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第一章 結婚は人生の墓場と言うが
朝焼けの瞳
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もつれるように寝台の上に倒れ込むと、唇を合わせてきたのは皇弟の方だった。
口を吸い、忍び込んでくる舌に戸惑いながらも絡め合い、また唇を吸う。
皇弟の舌は少し冷たくて、グレウスのそれに比べて薄く繊細だ。踊るように口内を擽っては、捕まえようとするグレウスの舌を躱して、再び舞い戻ってくる。
指の間を濡れたような黒髪が滑り抜け、硬い掌に磁器のように滑らかな肌を感じた。
「あぁ……」
どちらからともなく、吐息が漏れる。
無意識のうちに抱き寄せた皇弟の体は、騎士たちと比べると肉付きは薄いようだが、引き締まってしなやかだった。
壊れそうなほど華奢でもなかったことに、体の大きいグレウスは少し安心する。
「グレウス……」
名を呼びながら、皇弟が体を寄せてきた。
互いにガウンを着たままだが、体の中心はすでに昂っているのがわかった。
自分だけでなく、皇弟もまた欲情していることを知って、グレウスの胸が熱くなる。
「殿下……」
「グレウス……」
口づけしながら、皇弟はグレウスの腹の上に乗り上げてきた。
グレウスの手を取り、自身の背中に手を回させる。
本当に触れていいのかと思いつつ、グレウスは手を滑らせて皇弟の肉体を確かめた。
掌で触れた背中には、程良い張りがあった。ある程度鍛えてあることが窺える。
腰は細く引き締まり、臀部は体格のわりに小振りで、柔らかな肉がうっすらとついていた。
そこから続く両脚はすらりとして長い。
口づけを交わしながら、グレウスは自分の上に跨った皇弟の脚に掌を滑らせる。ごつごつとはしていないが、十分な筋肉がついている。乗馬の名手かもしれない。
グレウスはガウンの裾から手を入れて、そのまま今度は体の中心へと手を戻していく。
内腿に指が触れると、とろりとした液体が上から伝い落ちているのが分かった。グレウスは息を荒げながら、その流れの源を探って掌を上へと滑らせる。
足の間の小さな窄まりから、温かなぬめりが滲み出ていた。――香油だ。
「……う、ッ……!」
体の中心が痛いほど張りつめて、グレウスは呻いた。
高貴な生まれの皇弟が、ここに伴侶を受け入れるつもりで、体内に香油を入れて準備していた。
それを知って、理性の糸がチリチリと焼け焦げていくのを感じる。
「殿下……ッ、本当に……?」
温かい蜜壺を指で探りながら、グレウスは訊いた。
今更止めろと言われても止められる気もしなかったが、こんなことが許されるとはまだ信じられない。
「……ぁ……ぁ、ッ……」
肩口に突っ伏して顔を隠した皇弟が、浅い息を吐いて力を抜こうとしているのを感じる。
我慢できなくなって、グレウスは窄まりの中に指を潜らせていった。節くれ立って太い指が、思いのほか抵抗なく呑み込まれていく。
香油を滴らせながら、柔らかな肉が指を締め付けてきた。
「は……、ぁ……ッ……殿下と、呼ぶな……」
浅い吐息がグレウスの耳を擽った。
どんな時も毅然としていた声が頼りなく掠れるのを聞いて、グレウスの分身がますます強くいきり立つ。
皇弟は息を荒げながら告げた。
「私の名はオルガだ……私はもう、お前の妻なのだから……オルガと呼べ……!」
気丈なその言葉に、辛うじて繋がっていた理性の糸が音を立てて千切れ飛んだ。
「あ……ッ!?」
起き上がって体を反転させ、皇弟を寝台の上に這わせる。
