悪魔になったらするべきこと?

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新学期

一方そのころ

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ルナ達が砦で大立ち回りをしている頃、宿についたFクラス一行は魔力草の採取に向けて計画を立てていた。

「んじゃとりあえずディーン先生が戻ってこなかった場合を想定して計画たてようか」
「「はーい」」
「「異議なし」」

ティナの音頭で全員が車座になる。
アダムの引率で行動出来ればそれが最上ではあるが元よりきな臭いと別行動まで取るほどである。

「えぇと、まず御者さんに即出発の合図を出す為にクロエとマリーちゃんが宿で荷物番。採取と周辺調査にウチと男子二人ね」

班分けをすると体力に自信のあるティナと山育ちのダズとテイロスが行動班、心配性で最悪を想定できるクロエとマリーがいざと言う時に備える役だ。

「魔力草の生えてる場所は大雑把に山の上の方らしい」
「なんで知ってるんだ?」
「宿に行く途中でオヤツ買ったじゃん、そこのおばさんに聞いた」

ティナがあっけらかんと答えるので全員が驚いた。
もちろん全員ティナが途中で居なくなった事もオヤツを買った
ことも知らなかったからである。

「・・・その買ったオヤツはどうしたの?」
「御者さんに半分あげて、残りは食べた」
「ボク達の分は?」
「ないよ?」
「なんてやつだ・・・」

マイペースすぎて誰もついていけなかった。

「しょーがないじゃん!お金ないんだから!」
「・・・ならなんでオヤツ買ったのさ」
「情報料!ってかダズっちはずっと寝てたじゃんか!」
「そこ突かれると自分は弱いけど、声くらい掛けてあげたら?」
「確かにお店の人に聞くのに何も買わないのは良くないけどな」

全員がオヤツ一つにここまで文句を言うのは宿の食事が美味しくなかったことが上げられた。
なにしろきな臭い雰囲気が砦から漂っていたのである。
大半のお店は物資の徴発を危惧して出し惜しみをしていた。さらに皆が泊った宿屋は
食事は二の次だったためか子供ばかりの宿泊客とみて足元を見られたのだ。

「とりあえず!明日に備えて今日は寝る!」
「・・・それしかないか」

時間はもう遅くなり始めていた。窓を開けると冷たい風が吹き込んできたのでテイロスは慌てて
窓を閉めた。

「防寒着がいるかもな」
「そうなるとますますクロエとマリーちゃんは不向きだ」
「水の属性持ちだからね」

クロエとマリーはどちらも水に高い特性を持っている。特にクロエはなにもしなくてもじめじめしているので
山間の冷たい風に当たると最悪凍ってしまうだろう。

「ディーン先生が戻って来るかもだし、そろそろ寝る準備しよう」

誰が言ったともつかない言葉で皆がごそごそと寝る準備に入る。
女子はベッド。テイロスはソファ、ダズはテイロスのリュックの中に入った。

「寝てるか、何事もなかったようで何よりだ」
「お疲れ様ですね」
「そちらも、苦労を掛けます」

Fクラスの皆が寝静まった頃、部屋の中をこっそりのぞいたアダムは護衛を兼ねて不寝番
をしてくれている御者に労いの言葉をかけ、自身は今一度教会に舞い戻る。

「さて・・・、あの様子だと大丈夫か」

屋根から屋根に飛び移って教会に面した通りを見やるとルナとエトナ―がエルフたちを
連れて足早に教会に入っていくのが見えた。
遠眼鏡で教会を覗いているとエトナ―が視線に気づいたのか笑みと共にこちらに手を振った。

「ったく・・・俺も退散するか」

冷える風にアダムも白い息を吐いた。訓練で動きが鈍る事はなかったがそれでも寒いものは寒い。
原因が取り除かれたとはいえ解決には程遠い。その事は翌日、思いがけないところで
影響を及ぼすのである。






「・・・朝?」

朝、カティナは教会の窓から注ぐ光で目が覚めた。申し訳ばかりのステンドグラスから注ぐそれは
偶然にもカティナの顔を照らしていた。

「ぬくい・・・」

囲炉裏を見ると炭は燃え尽きていたが煙突のについている金属板がほのかに熱を放っているようで
微かに暖かい。それともう一つの熱源があることに気付いた。

「Zzz・・・」

ルナはまだ夢の中、カティナが上半身を起こしたためにできた隙間が冷えるのか身を捩っている。
カティナは毛布を掛け直してあげると暖を取るべく部屋の隅にある炭の袋からいくつかの炭を取り出して
魔法で火をつけた。

「おはよう、火の精霊たち」

囲炉裏に火のついた炭を置くとサラマンデルが再び顔を見せた。
どうやら長く燃えていたせいで居残ったものが居たようだ。

「これくらいあればいいかな・・・」

幾つかの炭を積み重ねて煙突に熱が伝わるようにするとまた煙突の金属部分が赤く熱を持ち始めた。
少しするとポットを持ったエトナ―が入ってくる。どうやら早くに起きていたらしい。

「火焚いてくれてんのか、よっしゃお湯沸かすぞー」

囲炉裏の前にやってくると五徳を立てて金属製のポットを置いた。

「これで朝の茶でも飲むか」

エトナ―はそう言うと自身の荷物らしい簡素な鞄から茶葉の入った袋を取り出して
ポットの中にサラサラと入れた。
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