アスタッテの尻拭い ~割と乗り気な悪役転生~

物太郎

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三章 エイヴィの翼 後編(前期休暇旅行編)

259、エイヴィの里 4(嫉妬のアラーニエ 1/2)

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 この里で「見張り台」と呼ばれている広い東屋と、その下に設けられた兵士の休憩や来訪者を止めおくために使われる部屋。

 電気を足元に爆ぜさせ木の幹を駆けのぼったタイガーは、見張り台の下の室内にまず飛び込み目を見張った。

 中は閑散としていた。床には大量の羽が散らばり大量の血痕が残っている。生き物の気配のない室内、タイガーは天井を見上げ眉を寄せる。

 追いついたゴヤも部屋の中を見て「こりゃひでぇ」と呟いた。

 天井には二人の兵士が括りつけられていた。どちらも息絶えてるのは一目瞭然だ。

 片方は血の気が一切なく、腹が裂かれ臓物が食い荒らされている。もう片方は食事の途中だったのか首元には血が滲み、その血が体や糸を伝って床に滴り落ちていた。

(食事中、あの犬コロに邪魔されたって所か)

 コントンが魔獣の気配と血の匂いを嗅ぎつけたと聞いていたゴヤはすぐにそう察した。

「赤い糸……。見た事ねぇな。蜘蛛の魔獣か?」

 ゴヤは壁に立てかけてあった剣を取り、それで近くの糸をつついた。粘着性のある糸が剣にべたりと着き、ゴヤが手を離すと剣はそのままぶらぶらと糸にくっついてぶら下がった。

 魔獣も生存者もいない事も分かってはいたが、タイガーは念のため確認をと足早に室内を突っ切って室内を見回し正面の窓へ向かった。

「お嬢様とピリさんは今すぐ宿に戻ってもらいましょう。護衛と魔獣狩りとで人手を分担したいと思うのですがどうです?」

「ああ。俺らぁ構わねぇぜ」

 ゴヤは肩をすくませる。「きっとナールの奴が喜ぶだろうよ」と彼は一人ごちった。

 窓から顔を出しタイガーが地上を覗く。

 「ガイアン!」と声を上げた彼だが、木々の中から飛び出す赤い線とそれの向かう先に血の気が引いた。

 二人の兵士を無惨に殺したあの赤い糸。見間違いであって欲しいが、彼の鍛え上げられた動体視力と直感が的確に現状を訴えかける。

 赤い糸を放つ魔獣の次の生き餌は―――

「お嬢様を押さえろ!!」

 タイガーの声も虚しく、ガイアンとアンナから前後で挟まれ中央にいた三人は、あの赤い糸に掴まり木々の中へと引きずり込まれてしまった。

「俺だ。魔獣だ。北の見張り台に来い―――。……?」

 タイガーの様子に「何が起きたのか」と、戸口から外を見たゴヤの視界にはアルベラとエリーとピリの姿は既になかった。

 見ていなかった間にあの三人に何があったのか。ゴヤが「くそ、どういうこった」と吐き捨てる。

 タイガーは窓から跳び、ゴヤは木の幹を滑る様に地上へと下りた。





 三人を追おうとしたガイアンだが、木々の中から魔法を受ける。それを躱した彼へ、木々の暗闇から突如人影が現れ彼へ刃を突きたてた。ガイアンは剣を抜いてそれを受け止める。

 元々下にいたアンナと、下りてきたタイガーとゴヤ。その三人へ目を向けもせず、木々の中から現れた人物は魔法で攻撃をしていく。

「―――ビオ。聞こえるかい? ビオ。―――ちっ……」

 攻撃を交わしながら通信機を腰のポケットへと仕舞い、アンナは「参ったね」と零す。ナールとスナクスからは返事があったのだが、ビオとミミロウからは返事がなかったのだ。

 おまけにあの魔族の姿も見ない。

(あいつらが意図的にミミロウとガルカの兄ちゃんをウチ等から引き剥がしたんだとしたらまんまとやられたね。―――別に、アタシらもそこまで弱きゃないけどさ!)

 アンナは握っていた湾曲剣を両手に構え直しガイアンに加勢する。





 ***





 アルベラが感じたのは腰の辺りに何かが張り付いた感覚と、そこから物凄い力で引っ張られる感覚。

「ビィィィィィィィィィィィィ!!!」

 隣からピリの叫び声が聞こえていた。エイヴィの口の構造的に舌を噛む危険性が低いのだろうか。アルベラはたまにある大きな振動に口を一切開くことが出来ないでいた。

 その振動とは―――

(ぶつかる!)

 と、アルベラは視界の端に現れ、あっという間に自分達の目前へと迫ってきた木の幹に目を瞑る。

 ―――バキィ!!

(ま、またぁ! ぶつかる!!)

 ―――ベキィ!!!

