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第2章 金の成る魚編
お金の匂い
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旅人ミオンこと私。
そもそも旅などしていない旅人の私は、しばらく漁村に滞在することにした。
滞在……とはいっても、離れるつもりは今のところ一切ない。
早い話が、住み着いたのである。
さすがにニナたちやミョン爺の家に居候するわけにもいかないので、新たに小屋を建ててもらった。
村中の余っていた家具などももらい、なかなか快適な生活環境だ。
そしてこの村に住むということは、当たり前だけど村の一員になるということ。
つまりは働かないといけない。
「ただいま~」
朝早くに海へ出た漁師たちが、村へと帰ってきた。
この魚を干したり塩漬けにしたりするのが、漁に出ない人たちの仕事だ。
漁師の一団の中にはティガスもいる。
もう海に出ているんだから、ニナが働き者なのは両親の遺伝みたいだね。
私はフェンリア、ニナと一緒に塩漬けの作業をする。
素手でやったら手が荒れるので、手袋必須だ。
それにしても獲れたばかりの新鮮な魚。
刺身で食べても美味しそうだよねぇ……。
加工するのは保存するためだ。
この村の収入源はこの魚で、売る先には遠く離れた王都も含まれるらしい。
そこまで運ぶ間に腐らないようにしなくてはいけない。
でも今の状態なら、生で全然いけるはずだ。
刺身の国出身の人間として、焼き魚ばかりよりはたまにでも生が食べたい。
でも漁村のここで、生魚を見た覚えがない。
「ニナは刺身って食べるの?」
「サシミ……って何ですか?」
ニナが首を傾げる。
フェンリアも不思議そうな表情だ。
「えーっと、生の魚だよ。捌いて身を切り分けてそのまま食べるの」
「ええっ!? 魚を生で食べるんですか!?」
ふむふむ。
やっぱり魚を生食する文化がないみたいだ。
でもこれだけ新鮮なんだから、生で食べても美味しいはず。
「ちょっとこれもらうよ」
私は魚が入れられた箱の中から、小さくて売り物にはならないものを1匹取り出す。
ナイフを持つと、まずは鱗を落とす。
頭を切り落として内臓を取り、洗い流して三枚におろす。
それから皮をはいで切り分ければ……
「これが刺身だよ」
ふう……。
魚をさばくのってこんなに疲れるんだっけ。
でもやり方をしっかり教わっておいて良かった。
家庭科の授業、グッジョブ。
あの頃はまだ学校に楽しく行ってた頃ですね。ははは……。
「このまま食べられるんですか……?」
少し不安そうなニナとフェンリア。
本当は醤油が欲しいところだけど、ここはお塩で我慢しよう。
「いただきま~す」
塩をぱらぱらと振りかけて刺身をパクリ。
「んまぁ……」
何だこれ。
塩だけでも十分に美味しいじゃん。
味としてはアジに近いかな……? ダジャレじゃないけど。
脂の乗り具合もちょうどいいし、やっぱり新鮮なのが一番大きい。
「食べてみたら?」
「じゃ、じゃあ」
ニナとフェンリアも、塩をかけて刺身を恐るおそる口に運んだ。
数秒後、その目が輝く。
「美味しい!?」
「本当に美味しいです!」
「でしょ?」
刺身は異世界の人の味覚にも合うんだ。
良かった良かった。
「何だなんだ?」
「何を食べてるんだ?」
「どうしたのー?」
作業中だった村人たちや、休んでいた村人たちが近寄ってくる。
みんな刺身に興味津々だ。
「美味しい!」
「え!? 生の魚ってこんなに美味しいの!?」
刺身を食べた村人たちが、次々に驚きの声を上げる。
ありゃりゃ、あっという間に刺身が無くなっちゃったよ。
「ミオン! 刺身ってどうやるんだ!?」
「えっとね、まずは……」
村人に刺身の作り方を教えながら、私の頭の中にとあるアイデアがひらめく。
刺身が異世界人の味覚に合う上に、王都に入ってくる魚は今のところ全て加工されたもの。
