6 / 37
第1章 竜の巣編
旅立ちと炎のヘビ
しおりを挟む
「これがティガスの作った竜の巣への地図じゃ」
ミョン爺が1枚の紙を手渡してくれる。
現在地としてこの村、そして竜の巣と道中の目印が書き込まれている。
「ニナが誰かに助けてと頼るところなど、ティガスがいなくなってから初めて見た。おぬし、決して死ぬんじゃないぞ」
「絶対に助けるってニナと約束したんだから、必ず果たすよ」
「道中の食料と水を準備する。それを持っていくといい。すまんが、村から一緒に行ってあげられる者はおらん」
「大丈夫だよ。ソロプレイには慣れてる」
「ソロプレイ……?」
「ああ、何でもない。ちょっと故郷の方言が出ちゃった」
適当にごまかして、再び地図に目を落とす。
一番時間がかかるのは、竜の血を手に入れることだよね。
行き帰りの時間は出来る限り短縮しないといけない。
1日半も寝れば元気は満タンだ。走れるだけ走ろう。
水と食料が入ったカバンを受け取り、それもアイテムボックスに収納する。
いよいよ出発。
村の入口へニナが見送りに来た。
「ミオンさん。竜血茸をお願いします。でも、絶対に死なないでください」
「うん。ニナも辛いと思うけど、信じて待っててね」
「はい」
「気を付けるんじゃぞ」
「うん。それじゃあ行ってきます」
私は改めて地図を確認すると、海と平行に西側へ走り始めた。
セブホラにも、他のゲームと同じくステータスがあった。
攻撃力を示すATAとか、防御力を示すDEFとかだ。
私の特性上、ATAはほとんど必要ない。だって触ればいいんだから。
そしてDEFも、無効スキルが増えてからは上げるのをやめた。
だから私のステータスは、敏捷性を表すAGIと幸運値のLUCが高くなっている。
その自慢の走力を活かして、私は一心不乱に駆けていくのだった。
※ ※ ※ ※
竜の巣があるのは、普通に歩いたら2日かかる谷の底だという。
お昼過ぎに出発してぶっ通しで走り、辺りが暗くなり始めた頃に半分の目印へ到着した。
うん。まあまあ良い調子で来れてるね。
ゲームのステータスシステムによって強化された身体能力に感謝だ。
でも竜との戦いを考えると体力温存も必要なため、夜は少しペースを落として進む。
「水ぅ……」
立ち止まって、アイテムボックスからもらった水を取り出し給水。
さすがに喉が渇く。
この水を飲むのをサボってゲームをやったばかりに、私は異世界に転生したわけだな。
リリアちゃんだったら、「今の方が人の役に立ってるので死んで良かったですね」とか言ってきそうだ。
あんなに毒舌だとは思わなかったなぁ。
それにしても死んで良かったって……。
本人が言ってもいない、ただの“言ってそう”というだけの言葉でリリアちゃんのイメージを下げたところで、私は再び竜の巣を目指す。
今度は全力疾走ではなく、小走り程度だ。
どんどん日が落ちて、辺りが暗くなっていく。
でも私には、セブホラで真っ暗な地下エリアをクリアするともらえる特性『夜目』があるので視界には困らない。
「シャアアア!」
森の中を進んでいると、木陰からモンスターが飛び出してきた。
体に斑点模様のあるヘビ型モンスター。
ゲームでも似たようなモンスターを見たことがある。
「シャアアア!」
モンスターは大きく口を開けると、こちらに向かって火を噴いた。
やっぱりサラマンダーか。
もちろん、【炎無効】を持つ私には何のダメージもない。
でもゲームのサラマンダーよりだいぶ小さいし、炎もただの炎だね。
ゲームのサラマンダーは、毒炎の複合攻撃だった。
「シャアアア!」
再び火を噴こうとしたサラマンダーの頭をむんずと掴み、口を強制的に閉じさせる。
「【収納】」
あっさり排除したところで先に進もうとすると、何かにごつんとぶつかった。
あれ? さっきはこんなところに木なんてなかった気が……
「ありゃりゃ」
上を見上げて私は呟いた。
そこにいたのはさっきよりも数倍大きなサラマンダー。
ひょっとしたら、さっきのは子供でこっちが成熟したサラマンダーなのかもしれない。というか、絶対にそうだ。
「キシャアアアア!」
サラマンダーが大きな口をぱっくりと開ける。
私なんて丸呑みされちゃいそうなくらい巨大だ。
でもその分、的は大きくなる。
敵が大きければ大きいほど、触るのが楽になって収納しやすくなるのだ。
「……せっかくだから」
