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目覚める衝動

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 「おい恭一!」
 「恭一、返事をしろ!」
 
 「しっかりしろよ!」
 
弦が体をゆすってくると、俺はハッと
なって目を覚ました。
 
 「あ、あれ…?」
 「弦…?」
 
 「ッ…!」
 
体中に痛みが走ると、俺はそこでやっと
思い出した。
 
 「そ、そうだ。確かお前を庇って…」 
 
 「バカ野郎…!」
 「俺なんか庇って…!」

「お前がなかなか目を覚まさなかったから、心配しただろ!」
 
弦は俺に向かって怒鳴ると、今にも
泣きそうな顔をしていた。
 
 「な、なんだよ弦…?」
 「なんでそんな顔…」
 
 俺は不思議そうに尋ねた。
 
 「うっさい!」
 「恭一のアホタレ!」
 
 「な、なんだよ…?」
 
  「お前がなかなか動かなかったから、死んだと思ったんだよ!」
 
 「え?」
 
 弦はそう言っていい返してくると、
 その場から立ち上がった。 
 
 
 
 
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