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旅立ちの日に
孤児院の子供たち
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囲まれている状態でなんとか脱出を試みるも結構な密度で集まられるので大変だ。
「姉ちゃん・・・俺たちの事嫌いになっちゃったの?」
その中でつぶやいた一言に私は思わず声の方向を睨みつけていた。
「だれ?そんなひどい事言うの?」
しん・・・とした私を囲む輪の中で一人が声を上げた。
「だって、僕たちを置いて出ていっちゃうんでしょ!」
「そんなことないわ」
「だったらどうして出ていくの?」
「そうだよ、お仕事も、食べるものもたくさんあるのに・・・どうして?」
否定するも周囲は最初の声に押されて口口に思ったことを言い始める。
「それは・・・」
まさか過去に自分が願った世界の破滅がこのまま過ごせば成就してしまうからなんて言ったらどうなってしまうか。
少なくとも目の前のこの子たちから不思議なモノを見る目で見られるのは間違いない。
そしてそれに私の精神が耐えられるかはかなり微妙だ。
「とりあえず言っとくけど、私は此処が好きなの。何時だって帰ってきたい場所だわ・・・そこはわかって」
できるだけ優しく、丁寧に言う。それは偽りのない言葉で。本当に大事。それだけは間違いない。
そして次にどういった物かと悩んでいると不意に食堂の方から爆発音が響いた。
「・・・もしかして今厨房にいるのって」
「・・・先生かも」
割合年長の子の言葉に私は頭を抱えた。そう、先生はまったく料理が出来ない。薬品の調合は指先にほんのりつく程度の量の粉末すら正確に計測できるのに調味料となると大匙とお玉の区別がつかなくなるのだ。
そして極めつけはその謎感覚の末に錬成された爆発物か可燃物によって厨房と調理器具は天に召されることになる。
「うわああああ・・・私の鍋が・・・」
頭を抱える。調理はほとんど私の管轄だ。先生の面倒を見る過程で料理を覚えた私は初期の人数が少ない内から子供たちの食事の世話をすることも多い。っていうか先生があんななので必然的に私か時々くるお手伝いさんがやるのが日課だった。先生は勉強熱心なのでいつも何処からか手に入れた指南書を読んでいたが成果は芳しくない。片手間に読んでいた私が追い抜くのにさしたる時間はかからなかったほどだ。
「先生、言いにくいんですけどやっぱり人間には向き不向きがあると思います」
面と向かって言ったがさしたる効果はなかった。なかったと言うより本人からなんとか人並みになりたいんですよ、と割りと切実な返答が返ってきたので私も何も言えなくなった。
しかしながらそれでは厨房が崩壊するので普段は隔離された場所で練習していたはずなのだが。
「時々変な自信見せるから・・・」
チャレンジ精神はあるし、知識もあるにはある。なので時々成功か失敗かを意図せず挑戦することもある。
料理以外ではそれで大概成功させるのだが。
「そういえば、『今日は行ける気がする!』って言ってたかも・・・」
子供達の一人が気まずそうに言う。まさか料理に挑戦するとは夢にも思うまい。突然の自信発言は先生が何処に向かうかわかるまで『何に対して』自信をつけたのかわからないからだ。そして無駄に手際は良いので料理ならば厨房に入る前に引き留めないと錬成は止められないのだ。
「とりあえず私は厨房に行くわ。詳しい話はまた後でね」
子供達の注意が他所に向いたのを見計らって囲みから抜け出し、私は厨房へと向かう。使える食材と調理器具がどれだけ残っているのか確認しないと。
「先生!とりあえず大丈夫ですか?」
厨房に入ると先生がぼろぼろになった鍋を手に首を傾げていた。何がしたかったのか現状では察することは不可能だ。
「あ、リーシュじゃありませんか。今夕食にしますからね」
「厨房が倒壊するのでやめてください。それと食材は科学薬品ではないのでなんでも混ぜてはいけません」
消し炭からは想像できないがどうやらお芋と根菜のむいた皮があるので煮込み料理でもしようと思ったのだろう。
しかしまあ、なんで何をつかっても燃焼するか爆発するかするのだろう?錬金術を極めると嫌でもそうなってしまうのだろうか?
