悪魔になったらするべきこと?

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ルナの新しい力

せっかく作ったのに・・・

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つまりこの糸で作った紐を使って剣や杖の持ち手に巻けばその持ち主が使い込めば使い込むほどに霊剣や魔剣になる可能性が上がるのである。

重ねて言うが人やアラクネの作る糸ではそれを人為的に行う事は不可能である。

「魔剣や霊剣、アーティファクトを作り出せるかもしれない糸・・・そんなものがどれほどの価値があるか」

魔剣や霊剣が産まれた背景には様々な要素がある。そしてそれは大抵、『伝説』の一部として語られることも多い。

曰く、龍を斬った剣

曰く、聖人が天から授かった杖

曰く、魔神が100年を掛けて綴った魔導書

曰く、魔を打ち払った剣、魔法を斬った剣。

これらが実際にどこまで本当かはわからない。しかし古代の遺物がそのような伝説と共に残り、特異な力と驚異的な強靭さを以て現存することが逆説的にそれを証明している。

「アーティファクトって・・・そんなものが糸から作られるなんて誰が信じるんですか?」
「信じるも信じないも、悪魔が紡いだ糸があって、それはかつて確かにアーティファクトの作成に使われたことがある。それが全てを示しています」

かつて魔法使いの頂点に立った男が書き残した手稿には『悪魔の力を使って様々な物を作った」「悪魔の作る素材で作った武具や道具は高い魔力と適応し、高い反応を示す」とあったそうだ。
御伽噺の中で語られるそれは当時を生きる数少ない人物や召喚された悪魔によって裏付けが取られ、大部分は日光教が、残りは血縁のものや悪魔が管理している。

「分かりますか?御伽噺は既に過去に実際にあったこととして記録されてるんです。貴女がまだ習ってないだけで、
魔法使いには生涯に一度でもその遺物を手にしたいと思う者もいるでしょう」

それを叶える切符に成り得る。そう言えばその糸の価値がわかりますか?と魔女は言う。

「じゃあこれで何か作ってもらうとかは・・・」
「無理です、技術はともかく、こんなものを持っていることがバレたら・・・相手が悪ければ私は殺されてしまうし、糸は奪われるでしょう」
「ええ・・・」

ルナはすごくがっかりした。まさか自分が休憩時間にせっせと作ったものがそんなに危ないものだったとは。

「うー・・・そんなぁ・・・」
「どうしてもと言うなら貴女の師か、あのクソ尼・・・じゃなかったエトナ―に頼むといいでしょう」
「そうします」

長い溜息をついたルナ。魔女はその様子を気の毒に思っていたが、同時に彼女の注目が自分達の失態から糸の使い道に戻ったことに安堵もしていた。

「悪魔様、それでは私はこれで・・・」
「ええ、あと、悪魔様はやめてください。私、これでも正体は隠してるので」
「わかりました、それではまた」

魔女は安堵した様子で歩いていく。ルナはそれを見送ると姿が見えなくなったところで持たされていたベルを鳴らした。


『はぁーい』

ベルの音が響くと景色から滲みだすようにルルイエが現れ、ルナに抱き着いて頬を寄せた。

『久しぶりねぇ~、会いたかったわ』
「ふぁい、せんふぇ、わたしもあいふぁかったれふー」

すりすりされたり頬っぺたをもちもちされるので時折おかしな言葉になっているがルルイエは弟子のルナの反応が良い事に気を良くして満面の笑顔である。

『ああ、もう本当に可愛いわぁ。澄んでいてキラキラで・・・』
「先生、実はお話が」

ルナがそう切り出すとルルイエは用件があって呼び出された事を知り、ルナから離れた。

「実はさっき魔法使いの女性と出会いまして」
『魔法使い・・・?ああ、確かに感じるわ・・・木っ端魔法使いの臭いが』
「布隠れの魔女って人でした」
『布・・・ああ、思い出した。『銀の黄昏』っていう組織のヤツね。ルナちゃんを危ない目に遭わせた奴もそこに属していたはずよ』
「そうなんです、それで謝りにきてました」

ルルイエはルナの言葉を聞くとつまらなそうに鼻を鳴らして答える。

『ふん、あの程度の木っ端。私なら指先一つで粉微塵にできたのに・・・アダムは何をやっていたのかしら』
「ディーン先生は他の人と戦っている途中でしたから」
『それでもよ、まったく・・・丸くなったものよ。あんなのが教師だなんて』

そう言いかけてルルイエは話を戻すため咳払いをしてルナに話の続きを促した。

『ゴホン!それで、その魔法使いが謝りにきてどうしたの?』
「とりあえずは受けておきました、友達のところに行かれても困るし」
『そうねぇ、相手がルナちゃんたちの素性を知っている事が問題ね・・・対策打たなきゃ』
「お願いします・・・あと、これを」
『?・・・糸、まあ!糸を作ったの?』

ルナが糸巻を差し出すとルルイエは表情をさらに明るくし、嬉しそうにそれを手に取った。
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