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新学期
町に戻ろう
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ガイドの男性が走っていくのを見送りながら三人はアダムの事を待っていたが・・・
「おーい」
声を聞いて振り返るとアダムがやってくるのが見えた。
「ディーン先生!」
「お前たち、道の真ん中に突っ立って・・・山賊はどうした?」
「やっつけました!」
ティナがえっへん!と言った様子で答えたのでアダムは少し呆れながら言う。
「戦闘は避けろと言ったはずだぞ、アッテンボローはどうした?」
「ここに」
ティナがテイロスの鞄を指さすとリュックの口からはみ出しているダズを見て
さらに呆れた表情になった。
「魔力を使い過ぎたか、お前たちにも言っとくが魔法使いが限界を見誤るのは恥ずかしいことだ。いくら緊急事態とはいえいざという時の備えを疎かにしてはいかん」
「ガイドさんが山賊に襲われてたから・・・」
「お前たちの勇気は褒める!だがそれとこうしてダズが寝ていることは別だ。正しいことの為に自分を犠牲にすることは必ずしもいい事とは限らん」
アダムは魔法使いが魔力を切らすことの危険性について説明しながら町への道を歩き出した。
「いいか、魔力が精神力に関係するものだということは知っているな?」
「・・・」
「知っているな?」
「や、やだなー!知ってますって!」
ティナの目線が一瞬泳いだのでアダムはムッとしつつ続ける。
「つまるところ魔力が枯渇した状態というのは精神的にも脆くなるし、体力にも悪影響がでるんだ」
魔力が枯渇することで起こる典型的な症状はルナが一度経験した魔力欠乏症だ。
これが起こってしまうと間違いなく体調不良や悪くすると失神する可能性がある。
「個人差はあるがこの場合はマナポーションを飲むか、ちゃんと休養を取ることが必要になる」
「今ダズ君がやってるみたいにですか?」
「そうだな、コイツが寝っぱなしなのは元からだが顔色が良くない・・・今回ばかりは体調不良だ」
よくみると若干顔色が悪い。精神の変調に繋がりやすい魔力の枯渇は実は皆が思っているよりずっと
危険なことなのである。
「お前たちも一度は魔力欠乏症にかかるだろうが・・・くれぐれもその時に無理をしてはいけない」
「なんでですか?」
「心を傷つける。精神がおかしくなったり、魔力を蓄える器官が傷ついて魔力を回復できなくなったりすることがあるからだ」
魔力欠乏症は割とポピュラーな症状ながら意外とこの症状については周知されていない。
というのも魔法使いにとっては魔力は精神の血液と誰もが教えるし、血を流すこと
そのものが生命の危機に直結することは誰の目にも明らかだからである。
「大体の魔法使いは『言わずともわかるだろ』の精神のせいでこういった魔法使いの命に関わる説明を省きがちだ」
「魔力は精神の一部、肉体にとっての血と同じという奴ですね」
勉強してきたテイロスはアダムの言葉にそう答えたが・・・
「魔力の一滴、血の一滴!」
「コイツ絶対わかってないな」
わかってるようでわかってない発言をしているティナにアダムはますます渋い顔をしている。
実際に学校ができてはいるもののまだまだ魔法は魔法使いの直伝で成り立っているところも多い。
そのためこういった病気や不調に対しての知識は疎らなのである。
またティナたちは魔法を使用する機会に関してもまだまだ日が浅いのでそれに拍車をかけている。
「しかし不調を感じたとはいえアッテンボローは自己申告したんだな?」
「うん、魔力が尽きそうっていってました!」
「ふーむ、ギガースは鍛冶の関係で魔力を使う事はあったか?」
「鋳型を作るときに自分の魔法は結構役に立ちましたね」
「なるほど、ノームの魔法事情は詳しくないが似たような状況で訓練していたのかもしれんな」
四人はそそくさと町へ。
「さて、仕方ないので魔力草を買って帰るか」
町に戻ってきたアダムたちは土産物を扱う店舗の並ぶ通りに移動する。
砦の中はそれなりにヤバい事になってるはずだが町にはまだその騒動は伝播していない。
アダムは売り渋りやらが起こる前にさっさと買って、山賊たちが復讐に来る前に
帰る算段を考え始めていた。
「せっかくお弁当までもらったのに食べる暇もないね」
「そうだな」
「魔力草を買ったら一旦宿に戻ろう、待機班も待ってるはずだ」
アダムは適当な商店を巡って状態のいいものを見繕うと袋に詰めてもらった。
「今頃皆お花畑をみてるのかなぁ・・・」
時間は少し巻き戻ってアダム達が町を出発した頃。お土産をいくつか購入した待機班は
宿で時間を持て余していた。
「魔力草の花って綺麗なんですよね」
「実物はあまり見たことないけど・・・花びらをお茶に入れてる事とかあったよ」
「・・・おしゃれだね」
マナポーションは薬である。色々な薬草を煮詰めている都合上とても苦い。
それを緩和するために人々は効果が弱くなるのを承知で様々なものに混ぜて飲んだりする。
