ノーライフ・ガールは博士の最高傑作

ファウスト

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旅立ちの日に

あれから・・・

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神様を呼び出して、先生の出身についてかるーく触れてから早一年。私は神様の言いつけを守ってヨーガ?に精を出す。なんかいろいろと不思議なものでこの世界の魔法とは違った魔術体系に新しく触れるいい機会になった。
もひとつ言うなら体が凄く柔らかくなったかな。
後の成果といえば私の不死身を利用した方法で様々な神と悪魔との契約が可能になったこと。両手、両足、両目、内臓などなど・・・様々なものを犠牲にすることで私はそれに見合った対価を得る事ができた。そしてなにより嬉しかったのは先生からの贈り物。

「ふふ、この金属の塊が・・・素人が騎士すら殺す代物だってのがサイコーよね」

リボルバーと呼ばれる先生の世界の武器、先生は旅先で触れない毒を持った動物とかを追い払ったりするのに使っていたといったけど・・・剣も槍も知らない私にとってそれ以上の武器。実際神様たちはそれを巧みに使うらしいけど私にレクチャーできるほどではなかった。そもそも私に槍だの剣だのを扱う技量がなかったのもあるのかも。
ナイフとかは得意なんだけどなぁ。そんなこんなで先生からもらったこの武器に刻まれた四桁の数字が表すのは先生の世界が刻む時代の、年を表しているそうだ。そして先生の次代は同じ暦でもう何千年も使われているのを教えてくれる。だってそうでしょう?これが年代を表すのなら1987という数字が示すのはその世界が少なくとも1900年以上続いているという計算になるから。

「火薬、弾丸、薬莢・・・どれもこの世界にはないけれど」

錬金術を魔法で補完すれば・・・。あっという間に私好みの魔法を付与した弾丸が薬莢に収まって生成される。弾丸は魔法を帯びているので金属である必要すらなく、そこらへんの石ころですら弾頭は代替可能だ。

「後は的当てゲームで練習を重ねれば・・・」

私はサイズを仕立て直したお下がりのホルスターから引き抜いて生成した弾丸を装填して目の前の的に穴をあける。うんうん、先生が見せてくれた不可思議な動く絵を映す箱を見てイメージトレーニングしたかいがあった。やっぱり男の人は含蓄のある壮年の人がいいわ、かっこいい。
一年の内に様々な事を学び、そしてその度に私は外の世界へと興味を惹かれた。先生がかつて羨んだこの世界は一体どういった物なのだろうか?私は、今ならかつての瞳に映った陰鬱な世界を先生のように優しく見つめる事が出来るのだろうか。

「もう、薄暗い地下室で唸る獣じゃない」

人買いに飼われていた時、私はまさしく獣と同等・・・それ以下だった。けど今は違う。私は先生の教え子であり、不死身の生物なのだ。世界を巡り、様々なものを見て自身の見聞を広げて・・・私は私が何を望み、如何にすれば幸せになれるかを探って行きたい。そして、あの神様の予言を覆す。
その為に、私は近々故郷となるこの村を出るのだ。差し当たってはこの村が属する王国の首都かもしくは大都市へと
向かい、私は冒険者ギルドへと名前を登録して国内の旅を円滑に行えるようにするのが目下の目標か。

「・・・あれ?どうしたの皆」

孤児院に戻ると何故か小さい子達が私を取り囲むように集まってくる。これは一体どうした事だろう。

「お姉ちゃん・・・此処を出ちゃうの?」
「いなくなっちゃうの?!」

口々にそんな言葉が。確かにそうだけど・・・そう言えば先生が面倒を見ていた子供の中で最年長は最初に孤児院に来た私の世代だっけ・・・。そうなると孤児院を最初に出るのは私ってことになるのか。

「うーん、確かに一旦は私も出ていくかな」
「えー!やだ!」
「やだぁ・・・!」

先生のお陰か、この村はもうじき町になるそうだ。寂れていた村は私が来てから少しずつ発展を遂げて来た。
それに伴って働き口も多く、男は自警団や開墾。女性はそんな稼ぎ時で奮闘する男性に嫁ぐか先生の講義を受けて薬売りになるか、もしくは先生が広く開放してくれている薬草の菜園を管理する人になるか等・・・人手を求める様々な働き口によって引く手あまたなのだ。なので先生の元で孤児院で間借りしながら働き口を見つけ、恩を返しながら結婚資金を貯めようとする子も少なくない。実際先生はその点非常に寛容で『生涯に一度、大輪の花をさかせれば良し』と拡充して孤児院というより城かと言わんばかりの孤児院に子供を招きまくっている。
それに伴って若い人口が大量に増え、開墾に際しても高い賃金を先生が稼ぎ出しているので人もたくさん集まってくる。ますますこの時に村を出るのは不思議がられるだろう。

「お姉ちゃん出ていっちゃやだ!」
「一緒に居ようよ!」

輪が出来てしまいどうしようもなくなる。しかしまあ、小さい子の面倒は自然と私に割り振られていたとはいえこんなに子供たちに好かれるとは思ってなかった。背が大きいからこの子達にとっては私も大人に見えるんだろうか?
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