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新学期
校長先生のおもいつき
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次の日、アダムは校長室に呼び出されていた。
「お呼びですかな、校長先生」
入室したアダムがそう尋ねると頭のてっぺんを輝かせながら校長は微笑んでいる。
「おお、ディーン先生。Fクラスの子たちはどうですかな?」
「そうですな、とてもいい子たちばかりです」
ティナやクロエやダズを抱えているがアダムにとっては
それほど大きな問題とは捉えていなかった。そういったものは言ってしまえば個性の範疇であり、
よほどの事でない限り対処法はある。人一人一人に対処法がある。それを模索すればいいのだ。
そんな彼の頭の中には別の問題が浮かんでいる。校長は魔法使いとしては伝説クラスの存在だが
冒険譚や民話の類に目がない困った人物でもある。
「いい子か、それはなにより・・・だが魔法使いもガッツが必要じゃ、それにFクラスの子たちはなにかと下にみられがちなのでな・・・」
「といいますと?」
アダムはすごく嫌な予感がした。この校長はなにかととんでもない事を思いついたりする。
善意であったり、ほんとに単なるおもいつきであったり。
「エルフの子がおったじゃろう、ええと・・・」
「ああ、カティナ・アインザッツ君ですね」
「実はあの子が国境で足止めされておるようなのじゃ」
「そうなんですか?それでは来れるのはもっと後に・・・」
「そこでじゃ!」
(あ、やな予感・・・)
校長はびし!と指を立てて叫んだ。
「クラスメイトで迎えに行ってあげなさい!ついでにその地域に生えている魔力草を持ち帰る事!」
校外学習じゃ!と宣う。アダムは頭を抱えた。
「まってください、彼女が居る場所は山間部ですよ?危険すぎる」
「ガッツが大事じゃ、ワシが若い頃は戦争中の国を突っ切って薬草や魔力鉱石の採取に向かったものじゃて」
「子供たちを連れていくのに・・・」
「これは決定じゃ、その為に君がいるんじゃろ?」
そう言うと校長はそそくさと出ていった。アダムが慌てて後を追うもその時には既に移動の魔法を使ったらしく煙とともに姿が見えなくなっておりアダムだけが取り残された。
そして最後に校長が立っていた場所には書類が一式揃っていた。彼らが魔力草を持ち帰った際に特別に単位を認める旨を書いた公式な書類である。
アダムは観念するしかなかった。
「というわけで、ワシら数日後にクラスメイトを迎えに行くことになりました」
「「「「えっ?」」」」
唐突なアダムの言葉にFクラスのメンバーは目が点になった。それもそうである。
まだ新学期が始まったばかりなのに突然の校外学習。普通ならありえない。
そもそもまだ五人のクラスメイトが来てすらないのだ。現状此処にいるのはルナ・フラウステッド、ティナ・ユピトール、クロエ・ミスト、ダズ・アッテンボロー、テイロス・ギガース、マリー・クライグスだけだ。
「六人で行くんですか?」
「うむ、まあ・・・六人ならなんとか面倒見切れるかな・・・って感じだ」
アダムの表情には疲れが見えていた。こういったことには事前の準備が必要であるにも関わらず決まったのはつい先ほどなのである。当然と言えば当然だろう。
「クラスメイトって遠くから来てるから来れない人ですか?」
「そうだ、エルフの子でな。山間部にある国境地域でなにかしらの問題が起こって足止めされているようだ」
「結構遠いですよね・・・」
「そうだな、当日は旅支度で来いよ」
ダズは間違いなくインドア派なので行く前からかなり嫌々だ。それと対照的に女子は騒がしい。
「山間部ですか、あそこは確か魔力草の群生地が・・・」
「綺麗な花畑があるって聞いたことあるよ!」
「魔力草もたしか綺麗な花が咲くって・・・同じやつかな・・・」
「魔力を帯びてて夜にキレイな色で淡く光るらしいです」
奇しくも山間部に生えている魔力草の話をしている。アダムはこれ幸いと女子がわいわいしているのに便乗する。
「ちなみに今回、ついでにその魔力草の採取も行うぞ」
「「「「わーい」」」」
「しかもそれが筆記のテストに加点される」
「よっしゃ!」
ティナが食いついたのでアダムはホッとする。声が大きいティナがぐずると何かと厄介だ。
物怖じしない彼女の性格は短い付き合いの中でもとくにムードメーカーとしての役割を持っているのを
アダムは理解している。クラスの雰囲気をやる気に傾けるにはまず彼女を焚きつけることが重要なのだ。
「山間部か・・・たしか鉱石とかも産出されたか」
「魔力鉱石でしたっけ、魔力草が生える土壌にはそれがあると・・・」
「鉱石か、お前さんたちにもそこでは自由行動を許しても構わんぞ。余裕があれば鉱石の採取も視野にいれよう」