白い絹の掛物に漆黒の髪が流れ、蝋燭の光を受けて煌めくさまは、まるでここに夜空が広がったかのようだ。
後ろを振り返った月のような美貌は、いつもの冷たい様子が消えて、僅かな恥じらいと困惑を浮かべていた。
薄く開かれたままの唇が、グレウスの劣情を煽るかのようにひどく無防備に見える。
「ん、っ」
グレウスが唇を寄せると、皇弟は逆らわずに口づけに応えてくれた。
呼吸を合わせ、顔を傾けて口を吸い合う。物慣れない口づけを、皇弟が嗤うことはなかった。長い睫毛が震えるように瞬き、グレウスの頬を掠めるのがこそばゆい。
十分に口づけを堪能し、グレウスは顔を離すと手を伸ばして皇弟の膝を左右に開かせた。
皇弟は逆らわなかったが、その代わりに大振りの枕を抱え込み、顔をそこに埋めて隠した。
男でありながら、男に身を任せるというのは、きっと並みならぬ羞恥心に襲われるものだろう。グレウスは心情に配慮して、敢えてガウンは脱がさなかった。
ガウンの裾から手を入れて、すべすべとした感触を楽しむように手を滑らせる。内腿を遡っていくと、先程見出したばかりの濡れた入り口を探り当てた。
「ンッ……!」
肉の狭道に指先を入れて確かめると、顔を隠した皇弟がくぐもった声を上げた。
指の隙間から香油がとろりと溢れ出てくる。潤いは十分のようだ。果実のような甘い芳香がグレウスの牡を駆り立てる。
小さく口を閉じた窄まりだが、すでに柔らかく解されているようだ。グレウスが指を呑みこませると、温かな肉壁がしっとりと吸い付いてくる。
根元まで指を入れて中をぐるりと探った後、グレウスは指を増やした。
「……あ、っ……」
ガウンの背に緊張が走る。
一瞬逃げるように腰が引かれたが、浅い息を吐きながら元の位置へと戻ってきた。
――皇弟は、受け入れようとしてくれている。
それが伝わってきて、切ないような愛しさがグレウスの胸を占める。
身分の違いも、同性同士であることも飲み込んで、皇弟はグレウスの伴侶であろうとしてくれている。
たとえそれが異母兄からの命令であったとしても、グレウスが皇弟の献身を愛しく思うのは自由だ。
グレウスは、黒いガウンをそっと捲りあげた。
後ろに突き出された白い尻に、自分の太い指が二本入っている。柔らかそうな珊瑚色の肉が垣間見え、中から断続的に溢れる香油が燭台の炎を受けて光っていた。
足の間に幾らか昂った男の象徴が見えたが、萎えるどころか、その光景はグレウスの我慢に限界をもたらした。
「……もう、入れます……ッ」
挿入を告げて、グレウスは指で確かめた場所に先端を宛がった。皇弟が両腕に枕をぎゅっと抱きしめる。
それを見ながら、ゆっくりと慎重に、重みを掛けて身を沈めていく。
「あ……ぁ……!」
「……ッ……!」
他人と情を交わすのはこれが初めてだった。
娼館に行っても体格を見て断られるし、男を抱いた経験もない。
もしかして一生童貞のまま死ぬのではないかと嘆いたこともある。それがまさか、こんな高貴な相手と肌を合わせることになるとは。
ガウンの背中が強張るのを見下ろしながら、グレウスは本能に従って体を進めていく。
忙しない息遣いの合間に、くぐもった短い祈りの言葉が聞こえた。長い黒髪が寝台の上でとぐろを巻き、燭台の炎を受けてかきらきらと輝いて見えた。
苦しそうだ。――そう思いながらも衝動に逆らえず、グレウスは身を沈めていく。
「……う、んぅッ……ぁ……あ……ッ」
微かな呻き声と、その合間に聞こえる祈りの言葉。星を宿した夜空のように黒い髪が輝き、無数の雲母を身に纏うかのようだ。
先程グレウスの指を柔らかに受け止めた肉壁は、今は思わぬ暴虐に悲鳴を上げて侵入者を締め付けている。枕を握り締めた指の関節が浮き上がり、浅く繰り返される息には苦痛の響きが混じっている。
