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プロローグ:ある博士の回想録
ノーライフ・ガールの先生の実力とは?
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怖ろしい存在は私を見つめたまま、しばらくの時間が過ぎた。一瞬のような永遠のような時間。
「その子を苛めるのはそこまでにしてもらおう、シヴァ」
『やっと来たか、魔術師よ』
突然裂けた空間から聞きなれた声が聞こえ、それと同時に大きな掌を雷が激しく打ち据えた。
『ッ・・・!』
「まったく、まさか貴女を呼び出すとは・・・あきれるやら、感心するやら」
宙に放り出された私の首を抱きかかえると先生は私を見つめる。中折れ帽とマスクから覗く瞳は相変わらず深淵のような暗い瞳、だけど優しげな光を灯した瞳。
「せん・・・せ・・・」
「首だけで喋る・・・器用なものだ」
感心しているのか、呆れているのか・・・おそらくは後者だろうが変なところに興味を持つなぁと思いつつ。視線を移すと恐ろしい存在、シヴァと呼ばれた大きな存在は雷で打たれた掌を振りながら苦笑すると先ほどまでの恐ろしい気配を霧散させた。
『何をする、そこまでするほどか』
「当たり前です、私の可愛い弟子を」
大いなる存在は先生にそうきっぱりと言われ、破顔して地面をたたいた。
『ハハハハハ、そうかそうか・・・気配が似ていたがそなたも弟子を取る楽しみを覚えたか、良きかな良きかな』
「それと、そろそろ彼女の再生を阻害するのをやめていただきたい」
笑みを浮かべたまま大いなる存在は指を弾いた。すると私の体は即時に再生し、先生に抱き上げられる格好になる。
『痛がる素振りも無かったのでな、怖がらせるのに骨が折れた』
「最高神の一柱が子供一人怖がらせるのに骨を折らないでください、ってか怖がらせないで」
まるで古なじみの友人と話すような気軽さで口にした言葉に私は驚いた。最高神?目の前のこの・・・よくみると女性の・・・巨人が?
「先生、この・・・えっと、神様?」
「ん?ああ、それは・・・うーんと、どういえばいいのかな」
珍しく困ったように先生は私と目の前の巨人を交互に見やる。
「そうだなぁ、強いて言えば他所から来た神様ってところかな」
「他所・・・?別の大陸からですか?」
この世界にはいくつかの大陸に分かれていると聞いた事がある。先生は地図の類をどこかしらから入手していたので私もそれを見たことがある。しかし宗教が大陸毎に違うかどうかまではわからないし、何より宗教については詳しくない。それ故に先生も説明をしあぐねているのだろうか?
『弟子ならばうち開けてしまえば良かろう、疑心を招くぞ』
「いや、その説明がですねえ・・・たくさんの見解がある物と言うのは」
『神についてではなく、お前が何故我と面識があるかとかいろいとあるであろ』
なにやら私をのけ者にして二人があれこれと話始める。なんだろう、すごくもやもやする。
『はやくせい、貴様のお姫様がご立腹だぞ』
「うーむ・・・わかりましたよう」
私をなにか子供でも見るような目で見る神様に私はますます不機嫌になる。どうしてかはわからないけど・・・むぅ。
「実はですね、私はこの世界の人間ではありません」
「でしょうね」
「あれっ、反応薄っ」
『あはは、魔術師よ。貴様は既にこの国で好き放題やったようだな」
神様は再び破顔し、大きな瞳に先生と私を映しながら言う。まあ、この世界に無さそうな、文字通り『魔法』としか言えないような術や医療。呪術と現象の明確な区別など、全てがこの世界のはるか先に行っている。
「それで・・・なぜこの神様と懇意にされているのですか?」
「あー、それはですね」
『よい、それに関しては我が言う』
思わず吐き捨てるように言ってしまったが肝心の神様はなにやら面白いものを見るかのようにほほ笑みながら先生の言葉を遮る。
『我もまた魔術師の世界に住む神の一柱である・・・が、向こうの世界では『神』とは概念と化して久しい。天上と地上は遥か彼方に分かたれ、神は人々と触れられなくなって久しかった・・・』
私の住む国では神は思うがままとは言わないまでも地上に降りて人々と接し、この世界の宗教では神を降ろせる人がその宗派の御子として重用される。それは宗教界における立身出世にはなくてはならないスキルだ。おそらくだが先生の世界ではそのような人が生まれなくなってしまったのだろう。
『しかしだ、そこにおる魔術師が我らの世界からこちらに渡る際に我らをこの世界にも顕現できるようにしてくれてな』
「悪魔と契約したついでだったんですけどね」
『我を前にして言う度胸だけは褒めてやるぞ』
