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新学期
エトナ―とルナ
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アダムがあれこれとカティナにエトナ―の事を教えている中、二人は砦を目指していた。
「寒いですね・・・」
「ここらへんは特に冷えるからな、平地よりも冬が来るのが早い」
「それにしても教会ってこんな外れにあるものなんですね」
「そういやそうだな、前はもっと近くにあった気がするんだが」
エトナーは教会の建物が外側に追いやられているのに気づいて舌打ちした。おそらくは砦の人間に難癖を付けられていたのかもしれない。理由はもちろん悪魔とつるんでいるからだろう。
教会にバレれば即座に国に伝わるし、教会の言葉となれば偉い人も動きやすい。
魔法局のようになにかとライバル意識のある組織ならともかく信者の多い権力者には教会の話を聞いてくれる人物もいるのだ。
「僧侶の人も居ませんでしたし」
「うーむ、こりゃ不味いな」
「やっぱり悪魔が関わて・・・」
「いや、こんな寒い日にあそこで酒が売ってるんだ」
ルナが呆れた表情でエトナーを見るも彼女は全く意に介さず酒場に吸い寄せられていく。
「ダメですよ!今から仕事なのに!」
「何を言う、冷えた体で何ができようか」
「走りましょう!」
「いやだね!」
たたたーっと軽い足取りで酒場に入っていった。
ルナが慌てて後を追いかけるとエトナーが酒場の店主にホットワインを注文していた。
「もーっ!仕事中なのに!」
「固いこというない、おやじ!キツいの1杯くれ!あとこれに火酒!」
「はいよ!」
エトナーは慣れた様子でカウンターに寄りかかると貨幣と革袋の水筒を投げ渡した。
「そちらのシスター様も寒かったでしょ?これどうぞ」
「あ、ありがとうございます。これは?」
「はちみつと香辛料をお湯で溶いた物です。お酒はまだ早いお年でしょう?」
「わかってるねぇ、おやじ!」
「ははは、貴女みたいに馴染んでるシスター様は珍しいですがね」
エトナーはジョッキに注がれた酒を豪快に飲み干して大きく息を吐いた。ルナも同じように飲んでちょっと火傷した。
「ぶはーっ、やっぱ酒だな!寒い日にゃあこれがないと!」
「そうですな、はい。これも満タンにしときましたよ」
「さて!燃料もくべたからにゃ外に出ようじゃないの!」
「えっ、私まだ・・・ぐえぇっ!」
さ、仕事だ!とまだ飲んでいるルナの襟首を掴んでエトナーは走り出した。
「山から降りてくる風より慌ただしい人だなぁ」
店主はルナを引きずって走り出したエトナ―を見てただただ呆気にとられるしかなかった。
「ついたぞ!」
「・・・はぁい」
寒空の下全力疾走したエトナ―は頬を赤く染めているが引きずられていたルナはいろんな意味で顔が真っ青になっていた。
「たのもー!」
エトナ―が砦の門をガンガンと叩くと詰所からわらわらと兵士が出てきた。
「何者だ!」
「聖堂から参った!この砦の隊長はだれか!」
「し、しばしおまちください!」
杖を突いて高らかに叫ぶと兵士は慌てて門を開いた。聖職者が訪ねてきた場合例え戦時であっても彼女達を外に留め置くことはゆるされない。それに違反すれば困るのは自分達である。
砦が陥落した際に助命を嘆願してくれるのは聖職者の仕事だし、停戦の調印を保証するのも聖職者が居ればグッと効果を増す。聖職者を無碍に扱うことはそう言った有事に便宜を図ってくれる存在を無くすことに等しい。
「聖堂の御方が何用でございましょうか?」
「隊長に会えばわかる!ここでつまびらかにしては何かと彼にとって不都合だろうからな」
その言葉で兵士達に緊張が走った。それは彼女達が通常の聖務ではなく、弾劾の為に来た可能性を示唆しているからだ。
「隊長!責任者はどこだ!それとも、こちらから探すべきか?」
「エト・・・聖人様、些か乱暴では?」
「何を言うか、我らが如何様な命を帯びて来ているか知らぬわけもあるまいに!」
ずかずかと砦の中を歩いていくエトナ―。兵士たちは自身の生活に根付いた信仰心とルナが聖人と呼びかけたことに完全に委縮してしまい周囲を囲むようにしつつも彼女達を止めることはできなかった。
聖人、女性であるエトナ―が性別を超越して列せられいるこの称号がいかに強烈なものか。
教皇すらも彼女の意に逆らうことは許されないのである。なぜなら彼女こそが最も古く、最も神に近しい位置にいる聖職者だからだ。
「責任者の人ー!早く出てきてくださーい!」
ルナも半ばヤケクソ気味に叫ぶ。しかしながら返事はない。
「匂うぞ、悪魔の匂いだ」
「わかるんです?」
「魔界の瘴気を伴って現れるものが多いからな。ルナちゃんもわかるんじゃないの?」
そう言われてルナはくんくんと匂いを嗅いでみるが・・・。
「エトナ―さんがお酒臭いのでわかりません」
「げふっ・・・ごめん」
流石に申し訳なかった。ただげっぷも出た。