それでも、拒絶の言葉は聞かれない。
昨日まで城の奥深くで人々に傅かれていた皇弟は、伴侶と定められたグレウスを受け入れようと、必死に耐えている。
「あ……あぁぁ……ッ」
いきり立つ牡が、ようやく根元まで沈み込んだ。
腰を掴んで、グレウスは肌と肌とを密着させる。少し冷たい皇弟の肌が、グレウスの肌と触れ合って体温を分け合い、温かみを帯びた。
その瞬間、グレウスの胸に抑えきれない愛おしさが溢れ出た。
「待、て……少しだけ……ッ……」
顔を押し付けた枕の隙間から、小さな懇願の言葉が漏れた。
興奮に息を乱しながらも、グレウスは何とかして欲望を抑え込み、動きを止める。
本当はすぐにでも突き上げたかったが、きつく締め付けてくる肉壁が、まだグレウスの大きさに馴染んでいないことを告げてきた。
息を大きく継いで、何とか気を逸らそうと宙を見上げる。
あの日謁見の間で、皇帝にも勝る威厳を感じさせた皇弟が、今はグレウスに組み敷かれて寝台の上に這っている。
温かな肉は不慣れな様子で、時折痙攣しながら、グレウスの牡を締め付ける。
苦しみに悶えたせいか、ガウンの襟が乱れて白い首筋が見えた。煌めく長い黒髪の間から、神秘的な形に尖った耳と肉付きの薄い頬が、鮮やかな朱に染まっているのも見える。
枕を握り締める手。浅い息を繰り返す横顔。
白い肌はしっとりと汗を浮かべ、まるで真珠のような柔らかな輝きを帯びていた。
――美しくて、扇情的な姿だ。
堪らなくなって、グレウスは名実ともに妻となった相手の名を呼んだ。
「オルガ……」
遠慮がちに呼んだ声に反応して、長い睫毛が瞬いた。
瞼が開き、一度苦しげに閉じられた後、再び瞬きながら開く。
朝焼けの空に似た、燃えるような緋色の瞳がぼんやりとグレウスを見上げた。
「オ……」
グレウスは言葉を詰まらせる。
遠い子どもの頃、グレウスはこれと同じ瞳を間近で見たことがあった。
口を吸い、忍び込んでくる舌に戸惑いながらも絡め合い、また唇を吸う。
皇弟の舌は少し冷たくて、グレウスのそれに比べて薄く繊細だ。踊るように口内を擽っては、捕まえようとするグレウスの舌を躱して、再び舞い戻ってくる。
指の間を濡れたような黒髪が滑り抜け、硬い掌に磁器のように滑らかな肌を感じた。
「あぁ……」
どちらからともなく、吐息が漏れる。
無意識のうちに抱き寄せた皇弟の体は、騎士たちと比べると肉付きは薄いようだが、引き締まってしなやかだった。
壊れそうなほど華奢でもなかったことに、体の大きいグレウスは少し安心する。
「グレウス……」
名を呼びながら、皇弟が体を寄せてきた。
互いにガウンを着たままだが、体の中心はすでに昂っているのがわかった。
自分だけでなく、皇弟もまた欲情していることを知って、グレウスの胸が熱くなる。
「殿下……」
「グレウス……」
口づけしながら、皇弟はグレウスの腹の上に乗り上げてきた。
グレウスの手を取り、自身の背中に手を回させる。
本当に触れていいのかと思いつつ、グレウスは手を滑らせて皇弟の肉体を確かめた。
掌で触れた背中には、程良い張りがあった。ある程度鍛えてあることが窺える。
腰は細く引き締まり、臀部は体格のわりに小振りで、柔らかな肉がうっすらとついていた。
そこから続く両脚はすらりとして長い。
口づけを交わしながら、グレウスは自分の上に跨った皇弟の脚に掌を滑らせる。ごつごつとはしていないが、十分な筋肉がついている。乗馬の名手かもしれない。
グレウスはガウンの裾から手を入れて、そのまま今度は体の中心へと手を戻していく。
