60 / 100
次の町 モリッツ
モリッツへ
しおりを挟む
「しっかしまあマックの野郎、ギルドの運営なんてしたこともねえのに良く引き受けたもんだぜ」
「もしかして商売下手?」
「いや・・・商売だけならあれなんだが言葉足らずが多くてなぁ、ギルドも一人や二人で経営するもんでもねえから接客さえしなけりゃいいんだが・・・」
おじさんのパーティの中で寡黙というほどでも無いにしろマックさんは口数がそれほど多くないそう。それでいて言葉足らずでズバッと物を言うので喧嘩になる事が多かったそうだ。冒険者、鑑定士としての実力はあるのでギルドに属して損することはないはずだが・・・運営側となるとちょっと事情が変わって来るかも。
「ヤツがもう少し自由ならと思ったがギルドの職員になってたら難しいか・・・そもそもアイツじゃ組むのがそもそも難しいかもだが」
「そういえばここら辺の治安はどうなったんだろうね」
おじさんのパーティメンバーならば腕の立つ冒険者と臨時でパーティを組めばそれなりに動けたそうだが性格とギルドの職員をしているという事で自由には動けないそうだ。今回は騎士団も動いていたし、私達がいた町ではともかくモリッツや王都では大々的に冒険者に懸賞金が発表されていたそうだ。
「懸賞金はかなりの額だったと・・・はい」
「私達が居た町とはえらい違いだね・・・もっとも隠してたんだろうけどさ」
「まあな、地方に派遣された奴はともかく王都周辺ともなると肝入りだし貴族共も自分の荘園なんかが多いから冒険者達と連携して真面目に討伐してんじゃねえの」
おじさんの言葉通り王都に近づくにつれ山賊の討伐は結構進んでいたらしく少なくともモリッツに行く最中、初日のキャンプを迎えるまでにそれらしいハプニングはなかった。後から考えればジェイナが王都周辺から山賊を狩りながら進んできたんだから居るはずないね。
「討伐が証明できなくとも証拠とそれで身元が分かれば後からでも懸賞金はもらえるかと・・・はい」
「え、そうなの?」
「ええ、発見と死亡確認で・・・討伐よりは落ちますが・・・居なくなればその分だけ騎士や冒険者を動かさずに済みますからね」
ちらっとジェイナを見るとジェイナは首を振った。ジョンに聞いたが死体をバラバラにしてしまう悪癖のお陰で証拠はおろか死体すらのこっていない者すらある。討ち取ったあの髭の山賊がせいぜいか。
お金が大切なのもあるけどやっぱり自分の娘がしたことは評価されてほしい。
「モリッツまであと二日ほどか、食料は困らないとしてもマックがどうしているか気になるな」
おじさんはそう言うと野営の支度を始め、ジェイナは薪を拾い始める。リッキーは手慣れた様子で火を起こし、私は料理用のナイフに軽く砥ぎを入れる。
「経営か・・・ギルドの経営っておじさんを呼んでどうにかなるものなの?」
「そればかりはわかんねえな、俺ほどじゃないにしろ鉱石の目利きとか冒険者の実力を測ったりとか・・・ギルドの職員としては困らないとは思うんだが・・・」
ジェイナがポイポイと取り出した肉を薄くスライスして味をつけ、焼いてからスープに落としていく。野菜もちゃんと野草を混ぜて入れて栄養バランスも調整。
「ジェイナさんは亜空間倉庫をお持ちなんですね、鞄は・・・あれ?」
オーガンがジェイナの事を見ながら首を傾げている。そう言えばこの世界で魔法や特殊能力として亜空間倉庫を持っている人は居ないんだった。先生は例外だけども。
「おじさん、あんまり冒険者の能力を詮索すると良い事ないよ?」
「そうでした・・・すみません」
白状してしまったようなものだがとりあえず釘をさしておく。おじさんの身内みたいなものだから悪いようにはしないだろう。問題になるようなら・・・まあ、その時はその時。
「うめえなぁ」
日も落ちて野営の焚火を囲んでの夕食。おじさんも含めて良く食べるのが三人いるから大変だ。オーガンは見た目通りの小食なので肉を多めにいれてあげておく。血色少しでも良くしとかないとね。
「野営でこれほどの食事を提供してくださると・・・うれしいですねぇ・・・」
長期の旅ならともかくモリッツまではあと二日ほどと聞いている。ジェイナの亜空間倉庫にある肉は既に牛三頭分くらい、そして宿で食べるための買い置きをそのまま移動させたのでこちらも数日分は余裕だ。水は水筒に偽装した魔法陣から出る水でほぼ無制限。快適なものだ。
「・・・むぅ」
食事が終わると良い子のリッキーから順番に船を漕ぎ始める。ジェイナは逆に夜間になると目がさえるのか焚火に慣れた手付きで枝と獣脂を放り込んで火を絶やさないようにしてくれている。見張りはおじさんと私とジェイナの交代でやっていけば問題ないだろう。その気になれば私も数日は寝ないでも平気だ。精神がちょっとキツいが体はリセットできるしね。
「リッキー、馬車に乗っとけ。見張りは俺たちでやる」
「・・・」
おじさんの声に頷いて答えるとリッキーは鞄から毛布を引っ張り出して馬車によじ登り、荷物の隙間に体を滑り込ませた。
「もしかして商売下手?」
「いや・・・商売だけならあれなんだが言葉足らずが多くてなぁ、ギルドも一人や二人で経営するもんでもねえから接客さえしなけりゃいいんだが・・・」