 ――—アルベラとピリを抱き、エリーが次々と目の前に迫りくる木々を細い脚で蹴り倒しす時の振動だ。

 何かに引っ張られた先、木々の奥に人影があった。自分達を引っ張る何かだろう、とアルベラは目を凝らす。



「―――キィィィィィィィィィィィ!!!!」



 午後の木漏れ日の下、その化け物は両手を広げて自分たちを待ち構えていた。

 上半身は女性。下半身は蜘蛛の化け物。その前身は血を乾かしたような赤黒い色をしていた。

「何!? なになになに!? なぁ―――!?」

 アルベラは言葉にならない叫びをあげる。 

「この化け物……、離しな、さい!!」

 エリーが二人を抱いたまま、風を起こして宙を蹴り、地面を「ダンッ」と強く踏みつけた。彼女の足が地を割り、蜘蛛女の前に六角柱の不透明な土色のクリスタルが突き出た。

 蜘蛛女が糸を出していたのは蜘蛛の尻部分からではなく、人の胴が生えた少し下辺り―――蜘蛛の腹部分(はらぶぶん)からだ。そこを狙って突き出たクリスタルを避けるべく、蜘蛛女は後退し糸を手放す。

 エリーが二人を抱えて地に着地する。

 腰辺りに糸が命中したアルベラとピリと違い、エリーはその二人に抱き付いてついてきた身だ。

 抱き着いた際に二人の粘着性の糸に体がくっついてしまってはいたが、その身を剥がすのは容易かった。

 エリーが二人を背に庇い前に出る。

 ―――ワオォォォォォォォォン!

 そこに蜘蛛女目掛け地面から黒い塊が槍となって蜘蛛女に向け放たれた。

 コントンの影だ。

 蜘蛛女は跳ねるように影を避けて後退していく。どうやら蜘蛛女は通常の蜘蛛よろしく尻からも糸が出せるようだ。糸を使いぴょんぴょんと木の幹から幹へ飛び退いていく。その動きと共に、蜘蛛女の周囲から「ジュッ……ジュッ……」と何かが焼ける音と焦げ臭い匂いがしていた。

(なるほど。コントンが丸のみにしなかったのはアレのせいか)

 コントンとの戦闘で既に蜘蛛女は二本の脚を失っていたようだ。足の千切れた部分から黒い血が垂れ、それが落ちた場所は焼けて浅い窪みを作っていた。

(それとここに姿を見せないのは―――)

 と、アルベラは自分とピリの体に着いた糸を見下ろす。

(聞こえた遠吠えはそこまで遠くない。もしかしたら来ているのか、それともその場所に縫い留められているのか……。縫い留められててもコントンなら影に潜って逃れられそうな気もするけど……そうもいかないのか? ―――とりあえずこの糸どうにかしよう)

 アルベラは纏っていたローブを脱ぎ、ピリから離れることに成功すると腰の鞄から銀のライターを取り出す。

「蜘蛛女。嫉妬のアラーニエですかね」

 エリーの呟きが聞こえ「何?」とアルベラは尋ねる。

 アルベラは脱いだローブとピリとを繋ぐ糸をライターの火であぶりながら、蜘蛛女へちらちらと警戒と観察の目を向けた。

 蜘蛛女は襲い来るコントンの影を避けまわっている。

 上半身が一糸まとわない女の体。だがその皮膚は赤黒く、背や腕の後方には茶色の硬そうな短毛が生えていた。ぼさぼさな長髪は、糊が付いて固まってしまったように所々ごわついた棒となって垂れ下がっている。細い首の上には蜘蛛の頭部。表情も何もあった物ではないのだが、その八つの目の幾つかが常に自分へ向けられているように感じアルベラの肌が粟立つ。

「……あ、よし」

 ローブとピリを繋ぐ糸を焼き切り、アルベラはその場にローブを捨てる。その手にはちゃっかりローブにぶら下げていた隠し玉(防犯用の激辛液グッズ)を幾つか回収していた。

(使いどころがあるかは分からないけど、これも立派な武器だしね)

 キシキシと口元で音を立て、蜘蛛女が首を傾げるような動作をする。彼女はアルベラ達から顔を逸らし自身の左手の木々に目をやっていた。



 ―――ワオォォォォォォォォン!!



