ノーライフ・ガールは博士の最高傑作

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「しっかしまあマックの野郎、ギルドの運営なんてしたこともねえのに良く引き受けたもんだぜ」
「もしかして商売下手?」
「いや・・・商売だけならあれなんだが言葉足らずが多くてなぁ、ギルドも一人や二人で経営するもんでもねえから接客さえしなけりゃいいんだが・・・」

おじさんのパーティの中で寡黙というほどでも無いにしろマックさんは口数がそれほど多くないそう。それでいて言葉足らずでズバッと物を言うので喧嘩になる事が多かったそうだ。冒険者、鑑定士としての実力はあるのでギルドに属して損することはないはずだが・・・運営側となるとちょっと事情が変わって来るかも。

「ヤツがもう少し自由ならと思ったがギルドの職員になってたら難しいか・・・そもそもアイツじゃ組むのがそもそも難しいかもだが」
「そういえばここら辺の治安はどうなったんだろうね」

おじさんのパーティメンバーならば腕の立つ冒険者と臨時でパーティを組めばそれなりに動けたそうだが性格とギルドの職員をしているという事で自由には動けないそうだ。今回は騎士団も動いていたし、私達がいた町ではともかくモリッツや王都では大々的に冒険者に懸賞金が発表されていたそうだ。

「懸賞金はかなりの額だったと・・・はい」
「私達が居た町とはえらい違いだね・・・もっとも隠してたんだろうけどさ」
「まあな、地方に派遣された奴はともかく王都周辺ともなると肝入りだし貴族共も自分の荘園なんかが多いから冒険者達と連携して真面目に討伐してんじゃねえの」

おじさんの言葉通り王都に近づくにつれ山賊の討伐は結構進んでいたらしく少なくともモリッツに行く最中、初日のキャンプを迎えるまでにそれらしいハプニングはなかった。後から考えればジェイナが王都周辺から山賊を狩りながら進んできたんだから居るはずないね。

「討伐が証明できなくとも証拠とそれで身元が分かれば後からでも懸賞金はもらえるかと・・・はい」
「え、そうなの?」
「ええ、発見と死亡確認で・・・討伐よりは落ちますが・・・居なくなればその分だけ騎士や冒険者を動かさずに済みますからね」

ちらっとジェイナを見るとジェイナは首を振った。ジョンに聞いたが死体をバラバラにしてしまう悪癖のお陰で証拠はおろか死体すらのこっていない者すらある。討ち取ったあの髭の山賊がせいぜいか。
お金が大切なのもあるけどやっぱり自分の娘がしたことは評価されてほしい。

「モリッツまであと二日ほどか、食料は困らないとしてもマックがどうしているか気になるな」

おじさんはそう言うと野営の支度を始め、ジェイナは薪を拾い始める。リッキーは手慣れた様子で火を起こし、私は料理用のナイフに軽く砥ぎを入れる。

「経営か・・・ギルドの経営っておじさんを呼んでどうにかなるものなの?」
「そればかりはわかんねえな、俺ほどじゃないにしろ鉱石の目利きとか冒険者の実力を測ったりとか・・・ギルドの職員としては困らないとは思うんだが・・・」

ジェイナがポイポイと取り出した肉を薄くスライスして味をつけ、焼いてからスープに落としていく。野菜もちゃんと野草を混ぜて入れて栄養バランスも調整。

「ジェイナさんは亜空間倉庫をお持ちなんですね、鞄は・・・あれ?」

オーガンがジェイナの事を見ながら首を傾げている。そう言えばこの世界で魔法や特殊能力として亜空間倉庫を持っている人は居ないんだった。先生は例外だけども。

「おじさん、あんまり冒険者の能力を詮索すると良い事ないよ?」
「そうでした・・・すみません」

白状してしまったようなものだがとりあえず釘をさしておく。おじさんの身内みたいなものだから悪いようにはしないだろう。問題になるようなら・・・まあ、その時はその時。

「うめえなぁ」

日も落ちて野営の焚火を囲んでの夕食。おじさんも含めて良く食べるのが三人いるから大変だ。オーガンは見た目通りの小食なので肉を多めにいれてあげておく。血色少しでも良くしとかないとね。

「野営でこれほどの食事を提供してくださると・・・うれしいですねぇ・・・」

長期の旅ならともかくモリッツまではあと二日ほどと聞いている。ジェイナの亜空間倉庫にある肉は既に牛三頭分くらい、そして宿で食べるための買い置きをそのまま移動させたのでこちらも数日分は余裕だ。水は水筒に偽装した魔法陣から出る水でほぼ無制限。快適なものだ。

「・・・むぅ」

食事が終わると良い子のリッキーから順番に船を漕ぎ始める。ジェイナは逆に夜間になると目がさえるのか焚火に慣れた手付きで枝と獣脂を放り込んで火を絶やさないようにしてくれている。見張りはおじさんと私とジェイナの交代でやっていけば問題ないだろう。その気になれば私も数日は寝ないでも平気だ。精神がちょっとキツいが体はリセットできるしね。

「リッキー、馬車に乗っとけ。見張りは俺たちでやる」
「・・・」

おじさんの声に頷いて答えるとリッキーは鞄から毛布を引っ張り出して馬車によじ登り、荷物の隙間に体を滑り込ませた。
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