20 / 100
旅立ちの日に
手慣れたもんよ、汚部屋なんて
しおりを挟む
ささっと片付けること一時間。ゴミはまず撤去完了。床も汚いけど掃除までやってる時間はないか。
「さてと、次は厨房ね、覗いてるところだけでもヤバいけど」
おじさんとリッキーにゴミを外に運ぶように指示して私は厨房へ。戦場を覚悟しないとね。
「うっ・・・普通に臭い」
生ごみか、腐った臭いが微かにする。とてもじゃないけど調理場とは思えない臭いだ。山になったお皿にも汚れがこびりついている。お客様用のお皿なんかも流しにほったらかし・・・お皿が無くなってそうな数だけど宿だったからかお皿は沢山あるみたいで量がヤバい。
仕方ないので一つずつ汲んである水を流しに移してはお皿と流しを綺麗にしていく。うう・・・先生のお世話を最初に始めたころを思い出す酷さだ。もっとも爆発痕とか、ヤバい溶解液とかはないけども。それでも男の不精が詰まった空間を私が一つずつ片付けていく。錬金術を応用してスポンジや布巾の汚れを分離させ、生活用の魔法で綺麗にする。生活魔法とはクリーンアップや火打石と呼ばれる攻撃には全く向かないが枯れ草に火をつけたり、汚れを落としたりする生活にあると便利な魔法だ。魔法を使える人は少ないが生活魔法だと勉強すれば使えるようになる人は多い。
「床とかは後回しにして厨房を使えるようにしないとね」
爆発して壁がひび割れたりしてないぶん修理はいらないのでむしろ楽だったかもしれない。それでも掃除は大変なもので、ひと段落する頃には夕闇が辺りを包み込む頃だった。
「よし、掃除も終わったしまずはお料理しちゃおう」
綺麗になった厨房で料理をするのは好きだ。勝手は分からないけど調味料なんかもストックはされてるみたい。
一応チェックしたので傷んでいるものもない。今日は手軽にジャガイモとベーコンを胡椒で炒めたものと持ち込んだチーズを溶かして黒パンの上に乗っける。残り物の野菜を細かく切ってスープに入れ、塩コショウで味を調えたら秘伝のコンソメ粉末で味付けもできた。
「はーい、できましたよ」
「おお、すげえ・・・久々にまともな飯だ」
「なんかすいません」
とりあえず食卓に使えそうなテーブルを引っ張り出して掃除し、その上に料理を並べる。するとおじさんは料理を拝む勢いになり、リッキーは申し訳なさそうに頭を下げる。生ごみの種類の偏り方から考えてもかなり偏った食生活だったんだろう。仕方ないとはいえ、どうにも困ったものだ。
「カミさんが死んで以来だなぁ・・・本当にありがてぇ」
食事が進むとおじさんはいつの間にか酒瓶を傾けている。リッキーはあきれ顔だが慣れているのか何も言わなかった。
「せめて俺の足がまだついてりゃなぁ・・・」
酒瓶が二つほどになったところでおじさんは寂しそうに言う。彼の話によると廃業する前は彼はベテランの鉱山夫兼冒険者であり、マトックと斧を片手にモンスターと鉱石を集めていたらしい。奥様とはその過程で知り合い、二人で貯金の末にこの宿を構えたのだという。しかし仕事納めのつもりで受けた最後の依頼でおじさんは毒で足を失ってしまい、奥様も病気がちになったそうだ。それからは宿の経営にも支障が出始め、奥様が亡くなってからは休業状態とのこと。それでもこうして此処に住み続けられるのは冒険者時代に鉱山経営の手助けをしてもらっていた貴族がおじさんの生活費を見てくれているからだそうだ。それにリッキーのアシスタント業も合わさってそこまで困窮はしていないそう。しかしドワーフ顔負けの凄い体つきだとおもったら鉱山夫もしてたんだ、納得だね。
「そうだったんですね・・・」
ふーむ、そうなると足を失っておじさんがここで腐ってしまうのはもったいない気がする。リッキーも心配だろうし、こうなれば乗りかかった船ってやつだよね。
「とりあえず泊めてもらうからにはここら辺をキレイにはさせてもらいますね」
「あぁ、好きにしてくれ」
おじさんは短くそう言うと机に突っ伏して眠りこんでしまった。仕方ないので私はおじさんの背に毛布をかけ、食器片づける。
「お姉さん、ちょうどよかった・・・これ使って」
姿が見えないと思ったらリッキーはお湯を張った桶を渡してくれた。お宿でこれは結構なサービスだと聞いた事がある。それに彼はどうやら私が使う部屋の支度もしてくれていたようだ。一階の従業員用らしい小さな部屋だが綺麗にしてあるし、ベッドのシーツも新しめだ。
「ありがとう、リッキー。今日はこのまま寝ちゃうから戸締りだけはきっちりね」
「わかった、今日はありがとう・・・」
「お礼もいいけど、こういう時はおやすみなさいでしょ?」
「・・・おやすみなさい」
ちょっと恥ずかしそうだったけど挨拶は大事。一日の終わりと始まりに交わす挨拶は親睦を深める上で大切なことだからね。私が笑顔で頷いたのを見るとリッキーはそのままスタタタと歩いて行った。
「ふぅ、いろいろと大変だったけど・・・宿代が浮いたからまあ良しとしようっと」
お湯に持ってきたタオルを浸して体を拭くとさっぱりするわね。お湯加減も結構いい感じ。リッキーも将来はこの宿を経営するのかしら。そうなったらまた利用しにきてもいいかな。
「さてと、次は厨房ね、覗いてるところだけでもヤバいけど」
おじさんとリッキーにゴミを外に運ぶように指示して私は厨房へ。戦場を覚悟しないとね。
「うっ・・・普通に臭い」
生ごみか、腐った臭いが微かにする。とてもじゃないけど調理場とは思えない臭いだ。山になったお皿にも汚れがこびりついている。お客様用のお皿なんかも流しにほったらかし・・・お皿が無くなってそうな数だけど宿だったからかお皿は沢山あるみたいで量がヤバい。
仕方ないので一つずつ汲んである水を流しに移してはお皿と流しを綺麗にしていく。うう・・・先生のお世話を最初に始めたころを思い出す酷さだ。もっとも爆発痕とか、ヤバい溶解液とかはないけども。それでも男の不精が詰まった空間を私が一つずつ片付けていく。錬金術を応用してスポンジや布巾の汚れを分離させ、生活用の魔法で綺麗にする。生活魔法とはクリーンアップや火打石と呼ばれる攻撃には全く向かないが枯れ草に火をつけたり、汚れを落としたりする生活にあると便利な魔法だ。魔法を使える人は少ないが生活魔法だと勉強すれば使えるようになる人は多い。
「床とかは後回しにして厨房を使えるようにしないとね」
爆発して壁がひび割れたりしてないぶん修理はいらないのでむしろ楽だったかもしれない。それでも掃除は大変なもので、ひと段落する頃には夕闇が辺りを包み込む頃だった。
「よし、掃除も終わったしまずはお料理しちゃおう」
綺麗になった厨房で料理をするのは好きだ。勝手は分からないけど調味料なんかもストックはされてるみたい。
一応チェックしたので傷んでいるものもない。今日は手軽にジャガイモとベーコンを胡椒で炒めたものと持ち込んだチーズを溶かして黒パンの上に乗っける。残り物の野菜を細かく切ってスープに入れ、塩コショウで味を調えたら秘伝のコンソメ粉末で味付けもできた。
「はーい、できましたよ」
「おお、すげえ・・・久々にまともな飯だ」
「なんかすいません」
とりあえず食卓に使えそうなテーブルを引っ張り出して掃除し、その上に料理を並べる。するとおじさんは料理を拝む勢いになり、リッキーは申し訳なさそうに頭を下げる。生ごみの種類の偏り方から考えてもかなり偏った食生活だったんだろう。仕方ないとはいえ、どうにも困ったものだ。
「カミさんが死んで以来だなぁ・・・本当にありがてぇ」
食事が進むとおじさんはいつの間にか酒瓶を傾けている。リッキーはあきれ顔だが慣れているのか何も言わなかった。
「せめて俺の足がまだついてりゃなぁ・・・」
酒瓶が二つほどになったところでおじさんは寂しそうに言う。彼の話によると廃業する前は彼はベテランの鉱山夫兼冒険者であり、マトックと斧を片手にモンスターと鉱石を集めていたらしい。奥様とはその過程で知り合い、二人で貯金の末にこの宿を構えたのだという。しかし仕事納めのつもりで受けた最後の依頼でおじさんは毒で足を失ってしまい、奥様も病気がちになったそうだ。それからは宿の経営にも支障が出始め、奥様が亡くなってからは休業状態とのこと。それでもこうして此処に住み続けられるのは冒険者時代に鉱山経営の手助けをしてもらっていた貴族がおじさんの生活費を見てくれているからだそうだ。それにリッキーのアシスタント業も合わさってそこまで困窮はしていないそう。しかしドワーフ顔負けの凄い体つきだとおもったら鉱山夫もしてたんだ、納得だね。
「そうだったんですね・・・」
ふーむ、そうなると足を失っておじさんがここで腐ってしまうのはもったいない気がする。リッキーも心配だろうし、こうなれば乗りかかった船ってやつだよね。
「とりあえず泊めてもらうからにはここら辺をキレイにはさせてもらいますね」
「あぁ、好きにしてくれ」
おじさんは短くそう言うと机に突っ伏して眠りこんでしまった。仕方ないので私はおじさんの背に毛布をかけ、食器片づける。
「お姉さん、ちょうどよかった・・・これ使って」
姿が見えないと思ったらリッキーはお湯を張った桶を渡してくれた。お宿でこれは結構なサービスだと聞いた事がある。それに彼はどうやら私が使う部屋の支度もしてくれていたようだ。一階の従業員用らしい小さな部屋だが綺麗にしてあるし、ベッドのシーツも新しめだ。
「ありがとう、リッキー。今日はこのまま寝ちゃうから戸締りだけはきっちりね」
「わかった、今日はありがとう・・・」
「お礼もいいけど、こういう時はおやすみなさいでしょ?」
「・・・おやすみなさい」
ちょっと恥ずかしそうだったけど挨拶は大事。一日の終わりと始まりに交わす挨拶は親睦を深める上で大切なことだからね。私が笑顔で頷いたのを見るとリッキーはそのままスタタタと歩いて行った。
「ふぅ、いろいろと大変だったけど・・・宿代が浮いたからまあ良しとしようっと」
お湯に持ってきたタオルを浸して体を拭くとさっぱりするわね。お湯加減も結構いい感じ。リッキーも将来はこの宿を経営するのかしら。そうなったらまた利用しにきてもいいかな。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
RIGHT MEMORIZE 〜僕らを轢いてくソラ
neonevi
ファンタジー
運命に連れられるのはいつも望まない場所で、僕たちに解るのは引力みたいな君との今だけ。
そんな風に引き寄せ合う者達が、世界の波に翻弄されながらも抗い生きる物語。
※この作品は小説家になろうにも掲載されています
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる