ノーライフ・ガールは博士の最高傑作

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旅立ちの日に

山賊退治

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とりあえず本気で潰しつつ、最悪私が盾になればいいか。

「魔法がお望みならそうしてやるわ」

空間に指で文字を書き、火の魔法を展開するとそのまま空中にストックして狙いを定めていく。

「くそ、あの量はやべえ!あの女を狙え!」
「もう遅い」

弓を携えているヤツから順番に仕留めていく。焼けるというよりは弾ける感じが強いので原型が残っていないが知ったことではない。

『あ、もったいな!』

ん?なんか聞こえた?そう思いつつも山賊の飛び道具持ちを粉砕しつくすと虎髭のおっさんがこちらを睨みつけているのに気づいた。

「まさか、こんな凄腕がいやがるとは誤算だったぜ・・・」
「逃がさないからね、覚悟しなよ」
「逃げる?バカいうな・・・ここまでやられりゃもうどの道一緒だ。弔い合戦といかせてもらうぜ!」

どうやら相手方ももう退く気はないようだ。どうやら虎髭のおっさんが頭目らしいし、生き残りももはや逃げる気はないようで剣を手に目を血走らせている。

「なるへそ、なら・・・死ねば?」

展開した火球を次々と放つと山賊達は怯むことなく突進し、私の眼前へと迫る。そして数人がかりで火球を防ぎ切った時に虎髭の頭目が私の目の前に迫った。

「死ねっ!」

血走った目、腕に走る浮き出た血管。力んで握りつぶしかけた剣の柄。彼はきっと組織の長としては一角の人物だったのだろう。けれども、だからこそ、沢山の犠牲者が出た。王都で、この町で、ここまでの道中で。

「地獄に落ちな」

弾倉が空になるまで頭目へリボルバーの弾を叩き込む。四発の弾丸を受けて尚、血泡を吹きながらも頭目は剣を振り上げた。

「とった・・・ぞ・・・?!」

しかしそこまで、彼は剣を振り上げた姿勢のまま崩れ落ちた。あと一歩だったね。ま、当たったとしても私には意味のない事なんだけど。

それよりもさっきの大きな人が気になる。傷もそうだけど出血がヤバイ、とりあえず治療だ治療。治癒魔法を展開しながら矢を引き抜き、止血と傷を塞ぐ。薄いのでポーションなども使って回復を後押ししないと失血しているために治りが悪い。

「もしもし、意識ある?」
「うー・・・だれ?ママ・・・?」

大分ヤバいっぽい。二メーター越えのいい大人が私見てママとか言い出しとる。失血が酷くて錯乱しているか、走馬燈的なモノを見ている可能性がある。しかし声高いな・・・もしかして・・?

「なるほど、貴女女の子なのね」

矢を全部引きぬいた後傷を確認するべくコートを脱がせて納得した。私も大概デカイデカイと言われてきたけど遠めには普通に大きい程度だけど体格の大きさも手伝ってかなり大きい。って、今はそれどころじゃない。へんてこな金属製マスクの端からも血が漏れていて吐血しているだろうこともわかる。マスクもとりあえず剥がして・・・。

「貴女、どこから来たの?」

世間話でもして気を紛らわせないとホントにヤバいかもしれない。とりあえず彼女に生きる目的を見つけさせないと。

「アメリカ・・・」
「アメリカ?どこかで聞いたわね・・・そういえば先生が言ったことのある場所で聞いた事のある地名だわ」

ポーションを取り出して傷口に掛けながら言う。思った以上に傷が深い、新しいのだけでなく古い傷が矢傷などを受けて再び開いてしまっているようだ。

「いいところ・・・だよ、此処みたいに・・・動物、いっぱい」

周囲にはグレイウルフ達が。彼らも何処かで戦ってきたのだろう、傷だらけでこちらを心配そうにみている。

「そう、狼さんも心配してるから早く良くならないと」
「うん・・・よくなったら、また頑張って・・・そしたら、ママが・・・帰ってくる」
「そう、ママは好き?」
「うん・・・ゴボッ・・・もう少しで、生き返る・・・」

生き返る?なんか不穏な言葉。それに、俄かに彼女の体からヤバそうな感じ・・・これ、知ってるぞ。

「神の気配・・・それもあんまり癖の良くなさそうな感じの」
『なんだ、知り合いでもいるのか・・・なら話は早いな』

彼女の影がしゅるしゅると伸び、やがて私の前に顔と手となって現れる。光の加減を無視した形に私は拳銃を構えて応え、互いに緊迫した雰囲気になる。

『向こうの世界の武器か、それで俺が殺せるとでも?』
「効果の無い物をそちらにわざわざ向けると?」
『・・・よりにもよって終末神なんかに魅入られてやがるのか・・・』

弾丸に対神用の加護が入っている。人なんぞに憑いている邪神を仕留めるのに最適な一発が。

「さて、その哀れな女性から離れるか・・・それとも消えるか選ばせてあげましょうか?」

死んだ人間が生き返るなんて神話でしか聞いた事なんてない。不死身の私が言うのもアレだけどナンセンスも大概にしてほしいものだわ。
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