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旅立ちの日に
ポーションの作り方は・・・内緒
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真っ青な顔をしていた受付嬢もそれをみてやっと落ち着いた様子で周囲の冒険者さんたちも同様だった。
ひやひやさせないでくれよなー
なんて言葉が飛び出し、周囲がうんうんとうなずく一方で
いきなり斬りつけるなんて!信じられねえ!
と憤慨する人も多かった。挑発したのは私とはいえ、この状況って騎士団にとって非常にまずいのではなかろうか。
「えっと、そのポーション凄いね!どこで売ってるの?」
リッキーが露骨に話題を逸らそうとこちらに尋ねてくる。言い方はわざとらしかったがポーションの効果自体は高く、気になった冒険者たちが聞き耳を立てているのが分かる。
「ああ、これ?私の先生が教えてくれたポーションなの、塗ってよし、飲んで良しよ」
先生は飲み薬の改良にも熱心で、美味しく飲めるように味をつけたり粉末を小さな粒に纏めてしまったりと誰でも飲める薬の開発に余念がない。
「教えてくれた・・・って自作?」
「そうよ、落ち着いたら売りにでも出しましょうか」
思いがけずポーションの宣伝ができてしまったのでリッキーに早いところ作り方を覚えてもらおう。
そしたら収入もよくなって、宿屋で間借りしている自分も居心地が良くなるというもの。おじさんの収入も謎だし、リッキーがあんなクズみたいな連中とつるまなくてもよくなるだろうし。
「あれ、自作なのか・・・」
「ポーションが自作できる冒険者・・・」
周囲のざわめきが気になりだした頃、ギルドの受付のお嬢さんが咳払いとともに宣言した。
「とにかく、しばらく王都から来た騎士団からの依頼は当ギルドでは受け付けない事にします。山賊討伐に関しては遠路のルートと王都側と反対の方向から生活物資が滞りなく供給されていますので緊急討伐ももちろん発行致しません!この町の商家の人にはこちらから事情を説明しますのでご心配なく」
今回の事で冒険者ギルドと騎士団との対立が明確化した。市民からの陳情を再三無視してきたことと対応のお粗末さ、そして普段からの横柄な態度に煤の騎士である警邏の騎士さん達ももううんざりといった様子。上司とはいっても管轄が王都の騎士団と各町に配備された警邏の騎士団では違うらしく彼らとの連携も取れていないらしい。
そんなこんなでクエストどころじゃなくなった私達はトボトボと帰ることに。
「あーあ、これから大変だね。いろいろと・・・」
「他人事みてえに言うんじゃねえよ」
ギルドでは正式に騎士団に苦情を申し入れるそうだ。そうすると町に居る応援の騎士団の人たちの立場はとても不味いものになるだろう。今回の件で下手をすると王都に彼らの不手際が報告されてしまうかもしれないからだ。
この町以外でも今の立場に胡坐をかいている人にとってはありがたくない出来事と言うわけだ。
「あれ、おじさんお仕事は?」
「正職以外はもう店じまいだよ、おかげさんでな」
そう言うと同時に私の頭にゲンコツが落ちた。目が一瞬霞む威力だったが『心配かけんじゃねえよ』の一言を言われては致し方ない。反省するよー、少しだけ。
「ゲンコツが足りねえか?」
「や、やだなぁ・・・反省してるって」
リッキーが涙目だったのも手伝ってかなりおじさんが厳しめだ。とりあえず騎士団もそろそろ武功が必要との事で物資も整った今、やる気を出して事に当たるしかないだろう。彼らの立場なんぞ知ったことではないが彼らに同行する僧侶たちがちょっと心配。なにせ彼らはアンデッドに対しての対処法は心得ていても山賊などの対人戦なんてやったことないだろう。そのために聖堂騎士なんて専門の護衛がいたりするのだ。
「仕方ない、なんか嫌な感じするしあの騎士がどうなったところで知らないけど・・・教会の人が減ったら困るよね?万が一の事態に備えてポーションでも作っときましょうか」
「ギルドでも言ってたがホントに作れるのか?」
「ええ、ちょっと普通のポーションとは作り方が違うかもだけど」
錬金術の器具が必要だったりするけど、それ自体を簡易な錬金術で作り出せるので実質ガラスがあればどうとでも成る。そしてそのガラスはおじさんが大量に出していた酒瓶から作り出せるのだ。
「とりあえず・・・これくらいあればいいかな」
一角に積まれた瓶の山から十本ばかり取り出す。この土にはどうやらガラスの成分が含まれているらしく先生がそれを利用して割れた瓶などから再利用していた。材質は同じだし、うまくいけば作れるはず。
「それじゃちょーっと準備するから待っててね」
「瓶で何する気だ?」
「ま、それは見てのお楽しみってことで」
借りている部屋に戻って私は大き目の机を引っ張り出す。後は此処で瓶からガラスを取り出し、それを特注のフラスコに変えていくだけだ。
「多めに作っておくべきだろうけど・・・いくつ作ろうかな」
器具と薬草と水さえあればいくらでも作れる。器具さえあれば製法自体はそれほど難しくないからね。
ひやひやさせないでくれよなー
なんて言葉が飛び出し、周囲がうんうんとうなずく一方で
いきなり斬りつけるなんて!信じられねえ!