「うーむ、いけると思ったのだがね」
「その自信に関しては全くと言っていいほど根拠がありません、できない事はできないと諦めるか成功例を作ってから実践してくださいね」
諦めきれない様子の先生を宥めながら私はようやく彼を厨房の入り口付近にあるテーブルまで追いやる。やがて私が許可しない事でようやく諦めたのか椅子に腰かけて困ったように再び本を開いた。
「カレーが食べたいのですが・・・」
「レシピ本をくれれば私が作りますけど?」
「しかし君はもうじき旅にでるだろう?私としては君の後顧の憂いを断ちたいのだがね」
「お気持ちはうれしいですが・・・」
ボロボロの鍋は私が持ち上げると砂のようになって床に散らばった。竈は煤だらけで良く見ると罅が・・・、補強された石と金属製の竈がどうしてこうも破壊されるのか不思議すぎる。
「姉ちゃん・・・俺たちの事嫌いになっちゃったの?」
その中でつぶやいた一言に私は思わず声の方向を睨みつけていた。
「だれ?そんなひどい事言うの?」
しん・・・とした私を囲む輪の中で一人が声を上げた。
「だって、僕たちを置いて出ていっちゃうんでしょ!」
「そんなことないわ」
「だったらどうして出ていくの?」
「そうだよ、お仕事も、食べるものもたくさんあるのに・・・どうして?」
否定するも周囲は最初の声に押されて口口に思ったことを言い始める。
「それは・・・」
まさか過去に自分が願った世界の破滅がこのまま過ごせば成就してしまうからなんて言ったらどうなってしまうか。
少なくとも目の前のこの子たちから不思議なモノを見る目で見られるのは間違いない。
そしてそれに私の精神が耐えられるかはかなり微妙だ。
「とりあえず言っとくけど、私は此処が好きなの。何時だって帰ってきたい場所だわ・・・そこはわかって」
できるだけ優しく、丁寧に言う。それは偽りのない言葉で。本当に大事。それだけは間違いない。
そして次にどういった物かと悩んでいると不意に食堂の方から爆発音が響いた。
「・・・もしかして今厨房にいるのって」
「・・・先生かも」
割合年長の子の言葉に私は頭を抱えた。そう、先生はまったく料理が出来ない。薬品の調合は指先にほんのりつく程度の量の粉末すら正確に計測できるのに調味料となると大匙とお玉の区別がつかなくなるのだ。
そして極めつけはその謎感覚の末に錬成された爆発物か可燃物によって厨房と調理器具は天に召されることになる。
「うわああああ・・・私の鍋が・・・」
頭を抱える。調理はほとんど私の管轄だ。先生の面倒を見る過程で料理を覚えた私は初期の人数が少ない内から子供たちの食事の世話をすることも多い。っていうか先生があんななので必然的に私か時々くるお手伝いさんがやるのが日課だった。先生は勉強熱心なのでいつも何処からか手に入れた指南書を読んでいたが成果は芳しくない。片手間に読んでいた私が追い抜くのにさしたる時間はかからなかったほどだ。
「先生、言いにくいんですけどやっぱり人間には向き不向きがあると思います」
面と向かって言ったがさしたる効果はなかった。なかったと言うより本人からなんとか人並みになりたいんですよ、と割りと切実な返答が返ってきたので私も何も言えなくなった。
しかしながらそれでは厨房が崩壊するので普段は隔離された場所で練習していたはずなのだが。
「時々変な自信見せるから・・・」
チャレンジ精神はあるし、知識もあるにはある。なので時々成功か失敗かを意図せず挑戦することもある。
料理以外ではそれで大概成功させるのだが。
「そういえば、『今日は行ける気がする!』って言ってたかも・・・」
子供達の一人が気まずそうに言う。まさか料理に挑戦するとは夢にも思うまい。突然の自信発言は先生が何処に向かうかわかるまで『何に対して』自信をつけたのかわからないからだ。そして無駄に手際は良いので料理ならば厨房に入る前に引き留めないと錬成は止められないのだ。
「とりあえず私は厨房に行くわ。詳しい話はまた後でね」
子供達の注意が他所に向いたのを見計らって囲みから抜け出し、私は厨房へと向かう。使える食材と調理器具がどれだけ残っているのか確認しないと。
「先生!とりあえず大丈夫ですか?」
厨房に入ると先生がぼろぼろになった鍋を手に首を傾げていた。何がしたかったのか現状では察することは不可能だ。
「あ、リーシュじゃありませんか。今夕食にしますからね」
「厨房が倒壊するのでやめてください。それと食材は科学薬品ではないのでなんでも混ぜてはいけません」
消し炭からは想像できないがどうやらお芋と根菜のむいた皮があるので煮込み料理でもしようと思ったのだろう。
しかしまあ、なんで何をつかっても燃焼するか爆発するかするのだろう?錬金術を極めると嫌でもそうなってしまうのだろうか?
「うーむ、いけると思ったのだがね」
「その自信に関しては全くと言っていいほど根拠がありません、できない事はできないと諦めるか成功例を作ってから実践してくださいね」
諦めきれない様子の先生を宥めながら私はようやく彼を厨房の入り口付近にあるテーブルまで追いやる。やがて私が許可しない事でようやく諦めたのか椅子に腰かけて困ったように再び本を開いた。
「カレーが食べたいのですが・・・」
「レシピ本をくれれば私が作りますけど?」
「しかし君はもうじき旅にでるだろう?私としては君の後顧の憂いを断ちたいのだがね」
「お気持ちはうれしいですが・・・」
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