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王弟殿下の婚約者
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俺の名前はユビイ・ウォーク。
国内でも由緒正しい御三家の一つと言われるウォーク伯爵家の次男だ。
どのくらい由緒正しいかと言うと王弟殿下の花嫁になれるくらい由緒正しい。
そう。何を隠そう俺は我が国サルランの第二王子アリーの婚約者なのだ。
男同士だろうって?
そこは問題ない。
この国では後継者争いを避ける為に国王以外の王弟は子供を作らない。よって同性婚が普通の感覚で行われている。
どうせ子供を持てないのであれば片腕となる強い男性と結婚して力を合わせ国を盛り立てる方が良いと考える王族が多いのだ。
そんなわけで俺は幼い頃からアリー王子の婚約者として立ち居振る舞いから宮廷内の礼儀作法、いずれ賜る領地の治め方まで勉強漬けの毎日を送って来た。
それに加えて容姿を磨くことも求められるんだから時間がいくらあっても足りない。まあお陰で俺の肩で切り揃えられた黒髪はいつでもサラサラで絹の手触りだし肌だって毎日磨いているから真っ白で艶々だ。
この国きっての美女と言われた母親似の顔もアリー王子のお気に入りの一つ。
・・だったはずなんだが。
「ユビイ!こんなとこにいたのかよ」
「どうしたルー」
「これから昼休憩なんだ」
そう言って笑うルーは学生時代からの親友で今は国王直属の親衛隊として同じく王宮に勤めている。
隆々とした筋肉と短く刈り込んだ燃えるように赤い髪のせいで最初は恐れられるが笑った顔が可愛いとかで一部のマニアには人気らしい。
「ユビイはどこかに行くのか?」
「えっ・・いやもう部屋に戻るんだ」
言葉を濁す俺にルーは心配そうに眉を顰めた。
「いつもなら王弟殿下の所で仕事を手伝っていただろう?」
「あ、うんまあ」
「ユビイ・・あの噂は本当なのか?」
「噂って?」
わざと明るく答えるがもうルーのところまで伝わっている事に衝撃を受ける。
「最近第二王子と上手くいってないと・・。そんなはずないよな。だって二人は凄く仲良かったしずっと・・」
「アリー様は忙しいんだよ!大丈夫それだけだから」
ニコッと笑って見せるがルーは強がりだと気付いているだろう。それでもそうだと肯定する事で本当にアリーの愛情がなくなった事を認めてしまうようで怖い。
「本当にアリー様は忙しいだけなんだ」
俯いて自分に言い聞かせるように再び呟く俺の頭をルーは大きな手でわしっと撫でた。
「なんかあったらすぐ言えよ。お前はしんどくても全然顔に出さないからな」
「そんなつもりはないんだけど・・。確かに嬉しくても嬉しくない?とかよく言われるな」
「はは。綺麗だからお人形みたいに見えるんだろうな」
「そうか・・」
そんな俺をアリーはいつも凛として美しいと言ってくれた。
それなのに・・
「じゃあそろそろ行くよ」
「ああ、呼び止めて悪かった。俺も飯を食ってくる」
「うんまたね」
ルーと別れて自室への道をノロノロと歩く。
こんな昼間から何もすることがないなんて穀潰しもいいとこだ。
でもアリーは執務室に呼んでくれない。
いつからこんな風になったのだろう。
子供の頃は二人で山を駆け回ったり木登りをしたりとふざけ合ったし大人になってからも常に一緒にいたのに。
こんな事できちんと結婚生活が営めるのだろうか。
俺と同じ歳のアリーは来月25歳になる。
王族は余程の理由がない限り25歳までに婚姻を結ぶのでそろそろタイムリミットだ。
しかし俺という婚約者がいるにも関わらずこれだけ結婚を先延ばしにする理由が思い当たらない。
「所詮は政略結婚だもんな。やっぱり気乗りしないのかな」
自分で呟いた言葉に地味に傷つきちょっと泣きそうになる。
あいつは俺のことをどう思っているんだろう。
国内でも由緒正しい御三家の一つと言われるウォーク伯爵家の次男だ。
どのくらい由緒正しいかと言うと王弟殿下の花嫁になれるくらい由緒正しい。
そう。何を隠そう俺は我が国サルランの第二王子アリーの婚約者なのだ。
男同士だろうって?
