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420.現状
しおりを挟むその事についてジャニスティが話さずとも、おそらく彼女は過去の出来事を第三者の目から細かく情報を精査しているだろうと思ってはいたが、それでも。
ジャニスティはオニキスの口から直接聞いた言葉を間接的に彼女の耳へ入れることで『自分は当主オニキスの信頼を得ている者』と改めて彼自身の立ち位置を示し万が一、ここで疑われることのないよう気を配りながら話した。
そして今朝まで。
寝ずに書庫へ籠りオレンジ色の花について調べ物をしていたこと。
その後何かを感じ導かれるように隠し扉へ入り“光を帯びた姿のベリル”と顔を合わせたこと。
初めて会ったベリルから様々な話を聞けたことを伝えた。
永眠――つまり“息を引き取った”とされる者と会話が出来たなどと聞けば普通『そんな夢のような幻想話、頭がどうかしている』と嘲笑われてもおかしくない状況だが、しかし。
光の姿であるベリルが彼に話した真実は隠し扉内で大切に育てたベリルの魔力が宿る『オレンジ色のマリーゴールド』を、産後に寝ていた部屋へ届け枕元へ置いてくれたのは他でもない、ラルミであった。
この話から当然彼女はベルメルシア家にある隠し扉の秘密やそこへ入る資格を有している。そして何より前当主であるベリルが全幅の信頼を寄せまた、娘であるアメジストとも幼い頃から繋がりがあり心を許している人物だ。
「――以上です」
枕元に置かれた花の詳細、そしてベリルが眠りについた後の事。
ベリルに聞けなかった真実を聞くために彼は今朝起こった事実を、嘘偽りなく話した。
「そう……そうですか。ようやく、ベリル様のお心を継ぐ者が現れたのですね」
「継ぐ者? ベルメルシア家の持つ力を継ぐのは、アメジストお嬢様では」
ベリルの時と同じ感覚。
ラルミもまた不思議なことを言うな、と彼は首を傾げ聞き返した。すると彼女は頬を染めふふっと微笑むと「そうなのですが」と含みのある言い方をする。
「ふふ、ごめんなさいね、話を戻しましょう。ジャニスティ様がベリル様へお会いできたこと、とても嬉しく思いますし、力を同調させベリル様のお声に耳を傾けて下さった貴方様へ、心より感謝を」
「いえ、私はただ、導かれるままに……」
「はい。それでも旦那様がジャニスティ様をベルメルシア家に迎え入れ、そして大切な御嬢様のお守り役を。その御方がベリル様と会えた。お二人の選択は正しかったのです」
ますます首を傾げるジャニスティ。
ラルミはそれを見てまた、微笑んだ。
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