私はすぐにアイテムボックスへ放り込むのではなく、サラマンダーが攻撃してくるのを待つ。
その攻撃を収納しておけば、増幅して竜との戦いに使えるかもしれないからだ。
「キシャアアアア!」
サラマンダーが火を噴いた。
さっきとは段違いの火力で、色も紫色をしている。
毒も混ざった複合攻撃みたいだ。
「【収納】!」
私は右手一本で毒の炎を消し去った。
でもまだ本体は収納しない。
もう一発食らい攻撃をちょうだいしといて、外した時のスペアにするのだ。
「キシャアアアア!」
「【収納】!」
これ以上ないデジャブ。
さっきと全く同じ光景が繰り広げられた。
よし、時間もないしこれくらいにしておくかな。
「攻撃手段をありがとね。【収納】!」
「キシャ? キシャアアアア……」
サラマンダーの腹に手を触れて、本体も収納する。
さあさあ、まだここは行きの半分だ。
どんどん進んで行こうっと。
ミョン爺が1枚の紙を手渡してくれる。
現在地としてこの村、そして竜の巣と道中の目印が書き込まれている。
「ニナが誰かに助けてと頼るところなど、ティガスがいなくなってから初めて見た。おぬし、決して死ぬんじゃないぞ」
「絶対に助けるってニナと約束したんだから、必ず果たすよ」
「道中の食料と水を準備する。それを持っていくといい。すまんが、村から一緒に行ってあげられる者はおらん」
「大丈夫だよ。ソロプレイには慣れてる」
「ソロプレイ……?」
「ああ、何でもない。ちょっと故郷の方言が出ちゃった」
適当にごまかして、再び地図に目を落とす。
一番時間がかかるのは、竜の血を手に入れることだよね。
行き帰りの時間は出来る限り短縮しないといけない。
1日半も寝れば元気は満タンだ。走れるだけ走ろう。
水と食料が入ったカバンを受け取り、それもアイテムボックスに収納する。
いよいよ出発。
村の入口へニナが見送りに来た。
「ミオンさん。竜血茸をお願いします。でも、絶対に死なないでください」
「うん。ニナも辛いと思うけど、信じて待っててね」
「はい」
「気を付けるんじゃぞ」
「うん。それじゃあ行ってきます」
私は改めて地図を確認すると、海と平行に西側へ走り始めた。
セブホラにも、他のゲームと同じくステータスがあった。
攻撃力を示すATAとか、防御力を示すDEFとかだ。
私の特性上、ATAはほとんど必要ない。だって触ればいいんだから。
そしてDEFも、無効スキルが増えてからは上げるのをやめた。
だから私のステータスは、敏捷性を表すAGIと幸運値のLUCが高くなっている。
その自慢の走力を活かして、私は一心不乱に駆けていくのだった。
※ ※ ※ ※
竜の巣があるのは、普通に歩いたら2日かかる谷の底だという。
お昼過ぎに出発してぶっ通しで走り、辺りが暗くなり始めた頃に半分の目印へ到着した。
うん。まあまあ良い調子で来れてるね。
ゲームのステータスシステムによって強化された身体能力に感謝だ。
でも竜との戦いを考えると体力温存も必要なため、夜は少しペースを落として進む。
「水ぅ……」
立ち止まって、アイテムボックスからもらった水を取り出し給水。
さすがに喉が渇く。
この水を飲むのをサボってゲームをやったばかりに、私は異世界に転生したわけだな。
リリアちゃんだったら、「今の方が人の役に立ってるので死んで良かったですね」とか言ってきそうだ。
あんなに毒舌だとは思わなかったなぁ。
それにしても死んで良かったって……。
本人が言ってもいない、ただの“言ってそう”というだけの言葉でリリアちゃんのイメージを下げたところで、私は再び竜の巣を目指す。
今度は全力疾走ではなく、小走り程度だ。
どんどん日が落ちて、辺りが暗くなっていく。
でも私には、セブホラで真っ暗な地下エリアをクリアするともらえる特性『夜目』があるので視界には困らない。
「シャアアア!」
森の中を進んでいると、木陰からモンスターが飛び出してきた。
体に斑点模様のあるヘビ型モンスター。
ゲームでも似たようなモンスターを見たことがある。
「シャアアア!」
モンスターは大きく口を開けると、こちらに向かって火を噴いた。
やっぱりサラマンダーか。
もちろん、【炎無効】を持つ私には何のダメージもない。
でもゲームのサラマンダーよりだいぶ小さいし、炎もただの炎だね。
ゲームのサラマンダーは、毒炎の複合攻撃だった。
