ぁ……貴女が……」
『オニキスの妻、そしてアメジストの母でございます』
ジャニスティは一驚を喫する。
しかしそれも当然の反応であった。
昨日の会合までは『アメジストを産みすぐに息を引き取った』と聞かされていたアメジストの実母。昨晩オニキスから『永い眠りについている』と聞かされたはずの人物――“ベルメルシア家の血族者であり、治癒回復魔法の使い手ベリル”という偉大な御方が今、自分の目の前で優しく微笑む彼女と対面したからである。
「本当に、ベリル様……なのですね」
(聞いていた通りのお姿だ)
写真も見たことのないジャニスティは周囲から聞いた話の情報しか、持ち合わせていない。だが何者にも真似出来ぬであろうその吸い込まれる様な気配と真珠のように輝く艶髪は神秘と言われる、翠玉色。美しいロングストレートのふんわり髪と同色瞳の麗しさも、珍しい。
そして彼が一番驚いているのは十年以上も眠っていたとは思えないほど美しく、衰えた様子もない姿だということだ。
シーン…………。
そして何事もなかったかのように彼の周囲は再び静寂へと、包まれる。
(どういうことだろうか。今の音、それにあの明るい光は……)
目を瞑ったまま心の中でそんなことを思い考えているとまた、穏やかで心落ち着く声が彼の耳へと優しい音色のように流れ込んできた。
『目を開けて下さい。ジャニスティさん』
「……」
(今ここで目を開けて、本当に危険はない相手なのか?)
――いや、恐らくベリル様で間違いないだろう。
先程、名乗りはしたが彼はまだその『姿なき声』から名を呼ばれていなかった。そのため無意識に体が引きハッとした様子になったジャニスティはしばらく戸惑い、悩む様子をみせた。
するとまた、“声”が聞こえてくる。
『警戒心が強く用心深い性格、しかし優しく思いやりの波動を放つその雰囲気は、やはりエデさんと同じなのですね』
「貴方は……エデを、ご存知なのですか」
『ジャニスティさん、私を信じて――』
その言葉で警戒はスーッと解かれる。そしてゆっくり瞼が開かれ見えた彼の天色の瞳が真っ直ぐに見つめた、視線の先。
「――っ!!」
そこに現れた世にも美しい光景に思わず彼は、息をのんだ。
『申し遅れました。私の名は――“ベルメルシア=ベリル”です』
「ぁ……貴女が……」
『オニキスの妻、そしてアメジストの母でございます』
ジャニスティは一驚を喫する。
しかしそれも当然の反応であった。
昨日の会合までは『アメジストを産みすぐに息を引き取った』と聞かされていたアメジストの実母。昨晩オニキスから『永い眠りについている』と聞かされたはずの人物――“ベルメルシア家の血族者であり、治癒回復魔法の使い手ベリル”という偉大な御方が今、自分の目の前で優しく微笑む彼女と対面したからである。
「本当に、ベリル様……なのですね」
(聞いていた通りのお姿だ)
写真も見たことのないジャニスティは周囲から聞いた話の情報しか、持ち合わせていない。だが何者にも真似出来ぬであろうその吸い込まれる様な気配と真珠のように輝く艶髪は神秘と言われる、翠玉色。美しいロングストレートのふんわり髪と同色瞳の麗しさも、珍しい。
そして彼が一番驚いているのは十年以上も眠っていたとは思えないほど美しく、衰えた様子もない姿だということだ。
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