と憤慨する人も多かった。挑発したのは私とはいえ、この状況って騎士団にとって非常にまずいのではなかろうか。
「えっと、そのポーション凄いね!どこで売ってるの?」
リッキーが露骨に話題を逸らそうとこちらに尋ねてくる。言い方はわざとらしかったがポーションの効果自体は高く、気になった冒険者たちが聞き耳を立てているのが分かる。
「ああ、これ?私の先生が教えてくれたポーションなの、塗ってよし、飲んで良しよ」
先生は飲み薬の改良にも熱心で、美味しく飲めるように味をつけたり粉末を小さな粒に纏めてしまったりと誰でも飲める薬の開発に余念がない。
「教えてくれた・・・って自作?」
「そうよ、落ち着いたら売りにでも出しましょうか」
思いがけずポーションの宣伝ができてしまったのでリッキーに早いところ作り方を覚えてもらおう。
そしたら収入もよくなって、宿屋で間借りしている自分も居心地が良くなるというもの。おじさんの収入も謎だし、リッキーがあんなクズみたいな連中とつるまなくてもよくなるだろうし。
「あれ、自作なのか・・・」
「ポーションが自作できる冒険者・・・」
周囲のざわめきが気になりだした頃、ギルドの受付のお嬢さんが咳払いとともに宣言した。
「とにかく、しばらく王都から来た騎士団からの依頼は当ギルドでは受け付けない事にします。山賊討伐に関しては遠路のルートと王都側と反対の方向から生活物資が滞りなく供給されていますので緊急討伐ももちろん発行致しません!この町の商家の人にはこちらから事情を説明しますのでご心配なく」
今回の事で冒険者ギルドと騎士団との対立が明確化した。市民からの陳情を再三無視してきたことと対応のお粗末さ、そして普段からの横柄な態度に煤の騎士である警邏の騎士さん達ももううんざりといった様子。上司とはいっても管轄が王都の騎士団と各町に配備された警邏の騎士団では違うらしく彼らとの連携も取れていないらしい。
そんなこんなでクエストどころじゃなくなった私達はトボトボと帰ることに。
「あーあ、これから大変だね。いろいろと・・・」
「他人事みてえに言うんじゃねえよ」
ギルドでは正式に騎士団に苦情を申し入れるそうだ。そうすると町に居る応援の騎士団の人たちの立場はとても不味いものになるだろう。今回の件で下手をすると王都に彼らの不手際が報告されてしまうかもしれないからだ。
この町以外でも今の立場に胡坐をかいている人にとってはありがたくない出来事と言うわけだ。
「あれ、おじさんお仕事は?」
「正職以外はもう店じまいだよ、おかげさんでな」
そう言うと同時に私の頭にゲンコツが落ちた。目が一瞬霞む威力だったが『心配かけんじゃねえよ』の一言を言われては致し方ない。反省するよー、少しだけ。
「ゲンコツが足りねえか?」
「や、やだなぁ・・・反省してるって」
リッキーが涙目だったのも手伝ってかなりおじさんが厳しめだ。とりあえず騎士団もそろそろ武功が必要との事で物資も整った今、やる気を出して事に当たるしかないだろう。彼らの立場なんぞ知ったことではないが彼らに同行する僧侶たちがちょっと心配。なにせ彼らはアンデッドに対しての対処法は心得ていても山賊などの対人戦なんてやったことないだろう。そのために聖堂騎士なんて専門の護衛がいたりするのだ。
「仕方ない、なんか嫌な感じするしあの騎士がどうなったところで知らないけど・・・教会の人が減ったら困るよね?万が一の事態に備えてポーションでも作っときましょうか」
「ギルドでも言ってたがホントに作れるのか?」
「ええ、ちょっと普通のポーションとは作り方が違うかもだけど」
錬金術の器具が必要だったりするけど、それ自体を簡易な錬金術で作り出せるので実質ガラスがあればどうとでも成る。そしてそのガラスはおじさんが大量に出していた酒瓶から作り出せるのだ。
「とりあえず・・・これくらいあればいいかな」
一角に積まれた瓶の山から十本ばかり取り出す。この土にはどうやらガラスの成分が含まれているらしく先生がそれを利用して割れた瓶などから再利用していた。材質は同じだし、うまくいけば作れるはず。
「それじゃちょーっと準備するから待っててね」
「瓶で何する気だ?」
「ま、それは見てのお楽しみってことで」
借りている部屋に戻って私は大き目の机を引っ張り出す。後は此処で瓶からガラスを取り出し、それを特注のフラスコに変えていくだけだ。
「多めに作っておくべきだろうけど・・・いくつ作ろうかな」
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