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悪魔としての格!
悪魔としてデビューさせたい!
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バエルはルルイエがスンとした顔で虚空を見つめているのを見て眉間の皺を深くした。
(こ奴、あの子に手紙を書かせなかったな・・・)
こんな顔をしている時は何かを誤魔化そうとしている時の顔だ。付き合いの長い彼にはルルイエの仕草はある程度理解できる。嘘つきの多い悪魔はその分嘘やごまかしをしようとする者の仕草を見抜く術を心得ている。
『このままではあの子は悪魔として訳の分からん育ち方をしかねん!』
『えぇー!でも、何が不満なのよー!』
お前が後見人なところ!と叫びたい気持ちをぐっと堪えてバエルはルルイエに提案した。
『あの子を誰かに召喚させて契約を結び、悪魔として箔をつけさせるべきだと思う』
『ミ゛ッ!』
変な声が出た。ルルイエはその提案に真っ向から反対した。
『有り得ないわ!あんな、お人好しが服着て歩いてるような子を!人間と契約!?!?!?有り得ないわ!』
ルルイエが珍しく感情的に否定するのを見てバエルは内心でほくそ笑んだ。もちろんこの提案はブラフである。ルルイエが確実に反対する事を見越して提案したのだ。
『しかしこのままではあの子がどうなって行くかわかったものでは無い。いっその事魔界に留学させては?』
『親御さんから引き離すのもダメ!そもそも魔界の基準じゃあ何年掛かるか分かったものじゃないわ!』
ルルイエはルナが何を嫌がるかと言うことは心得ている。彼女はルルイエから見ても人との結びつきを大事にする性格だし、寂しがり屋の気がある事も知っている。
ルルイエにとってルナの評価が下がることは何よりも耐え難い。
『ではあの子にワシらの召喚をさせるというのは?』
『え、えぇー・・・それもそれで・・・』
当然ながらその事に関してもルルイエは渋った。大悪魔が地上にほいほいと出る事もまたルナを好奇の目に晒すことになる。そうなれば当然教会もルナに注目するだろうし、魔法局も同様にルナを危険人物としてマークするだろう。
ルナは自身の事ならともかく家族や友人に累が及ぶのは好まない。
『それじゃあやはり魔法陣を作成して・・・』
『いい加減にしてよ!あの子に嫌われちゃうじゃない!』
流石に苛立ち始めたルルイエ。ルナに嫌われることは彼女がもっとも避けたい事の一つ。それを確認したバエルはそれならば、と話題を切り替えた。
『彼女に魔導書を託すというのはどうだ?ワシらはただあの子を見守りたいのだ。もちろんワシらとてあの子が嫌がるようなことはしたくない』
『託すといっても・・・元よりあの子には鍵としての権能があるのに』
『本を魔導書に一時的に変える権能をあの子に持たせればよかろうて・・・それなら召喚がせずともこちらに手紙や物を送ることもできるでな』
『まあ、召喚を強制しないなら・・・』
ルルイエは望めば何時でもルナに会えるという優越感を捨てたくなかったがバエルが本気で干渉すれば小娘一人を拉致することなど造作もない。そうなれば自分が隣に居るならばともかく、一対一ならばバエルに良いように丸め込まれることなど想像に難くない。
『でも、それも十分に危険なことよ。あの子には軽々に使わないように言い含めるわよ?』
『もちろんだとも、怪しむところがあれば聖人にでも告げ口しろ』
バエルはそう言うと魔王らしい尊大な態度で頬杖を突いた。大悪魔としてエトナ―と真っ向から殴り合える数少ない実力者である彼がそうなるとどちらに転んでも大惨事なのだが。
『魔界が全部海になっても知らないわよ』
『・・・そう言われると困るな』
二人の脳裏にガチギレしたエトナ―が杖を振り上げてこちらを睨んでいる姿が浮かび、ひえってなった。
『それでは魔導書の権能をあの子に渡すのだ、頼んだぞ』
『わかったわよ・・・もう』
『というわけで、あなたに本を一時的に魔導書にする力を与えることになっちゃった』
「なにがというわけなんですか?」
『いろいろあるんだけどぉ、端的に言うとさびしんぼうのジジイがぁ・・・あっ』
休日、呼び出されたルナは人気のない丘の上でルルイエの突然の発言に首をかしげる。
そして失言をした瞬間にルルイエは火だるまになった。
「せ、せんせー!」
『ごほごほ・・・くそ、あのジジイ・・・』
「前みたいに首が凄い事にならなくてよかった・・・」
ルナは前回の事がちょっとトラウマになっていた。だれしも恩師の首がエライ事になる瞬間なんて見たくないだろう。
『ええと、私もこればっかりは乗り気じゃないんだけど・・・手紙も贈り物も私がさせなかったからこうなっちゃったのよねぇ・・・』
ごめんねぇ、とルルイエは心底面倒くさそうに溜息をついた。ルナはというと内心ではやっぱり手紙くらい書いとくべきだったんだなぁ・・・とぼんやり考えていた。
「お手紙くらい書いた方が良かったですねぇ」
『まあねえ、ホント、こういう時だけ気が短いのは困るわ』
愚痴が止まらないルルイエだったが咳払いとともにルルイエはルナに能力の説明をする。
『魔導書は『ソロモンの小さな鍵』と同等の物。名とあなたの魔力、そして本。その三つが揃う事で顕現し、召喚陣として機能するものよ』
「ほぇー、すごいですねぇ」