そこは問題ない。
この国では後継者争いを避ける為に国王以外の王弟は子供を作らない。よって同性婚が普通の感覚で行われている。
どうせ子供を持てないのであれば片腕となる強い男性と結婚して力を合わせ国を盛り立てる方が良いと考える王族が多いのだ。
そんなわけで俺は幼い頃からアリー王子の婚約者として立ち居振る舞いから宮廷内の礼儀作法、いずれ賜る領地の治め方まで勉強漬けの毎日を送って来た。
それに加えて容姿を磨くことも求められるんだから時間がいくらあっても足りない。まあお陰で俺の肩で切り揃えられた黒髪はいつでもサラサラで絹の手触りだし肌だって毎日磨いているから真っ白で艶々だ。
この国きっての美女と言われた母親似の顔もアリー王子のお気に入りの一つ。
・・だったはずなんだが。
「ユビイ!こんなとこにいたのかよ」
「どうしたルー」
「これから昼休憩なんだ」
そう言って笑うルーは学生時代からの親友で今は国王直属の親衛隊として同じく王宮に勤めている。
隆々とした筋肉と短く刈り込んだ燃えるように赤い髪のせいで最初は恐れられるが笑った顔が可愛いとかで一部のマニアには人気らしい。
「ユビイはどこかに行くのか?」
「えっ・・いやもう部屋に戻るんだ」
言葉を濁す俺にルーは心配そうに眉を顰めた。
「いつもなら王弟殿下の所で仕事を手伝っていただろう?」
「あ、うんまあ」
「ユビイ・・あの噂は本当なのか?」
「噂って?」
わざと明るく答えるがもうルーのところまで伝わっている事に衝撃を受ける。
「最近第二王子と上手くいってないと・・。そんなはずないよな。だって二人は凄く仲良かったしずっと・・」
「アリー様は忙しいんだよ!大丈夫それだけだから」
ニコッと笑って見せるがルーは強がりだと気付いているだろう。それでもそうだと肯定する事で本当にアリーの愛情がなくなった事を認めてしまうようで怖い。
「本当にアリー様は忙しいだけなんだ」
俯いて自分に言い聞かせるように再び呟く俺の頭をルーは大きな手でわしっと撫でた。
「なんかあったらすぐ言えよ。お前はしんどくても全然顔に出さないからな」
「そんなつもりはないんだけど・・。確かに嬉しくても嬉しくない?とかよく言われるな」
「はは。綺麗だからお人形みたいに見えるんだろうな」
「そうか・・」
そんな俺をアリーはいつも凛として美しいと言ってくれた。
それなのに・・
「じゃあそろそろ行くよ」
「ああ、呼び止めて悪かった。俺も飯を食ってくる」
「うんまたね」
ルーと別れて自室への道をノロノロと歩く。
こんな昼間から何もすることがないなんて穀潰しもいいとこだ。
でもアリーは執務室に呼んでくれない。
いつからこんな風になったのだろう。
子供の頃は二人で山を駆け回ったり木登りをしたりとふざけ合ったし大人になってからも常に一緒にいたのに。
こんな事できちんと結婚生活が営めるのだろうか。
俺と同じ歳のアリーは来月25歳になる。
王族は余程の理由がない限り25歳までに婚姻を結ぶのでそろそろタイムリミットだ。
しかし俺という婚約者がいるにも関わらずこれだけ結婚を先延ばしにする理由が思い当たらない。
「所詮は政略結婚だもんな。やっぱり気乗りしないのかな」
自分で呟いた言葉に地味に傷つきちょっと泣きそうになる。
あいつは俺のことをどう思っているんだろう。
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