ノーライフ・ガールは博士の最高傑作

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次の町 モリッツ

暇つぶしの最中に

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町で仕入れた薬草をごりごりと薬研ですりつぶしていく。ジェイナの亜空間倉庫のお陰で傷みやすい薬草も調剤のための道具も楽々持ち運べるので町を出る前にしっかりと作成しておいた。

「なんだかすっとする臭いだと思ったら薬草の調合か」
「ええ、長旅で疲れやすい胃腸の調子を整えるものとか疲労とかを抜く薬草を作っときたいの」

旅のお供として胃腸薬や疲労回復の薬は作って貯めておくに限る。傷薬も作れるが最悪薬屋さんやその場で即席加工した薬草でも何とかなるので問題なし。

「ほえー・・・凄いや」
「リッキーもこれ見て勉強しときなさい、役に立つわよ」

調剤のためのノウハウを記したスクロールを取り出してリッキーに見ていくように言う。教えてあげると約束もしたし見せてあげよう。

「この葉っぱと、枝?が必要なんだね」
「クロカサスの葉とニルの枝よ」

乾燥させた二つの薬草を薬研で粉末に、これを水で練ってお団子っぽくするか粉末のまま飲むか。おすすめは果実を絞った汁でお団子にすること。美味しいし体にいい、ってかそうしないと苦いし青臭い。
ごりごりと削ってとにかく細かい粉末に、そうしないと粉で飲んだとき悲惨な目にあう。

「とにかく細かく、それこそ粉になるまで」
「細かく・・・」

それぞれの素材が完全に粉になったらこれを一人分に分けていく。紙が無いので水で練って団子にすることにした。

「これで完成?」
「そうよ、製法と用量さえ間違えなければ効果はちゃんとでるわ」

先生は元の世界の医学を殆ど修めたと言っていたけどその中で一番研鑽を積んだ医学は薬学だっただと聞いた。
先生曰く最も自然に即した医学であり、負担がすくないのだそうだ。魔術を加える事によって効果を如何様にでも調節できるらしいがそこまでは私にはわからない。

「まずはリッキーにこれの作り方を覚えてもらうわ、そうすれば前回みたく外に出られなくなっても材料さえあれば薬売りで生計も立てられるし冒険者として生活する上でも調合技術は全く無駄にならないわ」

なにせ薬草は生だと効果の無い物もある。もしくはお腹を壊す代物だったり、茹でて毒を抜かないといけない物もある。先生が試しにと私に何枚か生で食べるように勧めてくれたが・・・私には特に効果がなかった。
元より薬剤にかなりの耐性があるらしく先生が首を傾げていたのを覚えている。そしてそのあと自分で食べてお腹を壊していたのも。

「わかった、ちゃんと勉強するよ」
「よろしい、それじゃあ次は軽い毒に効く・・・」
「ちょっと待て」

おじさんが唐突にストップをかけると身を乗り出して馬車の下らへんに拳骨を落とした。

「ギャイン!」
「盗み見るってことはこうされても仕方ねえんだぞ!」

おじさんが怒声を上げると馬車の周囲から小さな足音が離れていった。

「小さい子達がいたね・・・何した?」
「情報の売り買いだな」

ジェイナは気づいていた様子だったが別段気にした風もなく、おじさんの返答にも要領を得ない様子だ。

「誰が入って来るのか、どんな奴がいたか・・・そんなのを欲しがる奴が居るんだよな」
「へー」
「ああいうのは使い走りのガキだろうが・・・ヘマしたらひどい目に遭うって教えとかねえと後が大変だぜ」

冒険者によっては秘密の秘匿の為に殺人を辞さない事もあるという。おじさんは厳しいながらもそれを教えてあげたようだ。

「まあ、今日はあのガキどもも結構な額をもらうんだろうぜ」
「どうして?」
「人に教えるくらいの薬の知識を持った若い女と教えを受ける子供が商人に連れられて俺たちの護衛を受けながらモリッツに入る、端からみりゃそう見えるが・・・そういう情報は結構金儲けのネタになるのさ」
「そうですね・・・薬屋なんかは喜びますよ・・・モリッツでは薬屋は問屋ばかりで作る人が少ないですから」

オーガンの補足によると薬売りが直接来てくれると問屋は商品のバリエーションが増える上に質は良くなるし、薬師が働き口を探しているとなれば求人を出しているお店なんかは喜ぶらしい。情報屋さんみたく彼らはそれをネタに小銭を稼ぐのだろうか。

「とりあえず薬の買い取りなんかもやってくれるのかしらね」
「そうですねぇ・・・薬師もギルドがありますが・・・まだ出来てそれほど経っていませんから数は少ないかと」

規模の割りに医師や薬師の数は少ないようだ。理由は分からないがおそらくインフラの整備がモリッツの発展に追いついていないのではとのこと。そして薬師や医師ともなると王都中心に派遣されてくる者も多いがなにせこの国に正式に認められたのがつい最近なので王都の人間からすれば辺境の一部でしかないのだろう。そんなところに引く手あまたの彼らがわざわざ来るとは思えない。逆に教会なんかは結構、こういう時に一番に来てくれるらしい。葬儀とかの関係もあるが彼らは常に修行と布教に余念がないからだそうだ。
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