アイテムボックスを極めた廃ゲーマー、異世界に転生して無双する。

メルメア

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第1章 竜の巣編

家族

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 ミョン爺の家で食事をごちそうになり、そのまま疲労に負けて爆睡。
 そして目が覚めると、ちょうど日の出の頃だった。
 フェンリアはどうなったかな。

「行ってみよっと」

 私はミョン爺の家を出て、ニナたちの家に向かう。
 そーっとドアを開けると、フェンリアが上半身を起こしてベッドに座っていた。
 ニナとティガスは、まだ眠っているようだ。

「おはようございます。ミオンさん」

 私に気付いたフェンリアが、にっこりとほほ笑む。
 目をごしごししているところからして、たった今起きたところみたいだ。
 当然のことながら、まだやせ細っているし栄養が足りないのは明らかだけど、毒の影響はすっかり消え去っているみたいだった。

「体の方は?」

「驚きました……。すっかり軽くなって、何一つ辛いことはないんです」

「それは良かったね」

「苦しい中でうっすらと聞こえてきたんです。現実だったのか夢なのか、苦しすぎて区別がついていないんですが……。ミオンさんが竜をぶっ飛ばすって言ってて」

「ははは。聞こえてたんだ」

「やっぱりミオンさんのおかげなんですね」

 フェンリアは深々と頭を下げた。
 その態勢のまま言う。

「本当に……ありがとうございました……っ!」

 うーん。
 こういうのって素直に受け取っていいんだよね?
 あんまり人から感謝されたことがないからなぁ。

「えっと、どういたしまして」

 少し照れくささを感じながら、私は言った。
 そして続ける。

「ニナとティガスも本当に頑張ってくれたから。私が最後に良いところを持っていっちゃったかもだけど、2人の積み重ねが無かったら……ね?」

「はい。その通りですね」

 フェンリアは顔を上げて、優しく微笑んだ。

「ニナと、そして今は遠くに行ってしまったティガ……えええええ!? てぃてぃてぃてぃてぃティガスっ!?」

 娘を挟んで横に寝ている夫を見て、フェンリアが大声をあげる。
 うん。これだけの声が出るのは、本当に元気になった証だね。
 というか、気付いてなかったんかい。

「ななななな何で!?」

「竜の巣でしぶとく生き延びてたんだよ。フェンリアを救うためにね」

「そうだったんですか……。彼、無事ですよね……?」

 傷だらけの夫に、不安そうな顔を浮かべるフェンリア。
 私は優しく笑って安心させる。

「確かに怪我はすごいし、健康状態も良くなかったけど。これからしっかり休んでいけば、元気になれると思うよ。何せとてつもなく強い人だもん」

 あの谷を逆ロッククライミングとか、7年間ただ働きの末に竜と決闘とか、私が言うのも何だけど本当に常識の枠に収まらない人間だ。
 それだけの生命力があるんだから、あっという間に回復してしまうだろう。

「ん……」

「うう……」

 フェンリアの大声で、寝ていた2人も目を覚ましてしまった。
 まずはニナが、そしてティガスが体を起こす。
 傷口が痛むのか、ティガスはやや顔をしかめた。

「ティガス……ニナ……っ!」

 フェンリアがうるうるした瞳で、数年越しにそろった家族を見つめる。

「お母さん。もう大丈夫なんだよね?」

 ニナがそっと母親に抱きついた。
 それを優しくフェンリアが抱きしめ返す。

「大丈夫よ。今まで大変な思いさせてごめんね」

「謝らないで。あ、でも、ありがとうは言ってほしいかも」

「ふふっ、ありがとう。本当にありがとう、ニナ」

 抱き合う母娘をさらに包むようにして、ティガスが2人へ手を回す。

「お父さん……」

「大きくなったな、ニナ。お母さんのこと、ありがとう」

「あなた……」

「フェンリア……」

 あーあ。
 こりゃ、私は邪魔ものだね。
 家族水入らずの時間を過ごしてもらうとして、私は退散しよう。

「ミオンさん」

 家の扉に手を掛けた私に、背後からニナが呼び掛けた。
 振り返ってみると、家族3人が喜びの涙を流している。

「「「ありがとうございました」」」

「はいはい。どういたしまして」

 照れくささがMAXに達した私は、そそくさと家をあとにするのだった。
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