内腿に指が触れると、とろりとした液体が上から伝い落ちているのが分かった。グレウスは息を荒げながら、その流れの源を探って掌を上へと滑らせる。
足の間の小さな窄まりから、温かなぬめりが滲み出ていた。――香油だ。
「……う、ッ……!」
体の中心が痛いほど張りつめて、グレウスは呻いた。
高貴な生まれの皇弟が、ここに伴侶を受け入れるつもりで、体内に香油を入れて準備していた。
それを知って、理性の糸がチリチリと焼け焦げていくのを感じる。
「殿下……ッ、本当に……?」
温かい蜜壺を指で探りながら、グレウスは訊いた。
今更止めろと言われても止められる気もしなかったが、こんなことが許されるとはまだ信じられない。
「……ぁ……ぁ、ッ……」
肩口に突っ伏して顔を隠した皇弟が、浅い息を吐いて力を抜こうとしているのを感じる。
我慢できなくなって、グレウスは窄まりの中に指を潜らせていった。節くれ立って太い指が、思いのほか抵抗なく呑み込まれていく。
香油を滴らせながら、柔らかな肉が指を締め付けてきた。
「は……、ぁ……ッ……殿下と、呼ぶな……」
浅い吐息がグレウスの耳を擽った。
どんな時も毅然としていた声が頼りなく掠れるのを聞いて、グレウスの分身がますます強くいきり立つ。
皇弟は息を荒げながら告げた。
「私の名はオルガだ……私はもう、お前の妻なのだから……オルガと呼べ……!」
気丈なその言葉に、辛うじて繋がっていた理性の糸が音を立てて千切れ飛んだ。
「あ……ッ!?」
起き上がって体を反転させ、皇弟を寝台の上に這わせる。
白い絹の掛物に漆黒の髪が流れ、蝋燭の光を受けて煌めくさまは、まるでここに夜空が広がったかのようだ。
後ろを振り返った月のような美貌は、いつもの冷たい様子が消えて、僅かな恥じらいと困惑を浮かべていた。
薄く開かれたままの唇が、グレウスの劣情を煽るかのようにひどく無防備に見える。
「ん、っ」
グレウスが唇を寄せると、皇弟は逆らわずに口づけに応えてくれた。
呼吸を合わせ、顔を傾けて口を吸い合う。物慣れない口づけを、皇弟が嗤うことはなかった。長い睫毛が震えるように瞬き、グレウスの頬を掠めるのがこそばゆい。
十分に口づけを堪能し、グレウスは顔を離すと手を伸ばして皇弟の膝を左右に開かせた。
皇弟は逆らわなかったが、その代わりに大振りの枕を抱え込み、顔をそこに埋めて隠した。
男でありながら、男に身を任せるというのは、きっと並みならぬ羞恥心に襲われるものだろう。グレウスは心情に配慮して、敢えてガウンは脱がさなかった。
ガウンの裾から手を入れて、すべすべとした感触を楽しむように手を滑らせる。内腿を遡っていくと、先程見出したばかりの濡れた入り口を探り当てた。
「ンッ……!」
肉の狭道に指先を入れて確かめると、顔を隠した皇弟がくぐもった声を上げた。
指の隙間から香油がとろりと溢れ出てくる。潤いは十分のようだ。果実のような甘い芳香がグレウスの牡を駆り立てる。
小さく口を閉じた窄まりだが、すでに柔らかく解されているようだ。グレウスが指を呑みこませると、温かな肉壁がしっとりと吸い付いてくる。
根元まで指を入れて中をぐるりと探った後、グレウスは指を増やした。
「……あ、っ……」
ガウンの背に緊張が走る。
一瞬逃げるように腰が引かれたが、浅い息を吐きながら元の位置へと戻ってきた。
――皇弟は、受け入れようとしてくれている。
それが伝わってきて、切ないような愛しさがグレウスの胸を占める。
身分の違いも、同性同士であることも飲み込んで、皇弟はグレウスの伴侶であろうとしてくれている。
たとえそれが異母兄からの命令であったとしても、グレウスが皇弟の献身を愛しく思うのは自由だ。
