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悪魔としての格!
ルナをどうするべきか
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魔界、それは悪魔が巣食う邪悪な世界。人の世界とは異なる生物・植物が生息し、悪魔や魔物が人に似た生活圏を築いている。
『ふぅ・・・』
その中で巨大な城の中で一人、巨大な体を傾けて椅子の背もたれに預けながら老人が溜息をついた。
その姿は異形と呼ぶにふさわしい特徴を備えており、老人の溜息に続くように肩にのった蛙と猫の顔も寂しそうにしていた。
『命名式からというもの・・・なんの音沙汰もない・・・手紙もだ・・・』
彼の名はバエル。魔界を統べる魔王にして大悪魔の序列第一位である。大悪魔の序列はそのほとんどが過去の賢人にして大魔法使いが定めた。聖職者としての伝説がエトナ―であるなら魔法使いとしての伝説はその人物である。
その名をソロモン。かつて地上の国にあって王として崇められ、そののちに魔法使いとして世界を巡り魔界に流れ着いた。そしてその地で王として君臨していたバエルと争い、その余波で魔界の三分の一を海にしてしまった。
その戦いの後に大悪魔達と協定を結び地上の政治体系を導入することで魔界を地上と同じ『国』にし、ソロモンはその後に悪魔達と契約を結び一冊の本に契約者の名前と召喚の魔法陣を記した。
その魔導書こそが『ソロモンの小さな鍵』である。
世界を隔てる界層の扉を開き魔界と人界を繋ぐ鍵として機能するその本は何時しか散逸し、人々の中の記憶と記録の中に留められるのみとなり、贋作が時折出回るくらいである。
『あの子がいるのが人間の世界というのは不便だな』
バエルの最近の関心ごとはルナのことだった。大魔法使いソロモンの記した72柱の大悪魔に載らない新しい世代の大悪魔。そしてルルイエの寵児。
『鍵の素質のある、召喚者としての才能のある悪魔・・・そんな子が、地上に一人だなんて・・・』
バエルは爺馬鹿になりつつあった。元々彼ら側の保護者がルルイエしかいないというのがバエルにとって非常に不満であった。悪魔は皆長い年月を生きて来て会う人や悪魔、魔物に至るまでが年下と言う事が当たり前で小僧若造と呼びかける事が多かったが彼らは皆地上や大悪魔以外には力と経験を持った向上心や野心の塊。
端的にいうと可愛くない。言う事は聞かないし、契約や召喚に応じることも少なければ仮にあったとしても彼らから畏れや利益からくる感謝はあっても穏やかな感情を向けられる事などもはや皆無に等しい。
『不安だ・・・あの子はちゃんと元気にやっているだろうか・・・』
そんな中で彼や命名式に参加した大悪魔達に純度100%のちびっ子ムーブをしたルナはその一瞬と命名式の終わりに寝落ちしたという出来事から彼らの中の「長寿かつ悪魔故に純粋な善性に弱い」という点を的確についていた。
要するにお爺ちゃんウケが非常に良かったのである。
ルルイエもそこらへんを知った上でバエルを後見人に成り得るように立ち回ったのだがルルイエは人界の市井に紛れて生活していたため一つだけ見落としがあったのだ。
それは悪魔と人間の寿命と年齢に関する差である。
『16とか・・・産まれたばかりの子なのに・・・ルルイエだけに任せては悪魔としてちゃんと育たないのでは・・・』
悪魔の成人とされる年齢は軽く100を超えてから。魔界や悪魔の作法などを考えると100を超えても学びきれないこともあるし、悪魔の中にはそもそも成長の遅いものもいる。
立派に受け答えができていた彼女を見てバエルは少しばかり失念していたが彼女は16歳。人間でいえば大きくなってきた頃合いとはいえ、悪魔から見ればまだハイハイをしている赤ちゃんに見えてしまうのだ。
『こしてはおれん、あの子にちゃんと悪魔としての力をつけさせるようにルルイエに言わなくては・・・!』
バエルはそう言うと空間に魔法陣を描き、杖でそれを突いた。杖はまるで池の水に差しこんだように沈み込み、ずぶずぶと中ほどまで進んだのを見てからバエルは杖を引き抜いた。
『バエル、何か用かしら?もっと普通に呼んでくれるといいんだけど』
杖の先端がまるで投網のように枝分かれしてルルイエを絡めとり魔法陣から引きずり出した。
『あの子の事で話がある』
『なによぉ、私がちゃんと面倒みてるのにぃ』
『それが問題なのだ、その上あの子から連絡も何も無いのだ。お前に聞くしかあるまい』
バエルがそう言ったのを聞いてルルイエはしまった!と思った。バエルがまさかここまでルナを気に掛けているとは思っていなかった。そしてルナに手紙を書くように言わなかったことも。
(ルルイエ先生、バエル様達にお手紙書かなくていいんでしょうか・・・)
(あーそれね、いらないいらない。格式とかめんどいこと多いし一回送るとしつこいわよ)
めちゃくちゃ適当な事を言った記憶がある。ルナが悪魔のしきたりなどを知らないことでバエル達の機嫌を損ねたら大変だと思っていたのだ。