おじさんのパーティの中で寡黙というほどでも無いにしろマックさんは口数がそれほど多くないそう。それでいて言葉足らずでズバッと物を言うので喧嘩になる事が多かったそうだ。冒険者、鑑定士としての実力はあるのでギルドに属して損することはないはずだが・・・運営側となるとちょっと事情が変わって来るかも。
「ヤツがもう少し自由ならと思ったがギルドの職員になってたら難しいか・・・そもそもアイツじゃ組むのがそもそも難しいかもだが」
「そういえばここら辺の治安はどうなったんだろうね」
おじさんのパーティメンバーならば腕の立つ冒険者と臨時でパーティを組めばそれなりに動けたそうだが性格とギルドの職員をしているという事で自由には動けないそうだ。今回は騎士団も動いていたし、私達がいた町ではともかくモリッツや王都では大々的に冒険者に懸賞金が発表されていたそうだ。
「懸賞金はかなりの額だったと・・・はい」
「私達が居た町とはえらい違いだね・・・もっとも隠してたんだろうけどさ」
「まあな、地方に派遣された奴はともかく王都周辺ともなると肝入りだし貴族共も自分の荘園なんかが多いから冒険者達と連携して真面目に討伐してんじゃねえの」
おじさんの言葉通り王都に近づくにつれ山賊の討伐は結構進んでいたらしく少なくともモリッツに行く最中、初日のキャンプを迎えるまでにそれらしいハプニングはなかった。後から考えればジェイナが王都周辺から山賊を狩りながら進んできたんだから居るはずないね。
「討伐が証明できなくとも証拠とそれで身元が分かれば後からでも懸賞金はもらえるかと・・・はい」
「え、そうなの?」
「ええ、発見と死亡確認で・・・討伐よりは落ちますが・・・居なくなればその分だけ騎士や冒険者を動かさずに済みますからね」
ちらっとジェイナを見るとジェイナは首を振った。ジョンに聞いたが死体をバラバラにしてしまう悪癖のお陰で証拠はおろか死体すらのこっていない者すらある。討ち取ったあの髭の山賊がせいぜいか。
お金が大切なのもあるけどやっぱり自分の娘がしたことは評価されてほしい。
「モリッツまであと二日ほどか、食料は困らないとしてもマックがどうしているか気になるな」
おじさんはそう言うと野営の支度を始め、ジェイナは薪を拾い始める。リッキーは手慣れた様子で火を起こし、私は料理用のナイフに軽く砥ぎを入れる。
「経営か・・・ギルドの経営っておじさんを呼んでどうにかなるものなの?」
「そればかりはわかんねえな、俺ほどじゃないにしろ鉱石の目利きとか冒険者の実力を測ったりとか・・・ギルドの職員としては困らないとは思うんだが・・・」
ジェイナがポイポイと取り出した肉を薄くスライスして味をつけ、焼いてからスープに落としていく。野菜もちゃんと野草を混ぜて入れて栄養バランスも調整。
「ジェイナさんは亜空間倉庫をお持ちなんですね、鞄は・・・あれ?」
オーガンがジェイナの事を見ながら首を傾げている。そう言えばこの世界で魔法や特殊能力として亜空間倉庫を持っている人は居ないんだった。先生は例外だけども。
「おじさん、あんまり冒険者の能力を詮索すると良い事ないよ?」
「そうでした・・・すみません」
白状してしまったようなものだがとりあえず釘をさしておく。おじさんの身内みたいなものだから悪いようにはしないだろう。問題になるようなら・・・まあ、その時はその時。
「うめえなぁ」
日も落ちて野営の焚火を囲んでの夕食。おじさんも含めて良く食べるのが三人いるから大変だ。オーガンは見た目通りの小食なので肉を多めにいれてあげておく。血色少しでも良くしとかないとね。
「野営でこれほどの食事を提供してくださると・・・うれしいですねぇ・・・」
長期の旅ならともかくモリッツまではあと二日ほどと聞いている。ジェイナの亜空間倉庫にある肉は既に牛三頭分くらい、そして宿で食べるための買い置きをそのまま移動させたのでこちらも数日分は余裕だ。水は水筒に偽装した魔法陣から出る水でほぼ無制限。快適なものだ。
「・・・むぅ」
食事が終わると良い子のリッキーから順番に船を漕ぎ始める。ジェイナは逆に夜間になると目がさえるのか焚火に慣れた手付きで枝と獣脂を放り込んで火を絶やさないようにしてくれている。見張りはおじさんと私とジェイナの交代でやっていけば問題ないだろう。その気になれば私も数日は寝ないでも平気だ。精神がちょっとキツいが体はリセットできるしね。
「リッキー、馬車に乗っとけ。見張りは俺たちでやる」
「・・・」
おじさんの声に頷いて答えるとリッキーは鞄から毛布を引っ張り出して馬車によじ登り、荷物の隙間に体を滑り込ませた。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
RIGHT MEMORIZE 〜僕らを轢いてくソラ
neonevi
ファンタジー
運命に連れられるのはいつも望まない場所で、僕たちに解るのは引力みたいな君との今だけ。
そんな風に引き寄せ合う者達が、世界の波に翻弄されながらも抗い生きる物語。
※この作品は小説家になろうにも掲載されています
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる