転生スキル【ぬいぐるみテイム】でふかふかもふもふエルフの森スローライフ!~双子幼女エルフと動くふかふかぬいぐるみとのんびり暮らす~

メルメア

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第4話 村のことと現状とネコ

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「この村はヴェントという。見ての通りエルフの村じゃ。森の中で、みんなで協力し合いながら自給自足の暮らしを送っている」

 昼食の後は、村長さんによる村についての説明だ。
 その間、ミルはリスと遊び、リルは相変わらず本を読んでいる。
 ちなみにスライムにはプヨタロー、リスにはコジローという名前が付けられたらしい。
 なんでやや和風っぽいネーミングセンスなんだよと、心の中で2人に突っ込んでおく。

「わしが村長のエルダ。その他の住民で言えば、この子たちと両親の一家。さらに14の家族がここで暮らしている。おぬしがここに定住するなら、土地はあるし家を建てるのもよかろう」
「そうですね。ちなみに、村の仕事って具体的にどんなものですか?」
「ふむ。一言で述べるのは難しいが……まあ、要は生きていくために必要なこと全てじゃ。食料集めが一番大きなことじゃが、みんなの生活がより良くなるように、いろいろなことをやっとる」
「本当に協力して助け合って暮らしてるんですね」
「そうじゃ。おぬし、共同作業は得意か?」
「う~ん……どうでしょう」

 正直、家族生活というものはそんなに体験したことがない。
 暗い話になるからあんまり思い出しはしないけど、まともな家族生活を体験したことがほとんどないからだ。
 リンナに言った「身寄りもいないし」というのは、これが関係している。
 でもまあ、学校には何とか通ってたからな。
 あそこは共同生活を学ぶ場所らしいし、そこまで対人関係に苦手意識があるわけでもない。
 きっと大丈夫だろう。

「まあ、最初は慣れるのに時間がかかるかもしれんがの。ゆっくり慣れていけばよい。村のみんなもおぬしのことは歓迎する」
「それならいんですが。ていうか、村長の独断で住むって決めちゃって大丈夫です?」
「安心せい。もう村の者たちは、おぬしがここに住むことを受け入れておる。特に村の戦士たちは鍛えられておるからの。もしもおぬしが、何かしらの悪意を抱いて村に入っていた場合は、すでにその首が飛んでおるはずじゃ」

 冗談みたいなことを、至って真面目な目と口調で言う村長。
 俺の背中を冷や汗が伝う。
 万が一にもこの村に悪いことをしてやろうなんて思っちゃいないけど、俺の性格や思考が一歩間違えてたら大惨事だったわけだ。
 おっかない。

「ひとまず、おぬしにはそれぞれの仕事を代わりばんこに体験してもらう。その中で、向いているものを見極めていけばよいじゃろう」
「分かりました」
「うむ。さてと……ミルや」
「はい!」
「今日の夜、ケントの歓迎会をするぞ。村のみんなに伝えてきてくれ」
「はい!」

 元気よく返事をして、仕事をこなしに出かけていく妹。
 対して姉の方は、ふかふかのスライムを頭の上に乗せて、ぽかぽか陽気を浴びながら眠り始めた。
 見ている分には天使の寝顔。
 きっと目が覚めたら、急に切れ味抜群の毒を吐いたりするんだろうけど。

「まあ、夜まではゆっくりするいい。ここにいるも良し、村を歩いてみるのも良し。夜は聞いての通り、歓迎会を開く。村のみんなと知り合ってくれ」
「分かりました。ありがとうございます」
「うむ。それではわしは少し出かけるぞよ」

 そういうと、村長はよっこらせ立ち上がって出て行った。
 家の中には俺と睡眠中のリルだけが残される。

「いろいろ整理するか……」

 異世界に来て、ものの数時間しか経っていないのに、かなり事が進んだ。
 この辺りで、軽く整理しておいた方が良い。

 まずは生活について。
 生きていくのに必要な衣食住はあっさりそろいそうだ。
 食事はバッチリ美味しかったし、家を建てる許可まで出た。
 エルフみんな服着てたし、衣の部分も問題なさそうだ。