さすがにムッとした様子だが先生はどこ吹く風といった様子で神様の言葉を流している。どうしたらこれほどの高位の存在の前で堂々としていられるのか、召喚者としての役割があるにしてもあまりに存在のスケールが違いすぎると言うのに。
「その子を苛めるのはそこまでにしてもらおう、シヴァ」
『やっと来たか、魔術師よ』
突然裂けた空間から聞きなれた声が聞こえ、それと同時に大きな掌を雷が激しく打ち据えた。
『ッ・・・!』
「まったく、まさか貴女を呼び出すとは・・・あきれるやら、感心するやら」
宙に放り出された私の首を抱きかかえると先生は私を見つめる。中折れ帽とマスクから覗く瞳は相変わらず深淵のような暗い瞳、だけど優しげな光を灯した瞳。
「せん・・・せ・・・」
「首だけで喋る・・・器用なものだ」
感心しているのか、呆れているのか・・・おそらくは後者だろうが変なところに興味を持つなぁと思いつつ。視線を移すと恐ろしい存在、シヴァと呼ばれた大きな存在は雷で打たれた掌を振りながら苦笑すると先ほどまでの恐ろしい気配を霧散させた。
『何をする、そこまでするほどか』
「当たり前です、私の可愛い弟子を」
大いなる存在は先生にそうきっぱりと言われ、破顔して地面をたたいた。
『ハハハハハ、そうかそうか・・・気配が似ていたがそなたも弟子を取る楽しみを覚えたか、良きかな良きかな』
「それと、そろそろ彼女の再生を阻害するのをやめていただきたい」
笑みを浮かべたまま大いなる存在は指を弾いた。すると私の体は即時に再生し、先生に抱き上げられる格好になる。
『痛がる素振りも無かったのでな、怖がらせるのに骨が折れた』
「最高神の一柱が子供一人怖がらせるのに骨を折らないでください、ってか怖がらせないで」
まるで古なじみの友人と話すような気軽さで口にした言葉に私は驚いた。最高神?目の前のこの・・・よくみると女性の・・・巨人が?
「先生、この・・・えっと、神様?」
「ん?ああ、それは・・・うーんと、どういえばいいのかな」
珍しく困ったように先生は私と目の前の巨人を交互に見やる。
「そうだなぁ、強いて言えば他所から来た神様ってところかな」
「他所・・・?別の大陸からですか?」
この世界にはいくつかの大陸に分かれていると聞いた事がある。先生は地図の類をどこかしらから入手していたので私もそれを見たことがある。しかし宗教が大陸毎に違うかどうかまではわからないし、何より宗教については詳しくない。それ故に先生も説明をしあぐねているのだろうか?
『弟子ならばうち開けてしまえば良かろう、疑心を招くぞ』
「いや、その説明がですねえ・・・たくさんの見解がある物と言うのは」
『神についてではなく、お前が何故我と面識があるかとかいろいとあるであろ』
なにやら私をのけ者にして二人があれこれと話始める。なんだろう、すごくもやもやする。
『はやくせい、貴様のお姫様がご立腹だぞ』
「うーむ・・・わかりましたよう」
私をなにか子供でも見るような目で見る神様に私はますます不機嫌になる。どうしてかはわからないけど・・・むぅ。
「実はですね、私はこの世界の人間ではありません」
「でしょうね」
「あれっ、反応薄っ」
『あはは、魔術師よ。貴様は既にこの国で好き放題やったようだな」
神様は再び破顔し、大きな瞳に先生と私を映しながら言う。まあ、この世界に無さそうな、文字通り『魔法』としか言えないような術や医療。呪術と現象の明確な区別など、全てがこの世界のはるか先に行っている。
「それで・・・なぜこの神様と懇意にされているのですか?」
「あー、それはですね」
『よい、それに関しては我が言う』
思わず吐き捨てるように言ってしまったが肝心の神様はなにやら面白いものを見るかのようにほほ笑みながら先生の言葉を遮る。
『我もまた魔術師の世界に住む神の一柱である・・・が、向こうの世界では『神』とは概念と化して久しい。天上と地上は遥か彼方に分かたれ、神は人々と触れられなくなって久しかった・・・』
私の住む国では神は思うがままとは言わないまでも地上に降りて人々と接し、この世界の宗教では神を降ろせる人がその宗派の御子として重用される。それは宗教界における立身出世にはなくてはならないスキルだ。おそらくだが先生の世界ではそのような人が生まれなくなってしまったのだろう。
『しかしだ、そこにおる魔術師が我らの世界からこちらに渡る際に我らをこの世界にも顕現できるようにしてくれてな』
「悪魔と契約したついでだったんですけどね」
『我を前にして言う度胸だけは褒めてやるぞ』
さすがにムッとした様子だが先生はどこ吹く風といった様子で神様の言葉を流している。どうしたらこれほどの高位の存在の前で堂々としていられるのか、召喚者としての役割があるにしてもあまりに存在のスケールが違いすぎると言うのに。
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