ノーライフ・ガールは博士の最高傑作

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次の町 モリッツ

無慈悲な肉屋さん

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ゴミのように通りに投げ捨てられた男たちを一瞥してジェイナは振り返るとオーナーらしき男性と話していた男に向かい合った。

「お前はゴミか?それとも肉か?」

大きな体を揺らして彼女は問いかける。男は少し考えたがやがて意を決したようにナイフを取り出してジェイナに突き出した。鋭い、それでいて決めてからは迷いのない一撃だった。

「けど、それじゃあの子には通じない」

ジェイナのリーチは容易く相手のナイフを握る手首をつかんで受け止めた。そして手首を握りつぶし、その手を相手の首に持ち替えてそのまま吊り上げて再び彼女は問いかけた。

「お前はゴミか?それとも肉か?」
「ぐ・・・がっ!て・・・めっ」

涼しい顔をして容易く男性を吊り上げる怪力に感心しつつ私は殴り倒した男を二人ばかり引きずって店の外に放り出す。野次馬に手を振ってから店に戻り、もがく男を他所にジェイナに話しかける。

「そんな不味そうな肉なんかあるわけないわ、捨てちゃいなさい」
「そうだね」

一瞬強めに籠めた力が容易く男の意識を奪った。だらりと垂れた手足を揺らしながら外にゆっくりと歩いていくと
他の男同様にゴミのように捨てた。

「アンタたち一体・・・」
「私達?一応冒険者よ、あんなガワだけのじゃなくて真っ当なね」

オーナーさんにそう答え、次いでに頼み事をしようと私は彼らに向かい合った。恐る恐るといった様子だけどこれだけ暴れれば当然だろうか。

「マックさんのみたいな真っ当なギルドを建て直そうかと思ってきたんだけど・・・稼ぎが無くてギルドの運営が立ち行かないの、お肉屋さんは結構繁盛してるって聞いたんだけど用心棒込みでどう?雇ってみない?」
「確かに人手はありがたいが・・・」

どうして?と言いたげなオーナーさんに私は短く答える。

「あんなのが冒険者だと思われたら私達が困るもの、まともな冒険者がどんなのなのかを知ってもらいたいのよね」
「そうそう、前の街の人たちもいい人ばかりだったし」

そう言うと私達がまともなギルドから来た冒険者だとわかったのかオーナーらしき男性が私達に話しかけて来た。

「そう言う事なら君たちを喜んで雇わせてもらう、ところで・・・マックさんの知り合いらしいが?」
「頼まれてきたのよ、閑古鳥が合唱してるからどうにかしてくれって。マックさんの古い友達のおじさんと一緒に来たのよ私達」
「そうだったのか、俺たちの所もああいう奴らが出入りしてきて仕入れからなにからケチをつけ始められて・・・マックさんに相談できればとずっと思っていたんだが中々会えなくてな」

確かにちょっと向こうとこちらでは距離があるし、向こうは古い建物が多いがこっちは新しめの建物が多い。どうやら向こうは昔から住んでいる高齢者が多く、こちらは逆に新しく移ってきた人たち。こちらが盛況になる度に向こうは寂れていっているらしく現地の人たちではあまり仲がよくなく、交流が少ないため実質向こうと連絡はこちらから取れないとのこと。

「向こうの人にはどうにも気後れしてね、何もない時からずっと生活していた先輩なんだがどうにも独立独歩のきらいがあって大都市や他の都市と同じようになるのを嫌がっているらしい」
「静謐を貴ぶ、まるでエルフみたいね」
「田舎の人、大体そんな感じ。私もよく分かる」

目覚ましい発展の最中で古くからある部落がそれを拒んで昔ながらの生活を守っている。ここが発展するまでは彼らもあの部落の助けを借りていたそうだ。しかし発展を遂げる一方で彼らは徐々にすみっこに追いやられていった。
若者達はできる限り彼らの生活を保障しようとはしているが追いやった負い目からか徐々に疎遠になっていったそうだ。

「彼らの中には領主様の親族も多いから奴らも手が出せないみたいだし・・・マックさんなら彼らとも交流を持てるんだが・・・」
「そのマックさんとの連絡を切り離されてしまったと」

彼らの様子だと殺人も辞さない様子だった。実際被害者は結構いそうだ。そうなるとおじさんも襲撃されているかもしれない。

「とりあえずマックさんと連絡役も必要ね・・・けどマックさんも似たような理由でギルドを空けられないのよね」
「そうなのか?!マックさんは無事なのかい!?」
「ええ、向こうはただの不審者程度にしか思ってないけど・・・そのせいでギルドを離れられない状態」

おじさんの報告を待つまでもない。あの冒険者ギルドは全部か、それとも一部かの違いはあれど腐っている。そうなると早々に片を付けないと面倒な事この上ない。

「とりあえず今は私達で行動するしかない、リッキーとおじさんがどこに行ったかも聞いとけば良かったわね」

まさかこんなに早く情報が集まるとは思ってなかったし。ま、とりあえずはジェイナの働き口と情報収集の場所が出来ただけ良しとしよう。
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