その代表がお茶だ。お茶に混ぜると苦味も味の一つになるし、香りなどはよろしく
アロマに使われることもある。
「おーい」
声を聞いて振り返るとアダムがやってくるのが見えた。
「ディーン先生!」
「お前たち、道の真ん中に突っ立って・・・山賊はどうした?」
「やっつけました!」
ティナがえっへん!と言った様子で答えたのでアダムは少し呆れながら言う。
「戦闘は避けろと言ったはずだぞ、アッテンボローはどうした?」
「ここに」
ティナがテイロスの鞄を指さすとリュックの口からはみ出しているダズを見て
さらに呆れた表情になった。
「魔力を使い過ぎたか、お前たちにも言っとくが魔法使いが限界を見誤るのは恥ずかしいことだ。いくら緊急事態とはいえいざという時の備えを疎かにしてはいかん」
「ガイドさんが山賊に襲われてたから・・・」
「お前たちの勇気は褒める!だがそれとこうしてダズが寝ていることは別だ。正しいことの為に自分を犠牲にすることは必ずしもいい事とは限らん」
アダムは魔法使いが魔力を切らすことの危険性について説明しながら町への道を歩き出した。
「いいか、魔力が精神力に関係するものだということは知っているな?」
「・・・」
「知っているな?」
「や、やだなー!知ってますって!」
ティナの目線が一瞬泳いだのでアダムはムッとしつつ続ける。
「つまるところ魔力が枯渇した状態というのは精神的にも脆くなるし、体力にも悪影響がでるんだ」
魔力が枯渇することで起こる典型的な症状はルナが一度経験した魔力欠乏症だ。
これが起こってしまうと間違いなく体調不良や悪くすると失神する可能性がある。
「個人差はあるがこの場合はマナポーションを飲むか、ちゃんと休養を取ることが必要になる」
「今ダズ君がやってるみたいにですか?」
「そうだな、コイツが寝っぱなしなのは元からだが顔色が良くない・・・今回ばかりは体調不良だ」
よくみると若干顔色が悪い。精神の変調に繋がりやすい魔力の枯渇は実は皆が思っているよりずっと
危険なことなのである。
「お前たちも一度は魔力欠乏症にかかるだろうが・・・くれぐれもその時に無理をしてはいけない」
「なんでですか?」
「心を傷つける。精神がおかしくなったり、魔力を蓄える器官が傷ついて魔力を回復できなくなったりすることがあるからだ」
魔力欠乏症は割とポピュラーな症状ながら意外とこの症状については周知されていない。
というのも魔法使いにとっては魔力は精神の血液と誰もが教えるし、血を流すこと
そのものが生命の危機に直結することは誰の目にも明らかだからである。
「大体の魔法使いは『言わずともわかるだろ』の精神のせいでこういった魔法使いの命に関わる説明を省きがちだ」
「魔力は精神の一部、肉体にとっての血と同じという奴ですね」
勉強してきたテイロスはアダムの言葉にそう答えたが・・・
「魔力の一滴、血の一滴!」
「コイツ絶対わかってないな」
わかってるようでわかってない発言をしているティナにアダムはますます渋い顔をしている。
実際に学校ができてはいるもののまだまだ魔法は魔法使いの直伝で成り立っているところも多い。
そのためこういった病気や不調に対しての知識は疎らなのである。
またティナたちは魔法を使用する機会に関してもまだまだ日が浅いのでそれに拍車をかけている。
「しかし不調を感じたとはいえアッテンボローは自己申告したんだな?」
「うん、魔力が尽きそうっていってました!」
「ふーむ、ギガースは鍛冶の関係で魔力を使う事はあったか?」
「鋳型を作るときに自分の魔法は結構役に立ちましたね」
「なるほど、ノームの魔法事情は詳しくないが似たような状況で訓練していたのかもしれんな」
四人はそそくさと町へ。
「さて、仕方ないので魔力草を買って帰るか」
町に戻ってきたアダムたちは土産物を扱う店舗の並ぶ通りに移動する。
砦の中はそれなりにヤバい事になってるはずだが町にはまだその騒動は伝播していない。
アダムは売り渋りやらが起こる前にさっさと買って、山賊たちが復讐に来る前に
帰る算段を考え始めていた。
「せっかくお弁当までもらったのに食べる暇もないね」
「そうだな」
「魔力草を買ったら一旦宿に戻ろう、待機班も待ってるはずだ」
アダムは適当な商店を巡って状態のいいものを見繕うと袋に詰めてもらった。
「今頃皆お花畑をみてるのかなぁ・・・」
時間は少し巻き戻ってアダム達が町を出発した頃。お土産をいくつか購入した待機班は
宿で時間を持て余していた。
「魔力草の花って綺麗なんですよね」
「実物はあまり見たことないけど・・・花びらをお茶に入れてる事とかあったよ」
「・・・おしゃれだね」
マナポーションは薬である。色々な薬草を煮詰めている都合上とても苦い。
それを緩和するために人々は効果が弱くなるのを承知で様々なものに混ぜて飲んだりする。
その代表がお茶だ。お茶に混ぜると苦味も味の一つになるし、香りなどはよろしく
アロマに使われることもある。
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