たぶんあんまりわかっていないルナの反応にルルイエはかなり不安になった。
(こ奴、あの子に手紙を書かせなかったな・・・)
こんな顔をしている時は何かを誤魔化そうとしている時の顔だ。付き合いの長い彼にはルルイエの仕草はある程度理解できる。嘘つきの多い悪魔はその分嘘やごまかしをしようとする者の仕草を見抜く術を心得ている。
『このままではあの子は悪魔として訳の分からん育ち方をしかねん!』
『えぇー!でも、何が不満なのよー!』
お前が後見人なところ!と叫びたい気持ちをぐっと堪えてバエルはルルイエに提案した。
『あの子を誰かに召喚させて契約を結び、悪魔として箔をつけさせるべきだと思う』
『ミ゛ッ!』
変な声が出た。ルルイエはその提案に真っ向から反対した。
『有り得ないわ!あんな、お人好しが服着て歩いてるような子を!人間と契約!?!?!?有り得ないわ!』
ルルイエが珍しく感情的に否定するのを見てバエルは内心でほくそ笑んだ。もちろんこの提案はブラフである。ルルイエが確実に反対する事を見越して提案したのだ。
『しかしこのままではあの子がどうなって行くかわかったものでは無い。いっその事魔界に留学させては?』
『親御さんから引き離すのもダメ!そもそも魔界の基準じゃあ何年掛かるか分かったものじゃないわ!』
ルルイエはルナが何を嫌がるかと言うことは心得ている。彼女はルルイエから見ても人との結びつきを大事にする性格だし、寂しがり屋の気がある事も知っている。
ルルイエにとってルナの評価が下がることは何よりも耐え難い。
『ではあの子にワシらの召喚をさせるというのは?』
『え、えぇー・・・それもそれで・・・』
当然ながらその事に関してもルルイエは渋った。大悪魔が地上にほいほいと出る事もまたルナを好奇の目に晒すことになる。そうなれば当然教会もルナに注目するだろうし、魔法局も同様にルナを危険人物としてマークするだろう。
ルナは自身の事ならともかく家族や友人に累が及ぶのは好まない。
『それじゃあやはり魔法陣を作成して・・・』
『いい加減にしてよ!あの子に嫌われちゃうじゃない!』
流石に苛立ち始めたルルイエ。ルナに嫌われることは彼女がもっとも避けたい事の一つ。それを確認したバエルはそれならば、と話題を切り替えた。
『彼女に魔導書を託すというのはどうだ?ワシらはただあの子を見守りたいのだ。もちろんワシらとてあの子が嫌がるようなことはしたくない』
『託すといっても・・・元よりあの子には鍵としての権能があるのに』
『本を魔導書に一時的に変える権能をあの子に持たせればよかろうて・・・それなら召喚がせずともこちらに手紙や物を送ることもできるでな』
『まあ、召喚を強制しないなら・・・』
ルルイエは望めば何時でもルナに会えるという優越感を捨てたくなかったがバエルが本気で干渉すれば小娘一人を拉致することなど造作もない。そうなれば自分が隣に居るならばともかく、一対一ならばバエルに良いように丸め込まれることなど想像に難くない。
『でも、それも十分に危険なことよ。あの子には軽々に使わないように言い含めるわよ?』
『もちろんだとも、怪しむところがあれば聖人にでも告げ口しろ』
バエルはそう言うと魔王らしい尊大な態度で頬杖を突いた。大悪魔としてエトナ―と真っ向から殴り合える数少ない実力者である彼がそうなるとどちらに転んでも大惨事なのだが。
『魔界が全部海になっても知らないわよ』
『・・・そう言われると困るな』
二人の脳裏にガチギレしたエトナ―が杖を振り上げてこちらを睨んでいる姿が浮かび、ひえってなった。
『それでは魔導書の権能をあの子に渡すのだ、頼んだぞ』
『わかったわよ・・・もう』
『というわけで、あなたに本を一時的に魔導書にする力を与えることになっちゃった』
「なにがというわけなんですか?」
『いろいろあるんだけどぉ、端的に言うとさびしんぼうのジジイがぁ・・・あっ』
休日、呼び出されたルナは人気のない丘の上でルルイエの突然の発言に首をかしげる。
そして失言をした瞬間にルルイエは火だるまになった。
「せ、せんせー!」
『ごほごほ・・・くそ、あのジジイ・・・』
「前みたいに首が凄い事にならなくてよかった・・・」
ルナは前回の事がちょっとトラウマになっていた。だれしも恩師の首がエライ事になる瞬間なんて見たくないだろう。
『ええと、私もこればっかりは乗り気じゃないんだけど・・・手紙も贈り物も私がさせなかったからこうなっちゃったのよねぇ・・・』
ごめんねぇ、とルルイエは心底面倒くさそうに溜息をついた。ルナはというと内心ではやっぱり手紙くらい書いとくべきだったんだなぁ・・・とぼんやり考えていた。
「お手紙くらい書いた方が良かったですねぇ」
『まあねえ、ホント、こういう時だけ気が短いのは困るわ』
愚痴が止まらないルルイエだったが咳払いとともにルルイエはルナに能力の説明をする。
『魔導書は『ソロモンの小さな鍵』と同等の物。名とあなたの魔力、そして本。その三つが揃う事で顕現し、召喚陣として機能するものよ』
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たぶんあんまりわかっていないルナの反応にルルイエはかなり不安になった。
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