男子陣にもそれとなく飴を用意する。ノームとドワーフのダズとテイロスはその言葉に幾分やる気を見せてくれる。
「お呼びですかな、校長先生」
入室したアダムがそう尋ねると頭のてっぺんを輝かせながら校長は微笑んでいる。
「おお、ディーン先生。Fクラスの子たちはどうですかな?」
「そうですな、とてもいい子たちばかりです」
ティナやクロエやダズを抱えているがアダムにとっては
それほど大きな問題とは捉えていなかった。そういったものは言ってしまえば個性の範疇であり、
よほどの事でない限り対処法はある。人一人一人に対処法がある。それを模索すればいいのだ。
そんな彼の頭の中には別の問題が浮かんでいる。校長は魔法使いとしては伝説クラスの存在だが
冒険譚や民話の類に目がない困った人物でもある。
「いい子か、それはなにより・・・だが魔法使いもガッツが必要じゃ、それにFクラスの子たちはなにかと下にみられがちなのでな・・・」
「といいますと?」
アダムはすごく嫌な予感がした。この校長はなにかととんでもない事を思いついたりする。
善意であったり、ほんとに単なるおもいつきであったり。
「エルフの子がおったじゃろう、ええと・・・」
「ああ、カティナ・アインザッツ君ですね」
「実はあの子が国境で足止めされておるようなのじゃ」
「そうなんですか?それでは来れるのはもっと後に・・・」
「そこでじゃ!」
(あ、やな予感・・・)
校長はびし!と指を立てて叫んだ。
「クラスメイトで迎えに行ってあげなさい!ついでにその地域に生えている魔力草を持ち帰る事!」
校外学習じゃ!と宣う。アダムは頭を抱えた。
「まってください、彼女が居る場所は山間部ですよ?危険すぎる」
「ガッツが大事じゃ、ワシが若い頃は戦争中の国を突っ切って薬草や魔力鉱石の採取に向かったものじゃて」
「子供たちを連れていくのに・・・」
「これは決定じゃ、その為に君がいるんじゃろ?」
そう言うと校長はそそくさと出ていった。アダムが慌てて後を追うもその時には既に移動の魔法を使ったらしく煙とともに姿が見えなくなっておりアダムだけが取り残された。
そして最後に校長が立っていた場所には書類が一式揃っていた。彼らが魔力草を持ち帰った際に特別に単位を認める旨を書いた公式な書類である。
アダムは観念するしかなかった。
「というわけで、ワシら数日後にクラスメイトを迎えに行くことになりました」
「「「「えっ?」」」」
唐突なアダムの言葉にFクラスのメンバーは目が点になった。それもそうである。
まだ新学期が始まったばかりなのに突然の校外学習。普通ならありえない。
そもそもまだ五人のクラスメイトが来てすらないのだ。現状此処にいるのはルナ・フラウステッド、ティナ・ユピトール、クロエ・ミスト、ダズ・アッテンボロー、テイロス・ギガース、マリー・クライグスだけだ。
「六人で行くんですか?」
「うむ、まあ・・・六人ならなんとか面倒見切れるかな・・・って感じだ」
アダムの表情には疲れが見えていた。こういったことには事前の準備が必要であるにも関わらず決まったのはつい先ほどなのである。当然と言えば当然だろう。
「クラスメイトって遠くから来てるから来れない人ですか?」
「そうだ、エルフの子でな。山間部にある国境地域でなにかしらの問題が起こって足止めされているようだ」
「結構遠いですよね・・・」
「そうだな、当日は旅支度で来いよ」
ダズは間違いなくインドア派なので行く前からかなり嫌々だ。それと対照的に女子は騒がしい。
「山間部ですか、あそこは確か魔力草の群生地が・・・」
「綺麗な花畑があるって聞いたことあるよ!」
「魔力草もたしか綺麗な花が咲くって・・・同じやつかな・・・」
「魔力を帯びてて夜にキレイな色で淡く光るらしいです」
奇しくも山間部に生えている魔力草の話をしている。アダムはこれ幸いと女子がわいわいしているのに便乗する。
「ちなみに今回、ついでにその魔力草の採取も行うぞ」
「「「「わーい」」」」
「しかもそれが筆記のテストに加点される」
「よっしゃ!」
ティナが食いついたのでアダムはホッとする。声が大きいティナがぐずると何かと厄介だ。
物怖じしない彼女の性格は短い付き合いの中でもとくにムードメーカーとしての役割を持っているのを
アダムは理解している。クラスの雰囲気をやる気に傾けるにはまず彼女を焚きつけることが重要なのだ。
「山間部か・・・たしか鉱石とかも産出されたか」
「魔力鉱石でしたっけ、魔力草が生える土壌にはそれがあると・・・」
「鉱石か、お前さんたちにもそこでは自由行動を許しても構わんぞ。余裕があれば鉱石の採取も視野にいれよう」
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