アイテムボックスを極めた廃ゲーマー、異世界に転生して無双する。

メルメア

文字の大きさ
16 / 37
第2章 金の成る魚編

商業ギルドと冒険者ギルド

しおりを挟む
 日が暮れ始めるころ、初日の宿場町ハレスへと到着した。
 街の中にはたくさんの屋台が建ち並び、人であふれて活気に満ちている。
 何とも美味しそうな匂いがするなぁ。

「とりあえず……懸賞金を何とかするか」

 そう言うと、ネロは街の中心へと歩き始めた。
 私とニナもその後についていく。
 やってきたのは、街の中心に建ち並ぶ大きな3つの建物の前だった。

「ここは?」

「左が冒険者ギルド、真ん中は町の役所、右が商業ギルドだ。ミオンは王都で商売をする気なんだろ?」

「うん。そのつもりだよ」

「それなら、商業ギルドのメンバーになる必要がある。懸賞金の受け取りも、商業ギルドか冒険者ギルドの会員カードがあれば手早く済むらしいからな。まあ、俺は懸賞金なんて受け取ったことはないんだけど」

「じゃあ右の商業ギルドに入ればいいんだね?」

「そうだ。登録は簡単だからすぐに終わるぞ。お金は持ってるか?」

「村長から前借りした給料がある」

「オッケーだ。ギルドに登録するには登録料がかかるからな。俺は宿の手配をしてくる。何か分からないことがあったら、職員に聞けば教えてくれるぞ」

「分かった。ありがとう」

「はいよ」

 ネロは用が済んだら商業ギルドの前で再集合と伝えて、どこかへ歩いて行った。
 何度も王都への運搬をしているので、この町のこともよく分かっているんだろう。
 私はニナと一緒に、右の建物、商業ギルドへと入る。

「こんにちは」

 受付と書かれたカウンターにいるお姉さんに声をかけた。
 なるほど。これがいわゆる受付嬢ってやつか。
 めちゃくちゃかわいい受付嬢さんだ。

「こんにちは。今日はどういったご用件ですか?」

「商業ギルドに登録したくて」

「かしこまりました。では、こちらに必要事項を記入してください」

 受付嬢のお姉さんが、紙とペンを渡してくれる。
 名前や年齢など簡単な情報を書き込み、お姉さんへと戻した。

「ありがとうございます。書類に問題は……ありませんね。大丈夫です。商業ギルドのルールをご説明しますか?」

「うん。お願い」

「では。商業ギルドは、特に加入条件などは設けておりません。強いて言うなら、最初に登録料として1000Gを頂くくらいです。商業ギルドに加入すると、何かアイテムを売りたいと思った時、ギルドに直接、定価で売ることができます。つまり、自分で直接お客さんに売ろうとして売れ残るというリスクを避けられるわけです」

「なるほどね」

「もちろん、ご自分でお店を持つことも可能です。ですが、どこかの町に店舗を構えるという場合には、商業ギルドへの登録が必要になります。当ギルドは税金関連の管理も行っていますので、不正がないようにするためです」

「要は商売がしたけりゃ入っとけってわけだ」

「そうなりますね。ちなみにギルドへ直接もの売った時は、税金を差し引いた額をお渡ししますので手続きも便利になりますよ」

 まあ、親切なだけじゃ商売は成り立たない。
 だからどこかに商業ギルドが儲けられる仕掛けがあるんだろうけど、そんなのを気にし始めたらきりがないよね。

「ご確認いただきまして、問題ないようでしたら1000Gのお支払いをお願いします」

「はーい」

 私は前借りしたお給料から1000Gを支払う。
 すると引き換えに、私の名前が記された名刺サイズのカードが渡された。

「こちらが商業ギルドの会員カードになります。商業ギルドからお金を受け取る際、現金で受け取ることもできますしこのカードに入金することもできるんですよ。このシステムは商業ギルドがある町や都市なら大抵の店に導入されていますので、このカードで支払いをすることもできます」

「へえ、便利だね」

 元の世界でいうクレジットカード、というよりデビットカードに近いものだね。
 なかなかに進んでるじゃないか、異世界。

「ちなみになんだけど」

「はい。どうなさいましたか?」

 無事にギルドへ入れたところで、私は本題を切り出す。

「懸賞金ってどうやったら受け取れるの?」

「け、懸賞金ですか?」

 お姉さんはきょとんとした顔をした。
 しかし、すぐに受付嬢の顔に戻って言う。

「懸賞金に関しては、商業ギルドの管轄じゃないんです。冒険者ギルドか、王立の騎士団に身柄を引き渡す必要があります。懸賞金の受け取り自体は、商業ギルドの会員カードでも出来るんですが」