グレウスは、黒いガウンをそっと捲りあげた。
後ろに突き出された白い尻に、自分の太い指が二本入っている。柔らかそうな珊瑚色の肉が垣間見え、中から断続的に溢れる香油が燭台の炎を受けて光っていた。
足の間に幾らか昂った男の象徴が見えたが、萎えるどころか、その光景はグレウスの我慢に限界をもたらした。
「……もう、入れます……ッ」
挿入を告げて、グレウスは指で確かめた場所に先端を宛がった。皇弟が両腕に枕をぎゅっと抱きしめる。
それを見ながら、ゆっくりと慎重に、重みを掛けて身を沈めていく。
「あ……ぁ……!」
「……ッ……!」
他人と情を交わすのはこれが初めてだった。
娼館に行っても体格を見て断られるし、男を抱いた経験もない。
もしかして一生童貞のまま死ぬのではないかと嘆いたこともある。それがまさか、こんな高貴な相手と肌を合わせることになるとは。
ガウンの背中が強張るのを見下ろしながら、グレウスは本能に従って体を進めていく。
忙しない息遣いの合間に、くぐもった短い祈りの言葉が聞こえた。長い黒髪が寝台の上でとぐろを巻き、燭台の炎を受けてかきらきらと輝いて見えた。
苦しそうだ。――そう思いながらも衝動に逆らえず、グレウスは身を沈めていく。
「……う、んぅッ……ぁ……あ……ッ」
微かな呻き声と、その合間に聞こえる祈りの言葉。星を宿した夜空のように黒い髪が輝き、無数の雲母を身に纏うかのようだ。
先程グレウスの指を柔らかに受け止めた肉壁は、今は思わぬ暴虐に悲鳴を上げて侵入者を締め付けている。枕を握り締めた指の関節が浮き上がり、浅く繰り返される息には苦痛の響きが混じっている。
それでも、拒絶の言葉は聞かれない。
昨日まで城の奥深くで人々に傅かれていた皇弟は、伴侶と定められたグレウスを受け入れようと、必死に耐えている。
「あ……あぁぁ……ッ」
いきり立つ牡が、ようやく根元まで沈み込んだ。
腰を掴んで、グレウスは肌と肌とを密着させる。少し冷たい皇弟の肌が、グレウスの肌と触れ合って体温を分け合い、温かみを帯びた。
その瞬間、グレウスの胸に抑えきれない愛おしさが溢れ出た。
「待、て……少しだけ……ッ……」
顔を押し付けた枕の隙間から、小さな懇願の言葉が漏れた。
興奮に息を乱しながらも、グレウスは何とかして欲望を抑え込み、動きを止める。
本当はすぐにでも突き上げたかったが、きつく締め付けてくる肉壁が、まだグレウスの大きさに馴染んでいないことを告げてきた。
息を大きく継いで、何とか気を逸らそうと宙を見上げる。
あの日謁見の間で、皇帝にも勝る威厳を感じさせた皇弟が、今はグレウスに組み敷かれて寝台の上に這っている。
温かな肉は不慣れな様子で、時折痙攣しながら、グレウスの牡を締め付ける。
苦しみに悶えたせいか、ガウンの襟が乱れて白い首筋が見えた。煌めく長い黒髪の間から、神秘的な形に尖った耳と肉付きの薄い頬が、鮮やかな朱に染まっているのも見える。
枕を握り締める手。浅い息を繰り返す横顔。
白い肌はしっとりと汗を浮かべ、まるで真珠のような柔らかな輝きを帯びていた。
――美しくて、扇情的な姿だ。
堪らなくなって、グレウスは名実ともに妻となった相手の名を呼んだ。
「オルガ……」
遠慮がちに呼んだ声に反応して、長い睫毛が瞬いた。
瞼が開き、一度苦しげに閉じられた後、再び瞬きながら開く。
朝焼けの空に似た、燃えるような緋色の瞳がぼんやりとグレウスを見上げた。
「オ……」
グレウスは言葉を詰まらせる。
遠い子どもの頃、グレウスはこれと同じ瞳を間近で見たことがあった。
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