「シャアアア!」
再び火を噴こうとしたサラマンダーの頭をむんずと掴み、口を強制的に閉じさせる。
「【収納】」
あっさり排除したところで先に進もうとすると、何かにごつんとぶつかった。
あれ? さっきはこんなところに木なんてなかった気が……
「ありゃりゃ」
上を見上げて私は呟いた。
そこにいたのはさっきよりも数倍大きなサラマンダー。
ひょっとしたら、さっきのは子供でこっちが成熟したサラマンダーなのかもしれない。というか、絶対にそうだ。
「キシャアアアア!」
サラマンダーが大きな口をぱっくりと開ける。
私なんて丸呑みされちゃいそうなくらい巨大だ。
でもその分、的は大きくなる。
敵が大きければ大きいほど、触るのが楽になって収納しやすくなるのだ。
「……せっかくだから」
私はすぐにアイテムボックスへ放り込むのではなく、サラマンダーが攻撃してくるのを待つ。
その攻撃を収納しておけば、増幅して竜との戦いに使えるかもしれないからだ。
「キシャアアアア!」
サラマンダーが火を噴いた。
さっきとは段違いの火力で、色も紫色をしている。
毒も混ざった複合攻撃みたいだ。
「【収納】!」
私は右手一本で毒の炎を消し去った。
でもまだ本体は収納しない。
もう一発食らい攻撃をちょうだいしといて、外した時のスペアにするのだ。
「キシャアアアア!」
「【収納】!」
これ以上ないデジャブ。
さっきと全く同じ光景が繰り広げられた。
よし、時間もないしこれくらいにしておくかな。
「攻撃手段をありがとね。【収納】!」
「キシャ? キシャアアアア……」
サラマンダーの腹に手を触れて、本体も収納する。
さあさあ、まだここは行きの半分だ。
どんどん進んで行こうっと。
24
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜
と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます!
3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。
ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです!
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
非常に申し訳ない…
と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか?
色々手違いがあって…
と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ?
代わりにといってはなんだけど…
と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン?
私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。
なんの謝罪だっけ?
そして、最後に言われた言葉
どうか、幸せになって(くれ)
んん?
弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。
※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします
完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化!
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
転生したら実は神の息子だった俺、無自覚のまま世界を救ってハーレム王になっていた件
fuwamofu
ファンタジー
ブラック企業で過労死した平凡サラリーマン・榊悠斗は、気づけば剣と魔法の異世界へ転生していた。
チート能力もない地味な村人として静かに暮らすはずだった……が、なぜか魔物が逃げ出し、勇者が跪き、王女がプロポーズ!?
実は神の息子で、世界最強の存在だったが、その力に本人だけが気づいていない。
「無自覚最強」な悠斗が巻き起こす勘違い系異世界英雄譚、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる