19 / 100
旅立ちの日に
アシスタントさん
しおりを挟む
悶絶する三人を放置して私はアシスタントさんの元へ。あーあ、可愛そうに・・・血が出てる。
「悪いわね、こんな事に巻き込んじゃって」
「い、いいんです・・・それよりお姉さんはケガとか」
「ないわ、お陰様でね」
まだ座り込んだままの彼に手を貸して立たせると彼は困ったように頭を掻いた。
「それは良かった・・・けど困ったな、明日からどうしようかな」
「アシスタント響くかしら?悪いことしちゃった」
「そんな!あの三人は元から札付きだから仕方ないです」
今回の喧嘩騒動で彼らのランクダウンは確実だそうだ。しかしそうなるとアシスタントの彼にとっては稼ぎ口が無くなったことを意味する。Fランクが受けられる仕事はそれほどひどいらしい。
「基本店番とか、ポーションの見張り番とかそんな感じの雑用ですよ。それも監視つきの」
「へー、そうなんだ」
「とりあえず逃げましょ、お姉さんまで巻き込まれる必要ないよ」
リッキーに手を引かれ、私達は足早に現場を立ち去る。そしてどこへ向かうのかと思いきや、そこは一軒の家だった。宿の集まる通りにほど近いからもしかしてここも宿屋なんだろうか?
「ここまでくりゃ大丈夫です」
「それはありがたいけど・・・ここどこ?」
「俺の家です、親父がいるけど部屋は多いから大丈夫」
大丈夫といいつつすこし不安げだがまあ、宿もないし泊めてくれるならいいとしよう。
「ここも宿をやってるの?」
「前はしてましたけど今は休業中です」
「そうなの?」
言われてみると宿には活気がなく、夕食が近いのに食事の匂いもしない。休業というのは本当らしい。
「でも休業じゃ私もダメなんじゃない?」
「いいんですよ、元はといえば俺のせいだし」
どうにもガンランが未だに冒険者としてぎりぎりのランクを維持できていたのはリッキーの働きかけが大きいみたい。彼が事後処理に走り回っていたため彼らは知らず知らずのうちにランクダウンを免れていたようだ。
「苦労したんじゃない?」
「ええ、でもそれももうおしまいです。お姉さんに喧嘩売った挙句あんな見事にのされちゃ冒険者としての実力も疑問符がついちゃう」
腕っぷしのみの男がその自慢の腕っぷしを完膚なきまでに叩きのめされた訳だからまあ、当然か。素行不良もここまで行きゃギルドも許さないだろうしね。
「まあそんなのは知らないけど・・・問題はリッキーの事よね」
「いやあ、まあそれは自分でなんとかしますし」
リッキーはそう言ったが私のせいだしこちらこそどうにかしてあげたい。とりあえずは無料宿泊じゃなくなにかできる事をさがしてあげようっと。
「えっと、それじゃ・・・」
「こらぁっ!リッキー!いつまでそこにいる気だ、早く入ってこい!」
雷のような声とともに杖を突いた男性がのっそりと歩いてきた。
「親父・・・ごめんって」
「ったくこういうとこばっかし母親に似やがって・・・」
嫌味を言うもその目はいかつい見た目に反して優しい。親父というからには彼がお父さんなんだろうか。
「ん?そこのお嬢さんはだれだ?」
「えっと、その・・・お客さんだよ」
私に気づいたおじさんは私の顔からつま先までつつーっと見ると、リッキーを捕まえてこそこそとしゃべりだした。
『あんな別嬪さんどこで捕まえて来たんだ?お前も隅におけねえな・・・10歳の癖に色気づきやがって』
『なっ!違うよ!俺はただ・・・』
『わーってるよ、だがおめえ今の甲斐性じゃ嫁さんは難しくねえか?』
『わかってない!』
途中からリッキーが真っ赤になって反論するので丸聞こえだ。お父さんとしては女の子を連れて来たのがうれしいのかこちら時々見ては笑顔で会釈を繰り返している。なんだかしらないけど面白いおじさんだな。
「宿を取り損ねて困ってるところを助けてもらったんですけど・・・お邪魔でしたら・・・」
「いやいやいや、こんなところでよかったら何日でも泊ってくだせぇ。カミさんが死んで、俺もこんなナリだ・・・大したことはできねえが・・・」
話が進まないので遠慮しましょうか?とばかりに切り出すとおじさんはリッキーを投げ捨ててこちらに満面の笑顔で答える。最後の方は少し寂しげだったが私が了承するとまたパっと明るくなった。
「ははは、人が増えると家も明るくなるからな!ささ、どうぞどうぞ」
おじさんに促されて玄関を潜ると・・・。
「・・・」
「散らかってるけど好きなとこに座ってくんな!」
散らかり放題のエントランスに転がる空き瓶。それに山積みのお皿の山。天井の隅には蜘蛛の巣もはってるし・・・男だけだとやっぱりこうなるのかしら。
「とりあえず泊めてもらうし掃除でもします」
「え、でもお客」
「そう思うなら玄関口くらい掃除しなさい」
おじさんの言葉を遮ると私はさっそく部屋の掃除を開始した。
「悪いわね、こんな事に巻き込んじゃって」
「い、いいんです・・・それよりお姉さんはケガとか」
「ないわ、お陰様でね」
まだ座り込んだままの彼に手を貸して立たせると彼は困ったように頭を掻いた。
「それは良かった・・・けど困ったな、明日からどうしようかな」
「アシスタント響くかしら?悪いことしちゃった」
「そんな!あの三人は元から札付きだから仕方ないです」
今回の喧嘩騒動で彼らのランクダウンは確実だそうだ。しかしそうなるとアシスタントの彼にとっては稼ぎ口が無くなったことを意味する。Fランクが受けられる仕事はそれほどひどいらしい。
「基本店番とか、ポーションの見張り番とかそんな感じの雑用ですよ。それも監視つきの」
「へー、そうなんだ」
「とりあえず逃げましょ、お姉さんまで巻き込まれる必要ないよ」
リッキーに手を引かれ、私達は足早に現場を立ち去る。そしてどこへ向かうのかと思いきや、そこは一軒の家だった。宿の集まる通りにほど近いからもしかしてここも宿屋なんだろうか?
「ここまでくりゃ大丈夫です」
「それはありがたいけど・・・ここどこ?」
「俺の家です、親父がいるけど部屋は多いから大丈夫」
大丈夫といいつつすこし不安げだがまあ、宿もないし泊めてくれるならいいとしよう。
「ここも宿をやってるの?」
「前はしてましたけど今は休業中です」
「そうなの?」
言われてみると宿には活気がなく、夕食が近いのに食事の匂いもしない。休業というのは本当らしい。
「でも休業じゃ私もダメなんじゃない?」
「いいんですよ、元はといえば俺のせいだし」
どうにもガンランが未だに冒険者としてぎりぎりのランクを維持できていたのはリッキーの働きかけが大きいみたい。彼が事後処理に走り回っていたため彼らは知らず知らずのうちにランクダウンを免れていたようだ。
「苦労したんじゃない?」
「ええ、でもそれももうおしまいです。お姉さんに喧嘩売った挙句あんな見事にのされちゃ冒険者としての実力も疑問符がついちゃう」
腕っぷしのみの男がその自慢の腕っぷしを完膚なきまでに叩きのめされた訳だからまあ、当然か。素行不良もここまで行きゃギルドも許さないだろうしね。
「まあそんなのは知らないけど・・・問題はリッキーの事よね」
「いやあ、まあそれは自分でなんとかしますし」
リッキーはそう言ったが私のせいだしこちらこそどうにかしてあげたい。とりあえずは無料宿泊じゃなくなにかできる事をさがしてあげようっと。
「えっと、それじゃ・・・」
「こらぁっ!リッキー!いつまでそこにいる気だ、早く入ってこい!」
雷のような声とともに杖を突いた男性がのっそりと歩いてきた。
「親父・・・ごめんって」
「ったくこういうとこばっかし母親に似やがって・・・」
嫌味を言うもその目はいかつい見た目に反して優しい。親父というからには彼がお父さんなんだろうか。
「ん?そこのお嬢さんはだれだ?」
「えっと、その・・・お客さんだよ」
私に気づいたおじさんは私の顔からつま先までつつーっと見ると、リッキーを捕まえてこそこそとしゃべりだした。
『あんな別嬪さんどこで捕まえて来たんだ?お前も隅におけねえな・・・10歳の癖に色気づきやがって』
『なっ!違うよ!俺はただ・・・』
『わーってるよ、だがおめえ今の甲斐性じゃ嫁さんは難しくねえか?』
『わかってない!』
途中からリッキーが真っ赤になって反論するので丸聞こえだ。お父さんとしては女の子を連れて来たのがうれしいのかこちら時々見ては笑顔で会釈を繰り返している。なんだかしらないけど面白いおじさんだな。
「宿を取り損ねて困ってるところを助けてもらったんですけど・・・お邪魔でしたら・・・」
「いやいやいや、こんなところでよかったら何日でも泊ってくだせぇ。カミさんが死んで、俺もこんなナリだ・・・大したことはできねえが・・・」
話が進まないので遠慮しましょうか?とばかりに切り出すとおじさんはリッキーを投げ捨ててこちらに満面の笑顔で答える。最後の方は少し寂しげだったが私が了承するとまたパっと明るくなった。
「ははは、人が増えると家も明るくなるからな!ささ、どうぞどうぞ」
おじさんに促されて玄関を潜ると・・・。
「・・・」
「散らかってるけど好きなとこに座ってくんな!」
散らかり放題のエントランスに転がる空き瓶。それに山積みのお皿の山。天井の隅には蜘蛛の巣もはってるし・・・男だけだとやっぱりこうなるのかしら。
「とりあえず泊めてもらうし掃除でもします」
「え、でもお客」
「そう思うなら玄関口くらい掃除しなさい」
おじさんの言葉を遮ると私はさっそく部屋の掃除を開始した。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
RIGHT MEMORIZE 〜僕らを轢いてくソラ
neonevi
ファンタジー
運命に連れられるのはいつも望まない場所で、僕たちに解るのは引力みたいな君との今だけ。
そんな風に引き寄せ合う者達が、世界の波に翻弄されながらも抗い生きる物語。
※この作品は小説家になろうにも掲載されています
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる