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俺の番には大切な人がいる㉔
直人が約束を違えた日から
彼と連絡が取れなくなった。
几帳面な性格から考えても返事ひとつ寄越さないのはおかしい。
何かあったのではと心配になり大久保さんに連絡するも特に変わったことはないと言う。
子供の事やこれからの事を相談しようにも身動きが取れず悶々としているが大久保さんの「今は身体を治す事だけを考えて欲しい」と言う言葉に入院生活を余儀なくされている。
そんな俺の塞いだ気持ちを慮ってか頻繁に見舞いに来てくれるユキと晃には本当に助けられていて今日も沢山の手土産と共に病室に来て明るい話題で盛り上げてくれていた。
「本当にユキはモテるよね」
俺の言葉にユキは胸を張って
「僕ほど可愛くて色っぽくて賢いΩはいないからね!そんな僕を振る晃は本当に馬鹿だよね!」
と、胸を張った。
「はいはい」
晃はまたかと言いたげな顔をして苦笑いをしている。
「そういえばこの前会ったαがいけ好かない奴でさ」
「また新しい人?!」
俺と晃は身を乗り出してユキを見た。
その時病室のドアが開いて直人が入ってきた。
「直人!」
ひと月ぶりに見た直人の姿に俺の心臓が高鳴る。
仕事の途中なのか鍛えられた体型がよく映えるオーダーメイドのスーツに後ろに流している少し長めの髪がよく似合っている。
挨拶して帰ろうとした2人に直人は聞いたことのない冷たい声でここに居てくれと言った。
「時間は取らせない。君たちにも聞いておいてほしい」
そう言って皆に向けた眼差しは暗い色を湛えていて俺は思わず居住まいを正す。
「匠」
「はい・・えっ?!」
いつぶりだろう。匠と呼ばれたのは。
「直人記憶が・・!」
「ああ戻った」
じゃあこれからちゃんと匠として一緒にいられるんだ。
2人で力を合わせて傷を癒やしずっとそばに・・
けれどコツコツと硬い靴音を立ててベッドに歩み寄る彼からはなんの感情も読み取れない。
「匠。会うのは今日が最後だ」
「どういうこと・・?」
「お前のお腹には俺じゃ無い男の子供がいるだろう?」
「直人・・なんで知って・・」
俺たち2人を固唾を飲んで見守っていたユキと晃が思わずえっと声を上げた。
「勝手に離婚届を出して出て行ってすぐ他のαの子供を身籠るとは。たいした淫乱だな」
俺は何も言えず俯いた。
「俺の子供が孕めなかったのはわざとか?産むつもりがなかったんだろ。ヒートのたびにピルでも飲んでた?」
「そんなことしてない!」
慌てて直人を見上げるがその冷たい目には俺の姿は映っていないようだった。
「優斗がいない今もうお前と一緒にいる理由がなくなった。
最初から好きでもなかったのに子供を作るためにいい夫のふりをしていただけだ。
ここで終わりにするのが当然だろう」
「そんな・・」
少しくらいは愛されていると思っていた。
あのキスも笑顔も全部嘘だったのか。
勝手に涙が溢れてシーツを濡らしていく。
けれど直人の怒りも当然だ。
別れた後の事とはいえ俺のお腹には子供がいる。
直人の子ではないのにその子を愛しく思い産み育てたいと感じている。
それが裏切りでなくてなんなんだろうか。
「二度とその顔を俺に見せるな。実家の援助も打ち切る」
「はい・・」
当然だ。
離婚した時点で打ち切られるはずだったものを直人の好意で続けてくれていただけなのだから。
「その代わり1年一緒に暮らしたことに対する慰謝料を少しだが払ってやる。」
「いりません」
絞り出すような声でそれでも即答した。
勝手に出て行ったのは自分だ。
「慰謝料は払う。後腐れの無いようにする為だからお前に拒否権はない。金額に関してもこちらで決める。今後一切連絡をしてくるな」
直人はそれだけ言うとコートを翻して出て行った。
もう会えない。
あんなに好きだった人なのに。
優斗がいなくなったから自分が直人を支えなきゃなんておこがましいにも程がある。
あんなにも強い人に俺なんて必要ない。
そう、最初から必要なかったんだ。
顔も上げられず泣き続ける俺の肩をユキが強く抱きしめてくれた。
「お腹の子供に悪いから泣いちゃダメだよ」
いつもならこんな時悪態をついて大騒ぎするユキが何も言わずに俺を抱きしめて一緒に泣いている。
「そうだね」
そう呟きながら俺も溢れる涙を止めることが出来ないでいた。
彼と連絡が取れなくなった。
几帳面な性格から考えても返事ひとつ寄越さないのはおかしい。
何かあったのではと心配になり大久保さんに連絡するも特に変わったことはないと言う。
子供の事やこれからの事を相談しようにも身動きが取れず悶々としているが大久保さんの「今は身体を治す事だけを考えて欲しい」と言う言葉に入院生活を余儀なくされている。
そんな俺の塞いだ気持ちを慮ってか頻繁に見舞いに来てくれるユキと晃には本当に助けられていて今日も沢山の手土産と共に病室に来て明るい話題で盛り上げてくれていた。
「本当にユキはモテるよね」
俺の言葉にユキは胸を張って
「僕ほど可愛くて色っぽくて賢いΩはいないからね!そんな僕を振る晃は本当に馬鹿だよね!」
と、胸を張った。
「はいはい」
晃はまたかと言いたげな顔をして苦笑いをしている。
「そういえばこの前会ったαがいけ好かない奴でさ」
「また新しい人?!」
俺と晃は身を乗り出してユキを見た。
その時病室のドアが開いて直人が入ってきた。
「直人!」
ひと月ぶりに見た直人の姿に俺の心臓が高鳴る。
仕事の途中なのか鍛えられた体型がよく映えるオーダーメイドのスーツに後ろに流している少し長めの髪がよく似合っている。
挨拶して帰ろうとした2人に直人は聞いたことのない冷たい声でここに居てくれと言った。
「時間は取らせない。君たちにも聞いておいてほしい」
そう言って皆に向けた眼差しは暗い色を湛えていて俺は思わず居住まいを正す。
「匠」
「はい・・えっ?!」
いつぶりだろう。匠と呼ばれたのは。
「直人記憶が・・!」
「ああ戻った」
じゃあこれからちゃんと匠として一緒にいられるんだ。
2人で力を合わせて傷を癒やしずっとそばに・・
けれどコツコツと硬い靴音を立ててベッドに歩み寄る彼からはなんの感情も読み取れない。
「匠。会うのは今日が最後だ」
「どういうこと・・?」
「お前のお腹には俺じゃ無い男の子供がいるだろう?」
「直人・・なんで知って・・」
俺たち2人を固唾を飲んで見守っていたユキと晃が思わずえっと声を上げた。
「勝手に離婚届を出して出て行ってすぐ他のαの子供を身籠るとは。たいした淫乱だな」
俺は何も言えず俯いた。
「俺の子供が孕めなかったのはわざとか?産むつもりがなかったんだろ。ヒートのたびにピルでも飲んでた?」
「そんなことしてない!」
慌てて直人を見上げるがその冷たい目には俺の姿は映っていないようだった。
「優斗がいない今もうお前と一緒にいる理由がなくなった。
最初から好きでもなかったのに子供を作るためにいい夫のふりをしていただけだ。
ここで終わりにするのが当然だろう」
「そんな・・」
少しくらいは愛されていると思っていた。
あのキスも笑顔も全部嘘だったのか。
勝手に涙が溢れてシーツを濡らしていく。
けれど直人の怒りも当然だ。
別れた後の事とはいえ俺のお腹には子供がいる。
直人の子ではないのにその子を愛しく思い産み育てたいと感じている。
それが裏切りでなくてなんなんだろうか。
「二度とその顔を俺に見せるな。実家の援助も打ち切る」
「はい・・」
当然だ。
離婚した時点で打ち切られるはずだったものを直人の好意で続けてくれていただけなのだから。
「その代わり1年一緒に暮らしたことに対する慰謝料を少しだが払ってやる。」
「いりません」
絞り出すような声でそれでも即答した。
勝手に出て行ったのは自分だ。
「慰謝料は払う。後腐れの無いようにする為だからお前に拒否権はない。金額に関してもこちらで決める。今後一切連絡をしてくるな」
直人はそれだけ言うとコートを翻して出て行った。
もう会えない。
あんなに好きだった人なのに。
優斗がいなくなったから自分が直人を支えなきゃなんておこがましいにも程がある。
あんなにも強い人に俺なんて必要ない。
そう、最初から必要なかったんだ。
顔も上げられず泣き続ける俺の肩をユキが強く抱きしめてくれた。
「お腹の子供に悪いから泣いちゃダメだよ」
いつもならこんな時悪態をついて大騒ぎするユキが何も言わずに俺を抱きしめて一緒に泣いている。
「そうだね」
そう呟きながら俺も溢れる涙を止めることが出来ないでいた。
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