ノーライフ・ガールは博士の最高傑作

ファウスト

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次の町 モリッツ

さて、どうなることやら

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「ま、細かい話は食べた後でいいじゃない?注文したものをお願いね、なるべく早く」

手を振って私達は自分の席へと戻るべく踵を返した。しかしそれを阻む声が。

「テメエ!こんな事してタダで済むとおもってんのか!」
「あーあー、なんかうるさいわね」
「こ、この野郎・・・!」

聞こえないふりをしようとしたがオーナーらしき男性に肩を掴まれて阻止されたので嫌々振り返る。

「負け犬の遠吠えらしく芸がないわね、それで?どうなるのかしら?」
「・・・俺たちはこの町のギルドだ、やりようはいくらでも・・・」
「山賊とかそんな感じの奴らが言いそうなセリフだけど・・・」

距離を詰めて腰からマチェットを抜いて喉元に突き付ける。男は少し後ずさったが切っ先を押し付けて逃げられないように追い詰めると私はできる限り簡潔に伝える。

「攻撃できるのが自分達だけと思ったら大間違いよ?オイタには相応の報いが待ってるんだから」
「・・・!」

私の顔が男の瞳に映る。三日月型に裂けた口に弧を描いて細まる目。ふふ、笑っちゃうくらい怖い顔してるわ。

「まだ居るの?これ以上手を煩わせるなら・・・」

口を大きく開いて目の前で歯を鳴らして嚙合わせる。

「頭から齧っちゃうよ?」
「ひ、ひぃぃぃぃ!」

最期の一言をどうとったのかは知らないが男たちは一目散に走り去っていった。私としてはあんな不味そうなものなんか齧りたくはないけども脅し文句としては上々だった。風のように、って感じか。

「さて、こんどこそだね。注文よろしくぅ」

私達はようやくお昼ご飯にありつけることとなった。

「アンタ凄いな!」
「あいつ等を追い払ってくれてありがとう!冒険者ってみんなアンタみたいに強いのか?」

今度はお客さんに囲まれてしまった。アイツらみたいなのじゃないから今度は振り払うわけにもいかず二人して彼らの対応に追われる羽目になった。

「えっと、とりあえず・・・ここまで来たらオーナーさんに話をしとくわ。それで今は勘弁してくれない?お腹すいちゃったんだけど」

わいわいと騒ぐお客さん達にどうにかそれだけを告げて私達は慌てて席に戻った。彼らも後で聞けばいいかと察したのか自分達の食事に戻っていった。私達もこれでどうにか落ち着けるってものだ。
席に戻ってしばらく、ウェイターさんではなくオーナーらしき人とコックさんらしき厨房服の男性が二人そろってやってきた。注文の品を持ってきてくれたので一安心、このまま難しい話なんてなったらお腹が減りすぎて困るところだもの。

「どうも、先ほどは大変助かりました」

オーナーらしき綺麗な服装の男性が私に頭を下げた。暴れたとはいえ私が注目を引いたので他のお客さんに被害はなかった。ちょっと床に傷がついたり瓶が割れたりしたけども。

「お客さんにケガが無さそうでなによりよ、もしあったら言って頂戴。こう見えてそれなりに知識があるから」
「治癒魔法の類を?」
「薬学もね、ちょいと新しいものばかりだからそれ以外は説明が難しいわ」

そう言うとオーナーさんは驚いたようで私をまじまじと見つめる。

「薬問屋で働いてみたくてここまで来たけど、若いと胡散臭いかしら?」
「どうでしょうね、でもそう言うのは大事かと」

まぁ、普通は薬学や医術なんて修めるのにどれだけかかるかわからない。私は先生と悪魔と、そして外の世界から来た神様とっていうとんでもない人たちから教えを受けているからその枠組みには嵌らないんだけども。

「日常に使う薬はもちろん、ポーションに至るまで製作できるし薬草の目利きもできるわよ?」
「それが本当ならこの町じゃ引く手あまたでしょう、噂を流せばいくらでも来てくれるでしょうが・・・あいにくとあの連中に喧嘩を売った手前薬問屋は敬遠するかもしれませんよ」
「なるほど、でもそうなると貴方のお店もヤバイんじゃ?」
「ウチには猟師の方たちが味方についております、対人は不慣れですが大型の獣や魔物を相手取るくらいならと用心棒をしてくださる方もおりますから」

馴染みの猟師が彼らを押さえているようだ。刃傷沙汰にどこまで対応できるのかは知らないがオーナーさんの態度から察するに荒事でも大丈夫らしい。

「ならジェイナが居れば万事安全ってことかしら・・・でも肉屋さんって遠いんじゃない?」
「いいえ、当店の裏でやっておりますからご安心を。なにかあればドア一枚でこちらに来れますので」
「いいなぁ、私もここで働きたいわぁ」
「ウェイトレスなら大歓迎ですよ?」
「質のいいお客さんだけ相手にしてていいなら考えるけど、私好き嫌い激しいからね」

笑顔で誰かを蹴飛ばすのにあんまし抵抗ないし、傷つけるのは得意なんだけど?

「・・・そうなるとウチで窓口を作るのが適当ですかね」
「なるほど、製薬と調合、それに相談ってことね」

男を即座に蹴り上げた事を思い出したのかオーナーさんは私の為に専用の窓口を設置してくれるそうだ。ありがたいけど本当にいいんだろうか?それだけ彼らには町の人たちは辟易しているんだろうけど。
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