うーん。
これはお金の匂いがするぞ。
ちょっと商売にでもチャレンジしてみるかな。
そもそも旅などしていない旅人の私は、しばらく漁村に滞在することにした。
滞在……とはいっても、離れるつもりは今のところ一切ない。
早い話が、住み着いたのである。
さすがにニナたちやミョン爺の家に居候するわけにもいかないので、新たに小屋を建ててもらった。
村中の余っていた家具などももらい、なかなか快適な生活環境だ。
そしてこの村に住むということは、当たり前だけど村の一員になるということ。
つまりは働かないといけない。
「ただいま~」
朝早くに海へ出た漁師たちが、村へと帰ってきた。
この魚を干したり塩漬けにしたりするのが、漁に出ない人たちの仕事だ。
漁師の一団の中にはティガスもいる。
もう海に出ているんだから、ニナが働き者なのは両親の遺伝みたいだね。
私はフェンリア、ニナと一緒に塩漬けの作業をする。
素手でやったら手が荒れるので、手袋必須だ。
それにしても獲れたばかりの新鮮な魚。
刺身で食べても美味しそうだよねぇ……。
加工するのは保存するためだ。
この村の収入源はこの魚で、売る先には遠く離れた王都も含まれるらしい。
そこまで運ぶ間に腐らないようにしなくてはいけない。
でも今の状態なら、生で全然いけるはずだ。
刺身の国出身の人間として、焼き魚ばかりよりはたまにでも生が食べたい。
でも漁村のここで、生魚を見た覚えがない。
「ニナは刺身って食べるの?」
「サシミ……って何ですか?」
ニナが首を傾げる。
フェンリアも不思議そうな表情だ。
「えーっと、生の魚だよ。捌いて身を切り分けてそのまま食べるの」
「ええっ!? 魚を生で食べるんですか!?」
ふむふむ。
やっぱり魚を生食する文化がないみたいだ。
でもこれだけ新鮮なんだから、生で食べても美味しいはず。
「ちょっとこれもらうよ」
私は魚が入れられた箱の中から、小さくて売り物にはならないものを1匹取り出す。
ナイフを持つと、まずは鱗を落とす。
頭を切り落として内臓を取り、洗い流して三枚におろす。
それから皮をはいで切り分ければ……
「これが刺身だよ」
ふう……。
魚をさばくのってこんなに疲れるんだっけ。
でもやり方をしっかり教わっておいて良かった。
家庭科の授業、グッジョブ。
あの頃はまだ学校に楽しく行ってた頃ですね。ははは……。
「このまま食べられるんですか……?」
少し不安そうなニナとフェンリア。
本当は醤油が欲しいところだけど、ここはお塩で我慢しよう。
「いただきま~す」
塩をぱらぱらと振りかけて刺身をパクリ。
「んまぁ……」
何だこれ。
塩だけでも十分に美味しいじゃん。
味としてはアジに近いかな……? ダジャレじゃないけど。
脂の乗り具合もちょうどいいし、やっぱり新鮮なのが一番大きい。
「食べてみたら?」
「じゃ、じゃあ」
ニナとフェンリアも、塩をかけて刺身を恐るおそる口に運んだ。
数秒後、その目が輝く。
「美味しい!?」
「本当に美味しいです!」
「でしょ?」
刺身は異世界の人の味覚にも合うんだ。
良かった良かった。
「何だなんだ?」
「何を食べてるんだ?」
「どうしたのー?」
作業中だった村人たちや、休んでいた村人たちが近寄ってくる。
みんな刺身に興味津々だ。
「美味しい!」
「え!? 生の魚ってこんなに美味しいの!?」
刺身を食べた村人たちが、次々に驚きの声を上げる。
ありゃりゃ、あっという間に刺身が無くなっちゃったよ。
「ミオン! 刺身ってどうやるんだ!?」
「えっとね、まずは……」
村人に刺身の作り方を教えながら、私の頭の中にとあるアイデアがひらめく。
刺身が異世界人の味覚に合う上に、王都に入ってくる魚は今のところ全て加工されたもの。
うーん。
これはお金の匂いがするぞ。
ちょっと商売にでもチャレンジしてみるかな。
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