「そうなんだ。隣の隣が冒険者ギルドだったよね?」

「はい。そうですよ」

「じゃあそっちに行ってみる。いろいろありがとう」

「は、はい……」

 まだ少し驚いているお姉さんにお礼を言って、商業ギルドをあとにする。
 そして隣の隣、冒険者ギルドに入った。
 やはり受付のカウンターがあり、受付嬢のお姉さんが座っている。

「こんにちは」

「こんにちは~。今日はどうなさいましたか?」

「懸賞金のかかった男を捕まえたんだけど……」

「な、なるほど。それでしたらこちらへどうぞ」

 カウンターを出たお姉さんに案内され、冒険者ギルドの2階へと向かう。
 廊下を進み、支部長室と書かれたドアの前にやってきた。
 ニナはどれもこれも始めてみるものばかりで、緊張しながらもきょろきょろとあれこれ見回している。

「失礼します。支部長、今よろしいでしょうか?」

「いいぞ」

「失礼します」

 受付嬢がドアを開ける。
 部屋に入ると、いかにも強そうな男が座っていた。
 これこれ、これだよ。
 ランガルには全くこのオーラってものがなかった。
 オーラっていうのはこういう雰囲気のことをいうんだよね。

「こちらの方が懸賞金のかかった首を捕まえたとのことです」

「それはそれは」

 支部長は立ち上がると、私に右手を差し出した。

「支部長のハンザーです。どうぞよろしく」

「ミオンだよ。こっちはニナ。よろしく」

 握手を交わすと、ハンザーは私たちにも座るように促した。

「それで、捕まえた賞金首というのはどこに?」

「ここだよ。【解放リリース】」

 私はランガルをアイテムボックスの外へ出す。
 飛び出してきてしばらく呆然としていたランガルだったが、私を認識すると飛び掛かってっきた。
 しかし、それを素早い動きでハンザーが取り押さえる。

「これは驚きました。今のは一体……そうか。あなたが噂の鬼じ……」

「え?」

「いえ、何でもありません。この男、確かに見たことのある顔ですね……。そうだ。懸賞金800,000Gの山賊“頭砕”のランガルですね?」

「くそっ……何で支部長が……」

「支部長室なんですから当たり前でしょう。ミオンさん、お疲れ様です。平和に貢献していただきありがとうございました。懸賞金をお支払いします」

「はーい。このカードにお願い」

 私が商業ギルドのカードを見せると、ハンザーはにっこり笑って頷いた。
 そして受付嬢に指示を出す。

「エレネ、懸賞金をお支払いしておいてください。この男の身柄が、私が責任をもって預かります」

「かしこまりました。では、お2人はこちらに」

 受付嬢、エレネっていうんだ。
 私たちはエレネに連れられて支部長室をあとにする。
 最後に振り返ってみると、ランガルが悔し気にこちらを見つめているのだった。



 ※ ※ ※ ※



 懸賞金を受け取ったミオンとニナが去ったあとの冒険者ギルド、支部長室。
 ハンザーが腰かける横にエレネが立っている。


「どう思いますか? エレネくん」

 ハンザーの質問に、エレネはとても受付嬢とは思えない無表情で答えた。

「彼女が噂の『竜すら従える鬼人』かもしれません」

「間違いなくそうでしょう。血の匂いがしました」

「では……」

「ええ、おそらくあの谷に住んでいたガルガームを倒したのも彼女です」

 ハンザーの目が鋭くなる。

「ミオン……殺しておかなければいけませんね」
しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!

しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません! 神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜 と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます! 3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。 ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです! ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 非常に申し訳ない… と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか? 色々手違いがあって… と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ? 代わりにといってはなんだけど… と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン? 私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。 なんの謝罪だっけ? そして、最後に言われた言葉 どうか、幸せになって(くれ) んん? 弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。 ※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします 完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします

転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化! 転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。 どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。 - カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました! - アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました! - この話はフィクションです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。

夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。 もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。 純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく! 最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!

処理中です...