 それから人間関係。
 リルとミルは、見ていて飽きない個性爆発の双子姉妹だ。
 村長もすごく良い人……っていうかエルフだし、その損と湯がみんなの人柄を保証しているならこれも問題ないだろう。

 そして何よりも何よりも、スキルの【ぬいぐるみテイム】について。
 今のところ分かっているのは、色々な生き物の動くぬいぐるみが呼びだせるということ。
 この先の自分の武器になるわけだから、もっとちゃんと知っておかなくちゃいけない。

「ステータスオープン……とかないよな」

 試しに言葉にしてみたが、何かステータス画面が現れたりする気配はない。
 スキルの詳細な説明が見れたら嬉しかったけど、そういうシステムはないみたいだ。
 トリセツ同封は必須だぞ。
 ここだけはクレーム対象だな、リンナ。

「試しにもうもう1体、何か呼びだしてみるか」

 えーっと何がいいかな。
 どうせ懐いてくれるなら、かわいくてペットみたくなるやつがいい。
 イヌかネコかで言ったら、俺はネコ派なんだよな。

「よし。【ぬいぐるみテイム・ネコ】」
「にゃ~」

 例のぽんっという音、そして今回は鳴き声もセットになって、猫のぬいぐるみが現われる。
 灰色がかった毛並みは、何よりもふもふ度合いが高い。
 試しに手を差し伸べてみると、ネコはすーっと近づいてきて頬ずりした。

「おぉ……」

 思わず声が漏れる。
 それくらいもふもふ。そしてふっかふか。
 本来のぬいぐるみのように、中には綿が詰まっているとしか思えない。
 それも上質な綿がたっぷりと。
 それくらい気持ちの良い感触だ。

「にゃ~」

 ツンツンが多いネコさんだが、こいつはやけに甘えてくる。
 思いっきり腹を出して寝転んじゃうし、めちゃくちゃ信頼されてるな。
 スライムもリスも懐いているし、テイムしたぬいぐるみは一様にこちらを気に入ってくれるのかもしれない。

「ちょっとごめんよ~」

 俺はネコを持ち上げ、あれこれ観察する。
 ところどころ縫い目があり、動いていてもこれはやっぱりぬいぐるみだ。
 にゃ~にゃ~鳴いてるけど、ぬいぐるみだ。
 口も開きはするけど、体の中へと繋がってはいない。
 食事は……食べないのかな?

「こういうの、食べるのか?」

 物は試しと、残っていたパンを小さくちぎって差し出してみる。
 ネコはしばらく匂いを嗅いだりした後、俺の手の上のパンをじぃっと見つめた。
 そして数秒後、ひゅんっと一瞬でパンが消え去る。
 俺は何が起きたのか分からなかったが、ネコは「美味かったぞ」というように「にゃ~」と鳴いた。

「食べ……たのか?」
「にゃ~」
「なるほど。食事は与える必要があるみたいだな。ここはぬいぐるみってよりも動物に近いってわけだ」
「にゃ~にゃ~」
「ん? ああ、もっとよこせって?」

 俺の手に鼻を近づけて、にゃ~にゃ~鳴きまくるネコ。
 新しくパンをちぎってあげると、それもまたひゅんっと消えてなくなった。
 面白いな、これ。
 でも食料の量がしっかり見定められるまでは、むやみやたらにぬいぐるみを増やさない方が良さそうだ。
 腹を空かせてるのはかわいそうだし。

「名前がいるよな。灰色の毛だから……グレイでどうだ?」
「にゃ~」

 グレイは「良かろう」とでも言いたげに鳴いて、俺の膝の上へ乗ってきた。
 そして丸くなり眠り始める。
 呼びだされて、飯食って、寝る。
 良いご身分だぜ。

「俺も少し休むかな……」

 転生人と、エルフの幼女と、ネコのぬいぐるみと、スライムのぬいぐるみ。
 暖かな陽気を浴びながら、ぐーすかぐーすか昼寝へと落ちていくのだった。
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