「魔界の瘴気は・・・一番奥の部屋だな。間に合うといいが」
「寄り道しなきゃよかったのに・・・」
「わりとジャストなタイミングを計らんといかんのよ。これが」
エトナ―が走り出したのを見てルナもその後ろに追従した。
「寒いですね・・・」
「ここらへんは特に冷えるからな、平地よりも冬が来るのが早い」
「それにしても教会ってこんな外れにあるものなんですね」
「そういやそうだな、前はもっと近くにあった気がするんだが」
エトナーは教会の建物が外側に追いやられているのに気づいて舌打ちした。おそらくは砦の人間に難癖を付けられていたのかもしれない。理由はもちろん悪魔とつるんでいるからだろう。
教会にバレれば即座に国に伝わるし、教会の言葉となれば偉い人も動きやすい。
魔法局のようになにかとライバル意識のある組織ならともかく信者の多い権力者には教会の話を聞いてくれる人物もいるのだ。
「僧侶の人も居ませんでしたし」
「うーむ、こりゃ不味いな」
「やっぱり悪魔が関わて・・・」
「いや、こんな寒い日にあそこで酒が売ってるんだ」
ルナが呆れた表情でエトナーを見るも彼女は全く意に介さず酒場に吸い寄せられていく。
「ダメですよ!今から仕事なのに!」
「何を言う、冷えた体で何ができようか」
「走りましょう!」
「いやだね!」
たたたーっと軽い足取りで酒場に入っていった。
ルナが慌てて後を追いかけるとエトナーが酒場の店主にホットワインを注文していた。
「もーっ!仕事中なのに!」
「固いこというない、おやじ!キツいの1杯くれ!あとこれに火酒!」
「はいよ!」
エトナーは慣れた様子でカウンターに寄りかかると貨幣と革袋の水筒を投げ渡した。
「そちらのシスター様も寒かったでしょ?これどうぞ」
「あ、ありがとうございます。これは?」
「はちみつと香辛料をお湯で溶いた物です。お酒はまだ早いお年でしょう?」
「わかってるねぇ、おやじ!」
「ははは、貴女みたいに馴染んでるシスター様は珍しいですがね」
エトナーはジョッキに注がれた酒を豪快に飲み干して大きく息を吐いた。ルナも同じように飲んでちょっと火傷した。
「ぶはーっ、やっぱ酒だな!寒い日にゃあこれがないと!」
「そうですな、はい。これも満タンにしときましたよ」
「さて!燃料もくべたからにゃ外に出ようじゃないの!」
「えっ、私まだ・・・ぐえぇっ!」
さ、仕事だ!とまだ飲んでいるルナの襟首を掴んでエトナーは走り出した。
「山から降りてくる風より慌ただしい人だなぁ」
店主はルナを引きずって走り出したエトナ―を見てただただ呆気にとられるしかなかった。
「ついたぞ!」
「・・・はぁい」
寒空の下全力疾走したエトナ―は頬を赤く染めているが引きずられていたルナはいろんな意味で顔が真っ青になっていた。
「たのもー!」
エトナ―が砦の門をガンガンと叩くと詰所からわらわらと兵士が出てきた。
「何者だ!」
「聖堂から参った!この砦の隊長はだれか!」
「し、しばしおまちください!」
杖を突いて高らかに叫ぶと兵士は慌てて門を開いた。聖職者が訪ねてきた場合例え戦時であっても彼女達を外に留め置くことはゆるされない。それに違反すれば困るのは自分達である。
砦が陥落した際に助命を嘆願してくれるのは聖職者の仕事だし、停戦の調印を保証するのも聖職者が居ればグッと効果を増す。聖職者を無碍に扱うことはそう言った有事に便宜を図ってくれる存在を無くすことに等しい。
「聖堂の御方が何用でございましょうか?」
「隊長に会えばわかる!ここでつまびらかにしては何かと彼にとって不都合だろうからな」
その言葉で兵士達に緊張が走った。それは彼女達が通常の聖務ではなく、弾劾の為に来た可能性を示唆しているからだ。
「隊長!責任者はどこだ!それとも、こちらから探すべきか?」
「エト・・・聖人様、些か乱暴では?」
「何を言うか、我らが如何様な命を帯びて来ているか知らぬわけもあるまいに!」
ずかずかと砦の中を歩いていくエトナ―。兵士たちは自身の生活に根付いた信仰心とルナが聖人と呼びかけたことに完全に委縮してしまい周囲を囲むようにしつつも彼女達を止めることはできなかった。
聖人、女性であるエトナ―が性別を超越して列せられいるこの称号がいかに強烈なものか。
教皇すらも彼女の意に逆らうことは許されないのである。なぜなら彼女こそが最も古く、最も神に近しい位置にいる聖職者だからだ。
「責任者の人ー!早く出てきてくださーい!」
ルナも半ばヤケクソ気味に叫ぶ。しかしながら返事はない。
「匂うぞ、悪魔の匂いだ」
「わかるんです?」
「魔界の瘴気を伴って現れるものが多いからな。ルナちゃんもわかるんじゃないの?」
そう言われてルナはくんくんと匂いを嗅いでみるが・・・。
「エトナ―さんがお酒臭いのでわかりません」
「げふっ・・・ごめん」
流石に申し訳なかった。ただげっぷも出た。
「魔界の瘴気は・・・一番奥の部屋だな。間に合うといいが」
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