『あー、それね。だってあなた達に手紙書くなんてなったら大変じゃない?』
『あの子ほどの小さな子にそんなことを気にするわけがなかろうが』
それとなく言い訳をしてみたがバエルは納得しそうになかった。
『ふぅ・・・』
その中で巨大な城の中で一人、巨大な体を傾けて椅子の背もたれに預けながら老人が溜息をついた。
その姿は異形と呼ぶにふさわしい特徴を備えており、老人の溜息に続くように肩にのった蛙と猫の顔も寂しそうにしていた。
『命名式からというもの・・・なんの音沙汰もない・・・手紙もだ・・・』
彼の名はバエル。魔界を統べる魔王にして大悪魔の序列第一位である。大悪魔の序列はそのほとんどが過去の賢人にして大魔法使いが定めた。聖職者としての伝説がエトナ―であるなら魔法使いとしての伝説はその人物である。
その名をソロモン。かつて地上の国にあって王として崇められ、そののちに魔法使いとして世界を巡り魔界に流れ着いた。そしてその地で王として君臨していたバエルと争い、その余波で魔界の三分の一を海にしてしまった。
その戦いの後に大悪魔達と協定を結び地上の政治体系を導入することで魔界を地上と同じ『国』にし、ソロモンはその後に悪魔達と契約を結び一冊の本に契約者の名前と召喚の魔法陣を記した。
その魔導書こそが『ソロモンの小さな鍵』である。
世界を隔てる界層の扉を開き魔界と人界を繋ぐ鍵として機能するその本は何時しか散逸し、人々の中の記憶と記録の中に留められるのみとなり、贋作が時折出回るくらいである。
『あの子がいるのが人間の世界というのは不便だな』
バエルの最近の関心ごとはルナのことだった。大魔法使いソロモンの記した72柱の大悪魔に載らない新しい世代の大悪魔。そしてルルイエの寵児。
『鍵の素質のある、召喚者としての才能のある悪魔・・・そんな子が、地上に一人だなんて・・・』
バエルは爺馬鹿になりつつあった。元々彼ら側の保護者がルルイエしかいないというのがバエルにとって非常に不満であった。悪魔は皆長い年月を生きて来て会う人や悪魔、魔物に至るまでが年下と言う事が当たり前で小僧若造と呼びかける事が多かったが彼らは皆地上や大悪魔以外には力と経験を持った向上心や野心の塊。
端的にいうと可愛くない。言う事は聞かないし、契約や召喚に応じることも少なければ仮にあったとしても彼らから畏れや利益からくる感謝はあっても穏やかな感情を向けられる事などもはや皆無に等しい。
『不安だ・・・あの子はちゃんと元気にやっているだろうか・・・』
そんな中で彼や命名式に参加した大悪魔達に純度100%のちびっ子ムーブをしたルナはその一瞬と命名式の終わりに寝落ちしたという出来事から彼らの中の「長寿かつ悪魔故に純粋な善性に弱い」という点を的確についていた。
要するにお爺ちゃんウケが非常に良かったのである。
ルルイエもそこらへんを知った上でバエルを後見人に成り得るように立ち回ったのだがルルイエは人界の市井に紛れて生活していたため一つだけ見落としがあったのだ。
それは悪魔と人間の寿命と年齢に関する差である。
『16とか・・・産まれたばかりの子なのに・・・ルルイエだけに任せては悪魔としてちゃんと育たないのでは・・・』
悪魔の成人とされる年齢は軽く100を超えてから。魔界や悪魔の作法などを考えると100を超えても学びきれないこともあるし、悪魔の中にはそもそも成長の遅いものもいる。
立派に受け答えができていた彼女を見てバエルは少しばかり失念していたが彼女は16歳。人間でいえば大きくなってきた頃合いとはいえ、悪魔から見ればまだハイハイをしている赤ちゃんに見えてしまうのだ。
『こしてはおれん、あの子にちゃんと悪魔としての力をつけさせるようにルルイエに言わなくては・・・!』
バエルはそう言うと空間に魔法陣を描き、杖でそれを突いた。杖はまるで池の水に差しこんだように沈み込み、ずぶずぶと中ほどまで進んだのを見てからバエルは杖を引き抜いた。
『バエル、何か用かしら?もっと普通に呼んでくれるといいんだけど』
杖の先端がまるで投網のように枝分かれしてルルイエを絡めとり魔法陣から引きずり出した。
『あの子の事で話がある』
『なによぉ、私がちゃんと面倒みてるのにぃ』
『それが問題なのだ、その上あの子から連絡も何も無いのだ。お前に聞くしかあるまい』
バエルがそう言ったのを聞いてルルイエはしまった!と思った。バエルがまさかここまでルナを気に掛けているとは思っていなかった。そしてルナに手紙を書くように言わなかったことも。
(ルルイエ先生、バエル様達にお手紙書かなくていいんでしょうか・・・)
(あーそれね、いらないいらない。格式とかめんどいこと多いし一回送るとしつこいわよ)
めちゃくちゃ適当な事を言った記憶がある。ルナが悪魔のしきたりなどを知らないことでバエル達の機嫌を損ねたら大変だと思っていたのだ。
『あー、それね。だってあなた達に手紙書くなんてなったら大変じゃない?』
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