【完結】前世は犬と猫! 〜二度目の恋のやり直し〜

ivy

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20.冬休みの計画

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コンクールが終わり、ようやく日常が戻ってきた。
テストが近いにもかかわらず春人はバイト三昧なので、俺たち三人は放課後に図書室で勉強をすることが増えた。

「くっそ、範囲広くね?」

「確かに広いけど覚えないといけない箇所はそんなに多くないわよ?」

「そうそう。勉強なんて要領なんだよ」

その要領が悪いからこんだけ苦しんでんだよ!分かれよ!

「まあ、ケイも麻央も成績いいもんな」

「普通だよ。春人は凄いけどな。あいつのノートめっちゃ分かりやすくまとまっててさ。テスト前は飛ぶように売れてるよ」

「あいつ……どこまで商売っ気があるんだ……」

「確かにな。でも本当によく働くよなあ。麻央は理由とか聞いたことある?」

ケイの言葉に麻央は微かに頷いた。

「聞いたことはあるんだけど……明確な答えは貰えなかったな」

「彼女なのに?どんだけ秘密主義なんだ」

「でも、“分からない”って言ったの。隠してるって言うより本当に分からないみたいな反応だった」

「分からない?あんだけ働きずくめに働いておいて?」

趣味もなさそうだし何にも興味なさそうな春人にどうして金が必要なのか。

「デート代とか」

「最初に払ってくれようとしたから割り勘にしよってことで落ち着いてるの。自由な時間も少ないしそんなにお金を使うデートもしないよ」

「……だよなあ。まあここで考えてても分からんし、あいつが言いたくないなら探る必要もないかー」

ケイの言葉に俺たちは同意する。春人は春人だ。危ないことさえしなきゃいい。

「それよりさ、もう付き合って三ヶ月くらいたつよな。彼氏としての春人はどう?」

「おいケイ!」

不躾な質問に俺がケイを嗜めると、麻央は笑って「大丈夫よ」と言った。

「少ない時間をやりくりして会ってくれるし、凄く一生懸命で彼氏としては満点かな」

「おおーそうなんだ」

「ふふっ」

申し分ない、と言う裏で、麻央の言葉がどこか他人事に見えて俺はそれが少し気になった。

「惚気も聞いたし、そろそろ勉強するか」

「あ、ああ。そうだった。勉強しなきゃ」

「そうよー?一人だけ留年なんて嫌でしょ?」

「ぐっ!麻央、お前キツいこと言うな……」

「ふふっごめんごめん」

「期末テストが終わったら美味しい物食べるんだ……」

「赤点のフラグかよ!」

二人と共にひとしきり笑って、俺は再びペンを握った。






それから一週間後、テストが終わり点数もそこそこ取れていた俺は、ようやくほっとひと息ついていた。

「赤点回避おめでとう!冬休みどうすんの?」

ケイの声は何やら楽しそうだ。なんか企んでるのか?

「冬休みか……特に予定はないな」

ぼんやり返すと、ケイはにっこり笑って、破壊力抜群の爆弾を投下してきた。

「予定ないなら、うちの別荘で過ごさねえ?」

「……はあっ!?」

椅子から転げ落ちそうになった俺は、慌てて机に手をついた。

「べ、べ、別荘……!?それって、あの別荘か!?」

「どの別荘だよ。てか“あの”って何だよ」

「庶民にとっては幻想の産物だよ!どこにあるんだよそんな異世界施設!」

「いくつかあるけど、この時期なら沖縄がよくね?気候も暖かいし。こっち戻って来た時の寒さに絶望するけど」

軽く言うな。さすが超絶金持ちのオシャレさんはスケールが違う。

「じゃあ、春人も誘って……いや、来ないか」

俺が呟くと、ケイがニヤリと笑う。

「一応聞くだけ聞いてみようぜ。あいつ、気まぐれだしもしかしたらの可能性もある」


そうして放課後、ちょうど渡り廊下を歩いていた春人を見つけて声を掛けた。隣に麻央がいるところを見ると、今からデートなんだろう。
俺たちは手短に冬休みの計画を話す。

「……バイト」

即答だった。だろうな、と思ってたけどな。

「だよなあ。でもなー、沖縄だぞ?海だぞ?そして温泉もあるんだぞ?」

「……バイト休めない」

「そっか、仕方ないな。じゃあタケルと二人っきりだな。ハネムーンみたいじゃね?」

「……馬鹿め」

ハネムーンだと?浮かれすぎたろ。
だが、その時、春人のこめかみがピクリと動いた。

「別荘なんて素敵ね、さすがケイ」

麻央が軽く微笑んで声を乗せる。

「おっ?泊まり平気なら麻央も来る?部屋たくさんあるし」

「嬉しいけどさすがに泊まりは家が許してくれないなあ。それに年末年始は毎年家族旅行なの」

「へえ、いいな。家族仲良さそうで」

本当に、そういうのは羨ましい。ちゃんと家族の中に自分の居場所があるっていうのは、すごく安心できるんだろうな。

「……俺も行く」

「「「えっ?」」」

全員の声が見事にハモる。

「バイト、大丈夫なのか?」

「休む。予定、合わせる」

春人の声は淡々としているのに、どこか強い意志が込められていた。

──珍しい。あいつが、自分から行くなんて言うの。

俺は目を見開いて、隣にいたケイと顔を見合わせる。

「……春人って、沖縄好きなの?」

「行ったことねーから好きとかない」

「そっか、ないのか……」

それなのにバイトを休んでまで。あの春人が。

「たまにはいいだろ」

「そりゃ、お前が良ければ全然いいに決まってるけどさ。じゃ明日にでも計画立てようぜ」

「うん」

返事だけすると、春人はスタスタと去ってしまった。
……何を考えてるのかサッパリだ。

「よし!これで旅行中は存分に春人と遊べるぞ。な?タケル」

「あ、ああ……」

そりゃ俺にとっては願ってもないことだけど。
……ことあるごとに春人は麻央のものだって思い知らされるんじゃないかと思うと……ちょっと怖い。
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