アイテムボックスを極めた廃ゲーマー、異世界に転生して無双する。

メルメア

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第3章 海の主討伐編

冒険者エルバウ

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 アーケロンが現われてから2日目。
 私が海獣退治に出かけようとすると、村に来客があった。
 10人の馬に乗った男たちだ。

「村長はいるかー!?」

 先頭を行く男が声を上げる。
 全員が武器や鎧で装備を固めている。
 この間見た騎士たちの身に着けていた甲冑とは違うから、彼らは冒険者だろう。

「何の用じゃ?」

 出てきたミョン爺が問いかける。
 するとリーダー格の男は、馬を降りて言った。

「近くの町の冒険者パーティー『風の剣』だ。俺はリーダーのエルバウ。この近くの海に海獣が出たと聞いたから、討伐しに来た。アーケロンがいるというのは本当か?」

「それは本当じゃ。そこの丘の先から見下ろせば、巨体が確認できるじゃろう」

 もう情報が伝わっているんだ。
 保存できるよう加工した魚は、村にある程度の備蓄がある。
 それを売りに行った村人たちの会話を聞いて、アーケロンの存在を知った。
 そんなところだろう。

「よし、行くぞ」

 エルバウは馬の背に戻り、後ろの男たちに声を掛ける。
 そして手綱を握ぎ、丘の先端へ向かった。
 慌てて私も後を追う。
 彼らが本気で馬を走らせなかったこともあり、AGIが高い私は余裕でついていくことができた。

「ずいぶんと足が速いな」

「そりゃどうも。それで、本当にアーケロンが倒せるの?」

「やってみなきゃ分からないだろ。だけど奴にかかっているのは4,000万G。挑戦してみる価値はある」

「言っとくけど、そんなに時間はかけられないんだよね。漁ができないのは死活問題だからさ」

「偉そうに言ってくれるが、お前らじゃ倒せないんだろ? 俺らが来てやったことに感謝してくれないとな」

「そういうセリフは、ちゃんと倒してからにしてくれる?」

 走りながら、私とエルバウはにらみ合う。
 若干イラっとしたけど、まあやれるって言うならやってみるといい。
 でもそんな悠長に待てないのは事実だからね。
 今日の『美音』は臨時休業、明日は定休日だけど、明後日からは営業日になる。
 つまりそれまでに、決着をつけなきゃいけないわけだ。

「おおお……想像以上にでかいな」

 丘の上に到着したエルバウ、そして男たちは、アーケロンを見て息を呑んだ。
 誰だって、初めてあれを見たなら圧倒される。
 それは間違いない。

「さてと、準備に入るか。おい、村人」

「私のこと? ミオンっていう名前があるんだけど」

「村人、ここから崖の下へ行く道はどこだ?」

 だからミオンっていう名前があるっつーの。
 いちいちイライラさせてくれるな。

「飛び降りたらいいんじゃない?」

 イラっとした私、ついつい意地悪な返答をする。
 するとエルバウの方もカチンと来たのか、青筋を浮かべて言った。

「真面目に答えろ。俺はお前たちを助けてやるって言ってるんだ」

「はいはい。案内しますよーだ」

 私は冒険者たちを先導して歩き始める。
 村を通り過ぎて下り坂を進み、Uターンして海岸へ出た。
 アーケロンの甲羅は海面からはみ出していて、本当に島みたいだ。
 そういえば、元の世界にそんな伝説があったな。
 小島だと思って上陸したら、実は巨大なカメの背中で海に潜られて溺死しちゃうっていうやつ。
 あれはアーケロンって名前じゃなかったと思うけど。

「あー、そういえば」

 ――アーケロンの下にはクラーケンがいるよ。

 とても優しい私が教えてあげようと思ったのに、エルバウたちはさっさと準備に取り掛かってしまった。
 人の話は聞くもんだよ?

「よーし。作戦通りに行くぞ」

 エルバウの合図で、冒険者のうち2人が海に触れる。

「「【アイスロード】」」

 たちまちパキパキと音を立てて海岸が凍り、2つの氷の道ができる。
 それはアーケロンへと伸びていった。

「行くぞ!」

 エルバウ、そしてもう1人の冒険者を先頭に、彼らは2手に分かれて氷の道を駆けていく。

「アーケロン覚悟ぉ!」

 エルブウが走りながら剣を構えた。
 その瞬間。

 ――ドガァァァン!!!!!!

 海中から現れた腕が、氷の道を破壊する。
 エルバウたちは前方を、そして背後を破壊され、氷の小島に孤立した。

「くくくくクラーケンだぁ!?」
「冗談じゃねえ!」
「海獣が2頭は聞いてねえぞ!?」

 あーあ。
 だから人の言うことは聞くもんだって言ったのに。
 ……実際には口に出して言ってないか。

「何をやってる! もう一度だ! 氷の道を作るんだ!」

 エルバウが慌てて指示を出す。
 しかし道ができるより一歩早く、海中から腕が突き上げてきた。
 今度は道の破壊が目的じゃない。
 冒険者たちへの直接的な攻撃だ。

「「「「「ぐああああああ!!!」」」」」

 高々と上空へ跳ね飛ばされる冒険者たち。
 はぁ……。
 気に食わない奴らだけど、目の前で死なれたら目覚めが悪いしな。
 仕方がないから助けてやるか。

「はぁ……」

 私は改めてため息をつくと、海へと走り出した。
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