 木々の中からコントンの真っ黒な巨体と影の触手が踊でた。彼の顔や鼻は蜘蛛の糸に覆われ、視覚と嗅覚を奪われながらも標的の居場所を突き止め攻撃をしているようだった。やはり敵の的確な位置を突き止めるのに難儀しているのか、その精度は普段よりも落ちている。

 蜘蛛女はコントンの影を交わし糸を放って応戦しながら、器用に同時進行でアルベラを狙って糸を放つ。

 エリーは二人を抱えそれを躱し声を上げた。

「『嫉妬のアラーニエ』の解説は後ですね。ピリちゃん、お嬢さま運んで飛べる?」

「飛べる!」とピリ。

「エリー!? いけるの!?」とアルベラはあの化け物を倒せるのかと尋ねる。

「まだなんとも。けど私もコントンちゃんもお二人がいない方が暴れられます!」

「ああ……そうね……。わかった」

「じゃあピリちゃんお願い! 里に!」

「うん!」

 エリーに降ろされ、アルベラは急いでピリの体にしがみ付いた。体の前側に抱き着くような格好になる。

 彼女は今日ピリに空へ運んで貰ったが、その時はピリは体にベルトを装着し、アルベラはそのベルトでピリに固定されていた。いまはそのベルトが無いので腕力が必要となる。

(ある意味ピリの体に蜘蛛の糸が残っててくれて助かった。後でまた離れるの少し苦労しそうだけど……)

 「これで大丈夫?」とアルベラがピリへ尋ねる。

「うん! 行く!」

 ピリは翼を広げ何回か空を打ち付けた。

 それを狙って蜘蛛女、アラーニエからまた糸が放たれるもエリーが地面を踏みぬき岩を突起させ防ぐ。同時に地面から幾つかの土がエリーの前に浮いて並び、槍となってアラーニエに向け放たれる。

(気安く手足を出せないのが歯がゆいわね)

「二人共! 無理しないで!」

 アルベラの声が頭上から投げかけられる。

「ええ! 大丈夫よ、私だって命が惜しい もの!」

 エリーは土を掴みそれに魔力を込めると、アルベラ達目掛け放たれた糸に投げつけた。土は刃となり、糸が二人の元に届く前に切り落とす。





 空に飛び発ちアルベラは通信機を取り出した。

「―――ガルカ。ガルカ、聞こえる?」

 通信機である銀の筒からは風の音しか返らない。風の精霊の力を使って音を繋いでいるというこの道具の、通じていない時の反応だ。

(どうしたのかしら……)

 アルベラは通信機を仕舞い足元に目をやる。さき程自分達がいた見張り台の前、タイガーとガイアン、アンナ、ゴヤが一人を相手に戦闘を行っているのが見えた。

 その銀髪に見覚えがあり、アルベラはガウルトで会った彼女を思い出す。

(ダークエルフ……! あいつ何で……ここまで追ってきたの?)

 だとしたら狙いは、目的は、とアルベラは考え「死者の復活」という言葉が彼女の頭に浮かんだ。

 これは誰かからそうはっきりと聞いたわけではない、前にダークエルフの双子が盗んだという道具が、死者の復活に関係ある道具だったから、その泥棒の双子の目的が「誰かの蘇生」なのではと思ったという記憶だった。

(竜血石は……そうだ。コントンが持って、た―――)

「―――ピィ!?」

「……!」

 物凄い突風が起き、アルベラとピリは木の葉のように軽々と吹き飛ばされる。





 突風に扇がれアルベラとピリは強く抱き合う。

 バランスを取り戻そうと、力いっぱい羽ばたく翼の音がアルベラの両サイドから聞こえる。

 高さと体制がようやく保たれたと思った時、「タンッ」とピリの背後に音が聞こえアルベラは顔を上げる。「ピィ!」というピリの声と共に、二人の体が音もなく落下を始めた。

「アルベラ! 翼、動かない! 何かくっついた!」

「ええ! あいつの糸が付いてる!」

「ピィ! ピィィィ!」

 「束ねられた」と言うほどきれいな物ではないがそういう状態だ。あの赤い糸が、吐き捨てられた痰のようにピリの翼に絡みついて羽ばたけなくなっていた。

 翼の自由が利かない状態にピリは混乱し怯えていた。

 アルベラは閉じてしまいたい瞼を堪え、迫りくる地上を見据える。ピリの体を抱きしめ、出来るだけ落ち着いた声を上げる。

「ピリ、掴まってて!」

 叫びたかった。体の芯から震えあがっていた。

 しかしこの感覚には覚えがある。

 落ち着かなければ。内在する魔力に集中し、適切なタイミングを計るのだ―――。

 一度目。アルベラは空中に水を集め、その上に落下する。一メートルほどの厚みの水の中をごぼごぼと二人の体が沈み、水を抜けてまた落下を再開した。役目を終えた水が力なくアルベラとピリを追って落下する。

 二度目。先ほど集めた水が自分達を追いぬいて下で塊となって待ち受ける。―――水を抜けて落下。

 三度目―――四度目―――。

 五度目は地上だった。

 使いまわした水とさらに追加で水を集め、今までの物より深めの水にタイブする。二人の体が地に着き、アルベラはそれを蹴り上げて水上に顔を出す。水を周囲に引き伸ばすように分散させ、最後は完全に魔法を解くと、大きな水たまりとその中心に水浸しになった二人の姿だけが残った。

「できた……」

 アルベラはぽつりと呟く。



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