ノーライフ・ガールは博士の最高傑作

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次の町 モリッツ

肉屋と薬屋

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ウェイターらしき人を呼び留めて私達はそれぞれの注文をする。ジェイナはちょっと怪しまれたが恥ずかしがり屋だと告げるとそうなんですね、と特に疑う素振りも見せずに言い注文を厨房へと届けにいった。

「どんなのがくるんだろうね」
「流行り方からして美味しいんだろうね」

談笑しながら食べる人たちの表情は明るい。私達も注文が届くのを待ちながら周囲を見渡し、時折目線のあった人に手を振って愛想笑いをしながら時間を潰していると・・・。

『邪魔するぜ』

わざとらしい大きな声。それと数人の男性が店に遠慮なく入ってきた。視線を向けると他のお客さんは対照的に視線を逸らして俯いている。

「誰かな?」
「さあてね、でも・・・いいお客さんじゃなさそうだ」

成り行きを見守りつつ私達は座りなおしていつでも立てるようにしておく。すると予想通りと言うべきか冒険者風の男たちがお客さん達を物色するようにうろうろし始める。そして一番偉そうな男がウェイターさんやキッチンから出て来た店のオーナーらしき人達とにらみ合っている。

「冒険者ギルドにショバ代を払う気になったかァ?」
「またお前たちか!お前たち如きに場所代なんぞ払わんぞ!なにが冒険者だ!」
「頑固だなァ?俺たちもヒマじゃねえ。いい加減にしないとお客さん達が大変な事になるぞ?」

冒険者ギルド、そう名乗った彼らの恰好はぱっと見冒険者風だがよく見るとちぐはぐな格好の男たち。冒険者が使う剣ではなく大振りのナイフのようなものを腰にさし、ブーツはお洒落だが旅行きには見えないし、山登りが出来そうなほど頑丈な革ではなく布だ。しかも泥にまみれた様子がなく新品のような綺麗さ。上下の服装もだ。

「山に入れそうな恰好ではないね・・・」
「獣に噛まれたらズタズタになるかも」
「獣の牙でなくても・・・あれだと木の枝で十分、藪にも入れない」

ジェイナも違和感に気づいたらしく彼らの恰好を見て不思議そうにしている。

「とどのつまり、半端者・偽物の集まりってことか」
「聞き捨てならねえな、誰が偽物だって?」

店内をうろうろしていた男の一人が私達の会話を聞いてこちらにやってきた。大声で話しているつもりはなかったが静まり返った店内では聞こえやすかったのだろうか。

「ごめんなさいね、傷つけるつもりはなかったのよ?次は言葉に気を付けるわ」
「そうだろうな、その方が賢明だぜ」
「それはそうよね、真実って時にどんな言葉より人を傷つけるもの」
「・・・!」

私の言いたい事がわかったのか男はむっとした様子を見せて私にさらに近づいてくる。

「あら、また失敗したかしら?」
「取返しはつかんぜ、このアマっ!」

十分な距離に近づいた男は隣のテーブㇽの空き瓶をひっつかんで振り上げた。しかし遅い。愛娘が立ち上がって彼の手を掴むのに十分なほど。

「ぐっ!」
「いなくなれ、此処から・・・さもないと」

喉輪をひっつかんで強引に向かい合うとジェイナはマスクから覗く瞳で男を見据える。そして取りあげた瓶をその場で握りつぶし、破片を足元にバラまいた。

「お前ら一人残らずこうしてやる」

言葉とどちらが早いか破片の上に男を叩きつけた。男は破片で見事に顔や剥き出しの部分を傷つけたらしく顔や手を押さえてのたうち回っている。

「ジェイナ、店の物を壊すのはよくないわ。次はもっと賢くやりましょう」
「はーい」

「か、カルロス!」

男の有様を見て店内をうろついていた男たちが集まってくる。どいつもこいつも半端な格好の、見た目だけの冒険者風の男たちばかりだ。そして揃って品のない顔をしている。

「てめえ、女だからって容赦するとおもってんのか!」
「アンタたちこそ、ギルド名乗ればなんとでもなるとおもってる?」

私がそう言うと男たちは怯まない様子に少し驚いた様子でこちらを睨みつけてくる。

「良くないとおもうなぁ・・・ギルドはそう言うの厳しいよ?」
「・・・てめえ、よく見るとよそ者だな?」

誰かの一言と共に男たちの表情が一段と暗くなった。あら、どうするつもりなのかな。

「だったらなに?口封じでもする?」
「それもいいかもしれんな」
「その前に私達をどうにかできるの?」

笑いながらそう答えると立ち上がり、男たちを睨みつける。笑みがとまらない。こんな格好だけの奴らが冒険者を名乗っているなんて。真っ当な人たちの皮をかぶった悪党は大好きだ。

「痛めつけてもなんの呵責もない相手って大好きよ?」

笑いながら近づき、目の前の男の股間を躊躇いなく一直線に蹴り上げた。膝をついたところで顎を蹴り上げて意識を奪うと私は口笛を鳴らしたジェイナに言う。

「ジェイナ、彼らがおかえりよ。外に案内してあげましょう」
「うん」

ジェイナが二人の男の頭を掴んで持ち上げるとドアまで吊り上げて運んでいく。他の男たちが怒鳴りながらジェイナを追いかけるけれど彼女の耳には届かないみたいだった。

「ドア開けて、捨てるから」
「は、はい!」

ジェイナの声を受けてウェイターさんがドアを慌てて開けるとジェイナがまるで小石かなにかのように道端に放り投げた。ジェイナはそのまま纏わりついていた男たちも纏めてひっつかむとぽいぽいと投げ捨てていく。
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